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【J2日記】草津:ヤスが遠くをみていた理由(10.12.17)

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(C)伊藤寿学

「ヤスはトライアウトに出ないの?」。多くの人からこの質問を受けた。 12月14、15日、日本プロサッカー選手会主催のトライアウトが行われた。草津を戦力外となった高田保則はこのトライアウトに参加しなかった。現役続行か引退か、気持ちの整理がついていないことも確かだが、理由は別にあった。出なかったのではなく、出られなかったのだ。

満身創痍だった。草津は34節岡山戦を皮切りに甲府、千葉、横浜FCを撃破、シーズン終盤に4連勝を果たした。その主役となった高田は34節岡山戦で、右足親指を骨折していた。前半13分、先制ゴールを決めた直後のプレーで相手DFと交錯。親指がもぎ取られるような激痛に見舞われたという。診断結果は、剥離骨折。その数日後にクラブから戦力外通告を受けた。

痛みなど関係なかった。サポーターへの感謝、家族への愛情、失望…、様々な感情が高田の心で渦巻いた。戦力外という“現実”を受け入れようとするたびに涙があふれてきた。今にも折れそうな心を必死で食い止めながらグラウンドに出た。そして、チームの勝利、自らのゴールのためにプレーすることを決めた。

甲府、千葉、横浜FC戦で、高田は真のストライカーと化した。甲府戦ではJ2最多得点となる75点目を記録、横浜FC戦では試合終了間際に決勝ゴールを奪ってピッチを駆けた。今季は中盤起用が多かったがFWとしての資質、ゴール嗅覚はまったく衰えていないことを自らのプレーで証明してみせた。

最終柏戦前にもアクシデントが襲った。前々日の練習で右膝じん帯を損傷。試合可能な状態ではなかったが痛み止めの注射を打ち、ピッチに立った。「精神的にも身体的にも極限状態だったけど最後の試合は、わがままを言って出場させてもらった」。柏戦は0対4というスコアだったものの、高田は前線から激しくボールを追い、ゴール前で闘い続けた。試合後は歩くことさえ困難だった。

試合終了から約1時間後、スタジアムから選手バスが出発した。しかし、バスに高田は乗らなかった。ゲート前では300人以上のサポーターが列を成し、高田を待っていたからだ。高田はサポーター一人ひとりに感謝の言葉を伝えて正田スタをあとにした。「こんなに多くの人が応援してくれていたのかと思ってびっくりした。あらためてザスパでプレーして良かったと感じた」

高田が在籍した2006年からの5年間はJ2へ昇格したばかりの草津にとって激動の時間だった。高田ら選手たちは時に激しく意見をぶつけながらチームの土台を作っていった。「試合後に選手同士でケンカをしたりして一段一段、階段を上ってきた。こんなに真剣にチームのことを考えたことはなかった。僕は今年でいなくなるけど、今のザスパは僕らが作ってきたと自信を持って言える。だから、残った選手とサポーターには、このチームをずっと守っていってほしい」

最終戦後、コアサポーターが陣取るバックスタンド前に立った高田はじっと遠くを見つめていた。先日、写真を整理していてその理由が分かった。直前の写真に写っていた背番号9は下を向いて静かに泣いていた。遠くを見ていたのは、涙がこぼれ落ちないようにするためだった。J2最多出場407試合、J2最多得点76点。高田は2つの勲章を胸に草津を離れる。記録はいつか他の選手によって塗り替えられることだろう。だが、高田が草津に刻んだ軌跡と情熱はいつまでもサポーターの心の中で輝き続ける。

以上

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2010.12.17 Reported by 伊藤寿学
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