この試合でメディア向けにリリースされた両チームの監督のハーフタイムコメントで、千葉の木山隆之監督のものはたった1つだけ。「前半は素晴らしかった。自分たちのリズムを崩さず、続けていこう!」というものだった。もちろん、実際にはもっと多くの指示が出ているはずだが、公表してかまわない指示の代表格がこれだったということだろう。
だが、前半の千葉で『素晴らしかった』という評価に近く感じられたのは守備だけで、攻撃は『素晴らしかった』とは言いがたかった。それは、例えば試合後の千葉のMF兵働昭弘の「ディフェンスのブロックをしっかり作って、守る時はしっかり守ってということ、どこでボールを取るのかということを考えながらやっていた。前半の攻撃はボールを奪った後にもう少し落ち着いてボールを回せればというのがあった」という選手サイドの評価と合致するし、木山監督の「ある程度捨てるところは捨てて、しっかりと相手のスキルを出させない、スペースを消すサッカーを選択した」という言葉に表われていた気がした。
特に序盤の千葉は、ロングパスで京都のディフェンスラインの背後を狙う攻撃が目立った。もちろんディフェンスラインからパスをつないで攻め上がる形もあったが、近距離の味方への足下のパスは京都のプレスに引っ掛かりがち。スペースにパスを出し、そこに走り込む形が有効だが、パスの精度や動きの質の問題もあり、決定機は42分のFW藤田祥史のシュートだけ。一方、京都は例えばFW宮吉拓実が千葉のディフェンスラインの背後に飛び出す形、京都が得意な中短距離のダイレクトパスをつなぎながら攻め上がる形を混ぜて千葉ゴールに迫ったが、こちらも精度不足や千葉の守備もあって決定機まで至らなかった。
前半の問題点を踏まえ、後半での修正を先に結果に結びつけたのは千葉だった。「前半は京都のプレッシャーを感じちゃってアバウトなボールになっていたので、そこでうまく味方がいい角度でサポートしてあげればチャンスになる」(兵働)ということで、57分の得点シーンは、MF兵働がボールを奪ったところから選手がいい距離感と角度のポジショニングで4本のパスがつながり、兵働のパスをフリーな状態で受けたFW大塚翔平の千葉への移籍後初ゴールが生まれた。追加点の2点も味方をサポートするフリーランを生かした形で、2点目はDF武田英二郎のクロスと藤田のヘディングシュートの精度、3点目はラストパスを出した兵働とDF山口智の状況判断と仕掛けの動きが秀逸だった。
だが、京都が失点を重ねても途切れることのない京都サポーターの声援に後押しされ、サポーターの想いに応えるために京都の選手が反撃。80分のCKからのDF安藤淳のヘディングシュートは「狙っていた」ということだが、まさにドンピシャの綺麗な形で素晴らしかった。また、後半アディショナルタイムのMF中村充孝の豪快なボレーシュートも素晴らしかった。それだけに、集中力を欠いて千葉の選手を自由にプレーさせた失点シーンは悔やまれるし、もったいない失点だった。また、組み立ての形は見事でも、最後で千葉の守備をかいくぐれずにラストパスが合わなかった点は、レベルアップが必要なところだ。
千葉もまた、失点は決して防げないものではなかった。相手のCKでのニアサイドの守備は以前からずっと課題になっている点だし、終盤に京都の猛攻を受けた時にチーム全体を押し上げて京都の攻撃の起点を遠ざけたり、セカンドボールを拾って攻め返したりできなかった事は猛省しなければならない。3試合勝利なしの悪い流れを断ち切れたことはよかったが、今後の対戦相手に付け入る隙を見せたことの重要性を痛感して修正してほしい。
以上
2012.07.09 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第23節 千葉 vs 京都】レポート:勝利の獲得を重視した戦い方で、後半に攻撃面を修正した千葉が勝利。反撃の2ゴールは素晴らしかった京都だが、集中力欠如で痛恨の3失点。(12.07.09)













