立ち上がりからボールを支配したのは、G大阪ユースのほうだった。小気味よいショートパスと両サイドの打開力を駆使し、名古屋U-18ゴールに迫ると、8分には奥田 勇斗があわやというボレーを放つ。19分には食野 壮磨のスルーパスに抜け出した福井 和樹が至近距離から狙ったが、これは名古屋のGK東 ジョンに阻まれてしまう。
技術に裏打ちされた淀みない攻撃を仕掛けるG大阪に対し、名古屋は防戦一方の展開を余儀なくされた。しかし31分、ほとんどチャンスを作れなかった名古屋に、突如絶好機が訪れる。高い位置でのボール奪取から、榊原 杏太がエリア内に切れ込むと、GKに倒されてPKを獲得。これを榊原自ら決めて、名古屋が先制に成功した。
勢いに乗った名古屋は直後にも、再び榊原を起点に決定機を迎える。この日、キレのあるプレーを見せた名古屋の背番号8は、37分にもビッグチャンスを生み出すなど、81分に交代するまで際立ったパフォーマンスを示した。
流れを掴んだ名古屋は43分にも、敵陣でのボール奪取をきっかけに、村上 千歩が追加点をマーク。今大会通算7点目を決めたストライカーは、これで得点王の座を手中にした。
名古屋に流れを引き寄せたのは、榊原、村上と2人の攻撃タレントであるのは確かだが、それ以上に際立ったのは守備にある。G大阪にバイタルエリアに運ばれても、最後の場面ではやらせない守備を徹底。牛澤 健を中心とした最終ラインに隙は生まれず、東の好セーブも光った。
得点のきっかけとなったのも、高い位置からの守備だった。後方からつなぐG大阪にいなされながらも執拗に食らいつき、粘り強くボールを奪い取った。確かにボール回しの技術はG大阪が上回っていたものの、プレー強度の高さは名古屋が勝っていただろう。
2点のリードで迎えた後半は、サイドを広く使ってきたG大阪に再び押し込まれる展開となったが、ここでも名古屋は力強さを見せる。逆に前がかりとなった相手の隙を突き、一発のフィードで決定機を生み出すなど、ボール支配は譲りながらも、流れは渡さなかった。
試合終盤には途中出場の光田 脩人が鮮やかなアシストを決め、1年生の松本 皐誠がダメ押しゴールを奪うなど、総合力の高さを見せつけた。終わってみれば、4-0の快勝劇。今夏のクラブユース選手権王者は、この大会でもその力をまざまざと見せつけ、2011年以来、二度目のJユースカップ優勝を成し遂げた。
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