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【原 博実×岡田 正義スペシャル対談】前編:「チームのためには審判もチームの仲間にしよう」「海外の審判と違って、日本の審判はわざとミスをしたりしない」

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2020年1月21日(火) 10:15

【原 博実×岡田 正義スペシャル対談】前編:「チームのためには審判もチームの仲間にしよう」「海外の審判と違って、日本の審判はわざとミスをしたりしない」

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【原 博実×岡田 正義スペシャル対談】前編:「チームのためには審判もチームの仲間にしよう」「海外の審判と違って、日本の審判はわざとミスをしたりしない」
ドキュメントDVD『審判 ピッチ上の、もう一つのチーム』をより深く御覧頂くために、原 博実(左)・Jリーグ副理事長と岡田 正義・日本サッカー協会(JFA)S級審判インストラクターの対談を実施した

1月26日に横浜で行われる『フットボール映画祭』での作品上映が決定したJリーグ担当審判の舞台裏を追ったドキュメントDVD『審判 ピッチ上の、もう一つのチーム』。

テロップや説明を極力使用せず、審判たちのありのままの姿を映し出したこともあり、SNSなどでは「何度見ても新しい発見があって楽しめる」とポジティブな声が多数を占めている。

そんな『審判』をより深く御覧頂くために、原 博実・Jリーグ副理事長と岡田 正義・日本サッカー協会(JFA)S級審判インストラクターの対談を実施した。

原氏には、92年から97年の浦和レッズコーチ・ユース監督、98年から99年の浦和レッズ監督、2002年から2005年、2007年のFC東京監督を務めていた指導者時代を。

岡田氏には1986年から2010年までのトップレフェリー現役時代に戻って回想して貰った。

*レフェリー・主審というワードはDVDに合わせて「審判」と表記してあります。

岡田 正義:私のJSL(日本サッカーリーグ:Jリーグの前身)の審判デビュー戦は、原さんが所属していた三菱の試合でした。

原 博実:私は現役引退が近付いていましたし、怪我をしていたこともあって、当時のことをあまり覚えていないです(笑)。岡田さんとよく話すようになったのは、私が監督になってからでしょうか?特に2002年にFC東京の監督に就任してからは、岡田さんが審判の試合が多かった気がします。
岡田さんはFIFAワールドカップ1998年フランス大会で笛を吹いていましたし、私が監督だった時には一番信頼できる審判だと思っていました。だって、名前が正義で、審判になるために生まれてきた人じゃないですか(笑)。

岡田:ありがとうございます(笑)

原:真面目にしっかりジャッジしている印象で、同学年ですから親近感もありました。何より現役選手を辞めて監督になった私と違って、岡田さんは現役の審判として活動していたので、頑張って欲しいと思っていました。

岡田:私の原監督の印象は、「チームのためには審判もチームの仲間にしよう」という考えをお持ちだなと思っていました。審判を敵にしてはいけないというアプローチでしたよね?

原:そうですね。試合会場などで岡田さんに会った時には、「この前の試合の判定は〇〇じゃないかな?」と議論をしていました。互いに確認して、「これは岡田が正しい」とか「そうはいっても俺の方が正しいのでは?」とフランクに、対立構図にならないように判定について話をしていました。

―判定について、試合後に感情的な批判をしてしまう監督や選手もいたりします。

原:私もコーチや監督としてJクラブに在籍していたので、気持ちは分かります。微妙な判定で負けてしまうと、「俺たちは、この一試合に人生を賭けているのに」と言いたくなってしまいます。
でも、それは審判も同じです。DVD「審判」をご覧頂ければ、どれだけの準備をして試合に臨んでいるのか分かりますよね?
サッカーは全員がミスをするスポーツです。監督や選手もミスをしますよね?審判だって同じです。にもかかわらず、審判に対して、一回のミスを一生言い続けるのはサッカーの本質とは違います。
だから、私は監督を務めたチームでは、「審判に執拗に異議を唱えるな」と言っていました。
監督によっては、選手に「審判には何も言うな。俺が言うから」という監督もいますし、逆に審判にプレッシャーをかけ続ける監督もいます。

岡田:あるチームの選手から相談されたことがあるのですが、「岡田さん、監督から審判にプレッシャーをかけろって言われるんですけど…」と(笑)。選手は、そういったことをしたくなくても、監督に言われて仕方なく、オーバーリアクションで審判に迫ることもあります。審判との接し方はチームや監督の色が出ますよね。

原:そうですね。審判についてあえて言及したり、プレッシャーをかけるのをパフォーマンスとして使う監督もいます。

岡田:サッカー観ですよね。

原:ただ、審判がいないとサッカーの試合は成り立たないということは絶対に忘れてはいけないと思っています。
たとえば、試合の判定基準一つでも難しいです。プレミアリーグのように激しいコンタクトで試合を進めたいと思っていても、監督や選手はどうしても熱くなります。そこで審判が巧く入れないと、怪我人が出てしまう訳です。
本当に大事な存在です。さらにいうと、試合後にどんなに判定に文句を言っても、判定は変わらないのがサッカーです。

岡田:審判の判定ミスが勝敗に絡んでくれば、厳しい発言が出る気持ちは分かります。ですが、ご理解頂きたいのは、審判がミスをしないように100%全力を尽くしても、人間ですのでミスは起きてしまうのです。
海外の試合の中には、審判がわざとミスをするようなことがあります。ですが、日本の審判は絶対にそんなことをしません。常にベストを尽くそうとしています。

原:岡田さんが言うように、日本の審判は真面目です。監督や選手が試合中にエキサイトしてしまうのは理解できるのですが、審判は決して敵ではないというのが前提にあって欲しいです。同じサッカーファミリーの仲間というリスペクトがあり、審判に自分の主張をすべきです。
もちろん、昔は審判側にも問題があったと思います。審判は教育大系の方が多かったからか、どうしても先生から生徒への上から目線で『こうだ!』と仕切るようなレフェリングばかりでした。悪くいうと高圧的で、コミュニケーションをとれない印象を持っていました。
でも、今のJリーグ担当審判員たちは、昔とは違いますよね?

岡田:昔とは全然違うと思います。今は選手と審判が良い試合を目指そうと同じ方向に進めていると思っています。今はプロフェッショナルレフェリー(JFAと契約するプロの審判)もいますし、プロの審判を目指す人もあらわれていて、審判に対する見方が変わった部分もあるのではないでしょうか。

原:だからこそ、そういったことが伝わるように、もっとオープンにするべきだと思っています。今回のDVD『審判』もそうですが、審判で生きている人の生き様などがもっと伝わるようなコンテンツを出していければ、審判の難しさ、あるいは審判の素晴らしさが語られるようになるはずです。良い試合を吹いた後の審判は、疲れ以上に試合をしっかりコントロール出来たという充実感があります。そういった試合後の審判の表情をファン・サポーターにも見て頂いて、「いい顔しているよね、審判は」というようになってほしいです。皆がそれぞれの立場からそれぞれを思いやるようなリーグを目指していきます。

―DVD『審判』にもサポーターの声が入っていますが、正しい判定でもヤジが飛んでしまうことがあります。どちらかのチーム側から批判されることが多い審判を目指す人を増やすためには、何が必要でしょうか?

原:一番改善しなければいけないのは待遇だと思っています。Jリーグには、いわゆる“DAZNマネー”が入ってきたこともあり、選手の年俸も上がっています。ですが、プロフェッショナルレフェリーの年俸に変化はありません。
また審判という職業で一生を描くのが難しい部分もあります。たとえば、監督やコーチのポジションは多くあり、一般企業の定年くらいまで務めることが出来ます。ですが、審判は現役を50歳前後で引退した後のポジションとなると審判委員会くらいで、人数にも限りがあります。監督やコーチのように多くの選択肢がありません。
審判を好きな人でも、審判か監督コーチの道、どちらかを選べと言われれば、審判を選び辛い環境にあると思います。

岡田:欧州では、無給休暇の文化が根付いているので、トップの審判も別の仕事を持っていることが多いです。たとえば、銀行員だったり、警察官だったり。シーズン中は審判に専念して、シーズンが終われば、仕事に戻っていく。そして、審判として現役を引退した後は、今度は仕事一本に専念するようなシステムです。日本でも、そういったタイアップしてくれる企業が出てくると良いですよね。

原:いま、それを考えています。たとえば、Jリーグには明治安田生命様というパートナー企業がいらっしゃいます。そういった企業に、アスリート枠的に、審判枠を設けて貰えれば、欧州のような審判文化を作っていけるはずです。
それは企業にもメリットがあると思っています。運動部が就職で有利だったりしますよね?体力、規律、チーム力を企業に求められているからでしょう。
そんな彼らは選手がほとんどで、良いプレーをして、勝つことで評価されてきました。一方の審判は、良い判定をしても、チームやサポーターから不満を言われてしまいます。その中でも、審判として誠実に仕事をこなしているんです。
そう考えると審判は選手以上にタフですし、仕事もプライオリティを持ってこなせるはずです。
実はJリーグでもJリーグ担当の副審を雇っていますが、凄く優秀です。彼は、仕事をしながらも、昼休みは走ったりなど、アスリート能力を維持しています。二足の草鞋を履きながらも頑張っている同僚がいるというのは、Jリーグの他の職員にも良い刺激になっています。
そして、審判にとっても、企業の中で経験を積むことで、社会人として大きくなれると思います。
プロフェッショナルレフェリーだと、「〇〇はダメ」など審判の世界に閉じ込められてしまう部分も出てきます。審判の世界だけだと、息苦しいと思うのです。
日本の審判はコミュニケーション能力が足りないという声を聞きますが、それを伸ばすような刺激を与えることもJリーグとして考えていきたい。企業とのタイアップは、そういった場になると思っています。

>>>中編後編に続く

■ヨコハマ・フットボール映画祭2020
http://2019.yfff.org/

■ドキュメントDVD『審判』ダイジェスト映像
https://www.youtube.com/channel/UCFFz7Q7QTcWkAyzHI9cNstQ

■ドキュメントDVD『審判』販売ページ
https://store.jleague.jp/item/P0000037838/

 

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