観客の入場開始時間にはあがっていた雨は、キックオフ前に霧雨となってまた降り出し、試合中はずっと降っていた。土砂降りのような激しさはないけれど、風で記者席にまで吹き込んで机や洋服などをじわじわと確実に濡らす。その天候は、完敗してしまうほどのどん底状態ではないけれど、すっきりとは勝ちきれない千葉の現況のようだった。
2試合無得点の千葉は前節からスタメンを3人入れ替え、これまでの1トップから今季初スタメンのFWの荒田智之と大塚翔平の2トップにして、DFマーク ミリガンがダブルボランチの一角に入った。一方、富山は試合後の安間貴義監督の発言を聞くと、負傷欠場中のキャプテンのDF足助翔の不在の影響を考えて3バックから4バックに変更。だが、試合後の大塚やDF大岩一貴は富山のシステム変更に戸惑いや影響はなかったと話し、実際のところ千葉は前半だけで11本ものシュートを打つほど富山を攻めたてた。
しかし、千葉の前半の決定機は0。アーリークロスが簡単に相手GKにキャッチされることが多かった前節の反省から、両サイドバックはゴールライン近くまで突破を図った。大岩は雨でスリッピーなピッチコンディションを考慮して「グラウンダーや低めのクロスを意識した」うえに、効果的なサイドチェンジのパスも出して工夫もしていた。だが、千葉のシュートは気持ちに余裕がないせいか、必死に体を寄せて何とかブロックしようとする富山の選手の守備の範囲内か、精度を欠いてゴールの枠外に飛ぶことが多かった。
後半も富山を押し込みながら『1点』が遠い千葉に、ようやく待望の『1点』が入ったのは69分。兵働のCKを大岩がヘディングしてこぼれたのをマーク ミリガンが押し込んだものだった。だが、その10分後、交代出場していたFW藤田祥史が接触プレーの際に自分へのファウルの判定がなく、自分のファウルの判定に怒っていると、千葉の選手はそれに気を取られて一瞬止まってしまったようだった。富山のMF大西容平が素早くFKを蹴るとファーサイドで交代出場していたFW平野甲斐がヘッドで落とす。すると、この試合で一番ミドルシュートのパワーとスピードが脅威だったMFソ ヨンドクがすかさずシュートを打ち、ボールはブロックしようとした千葉のDF竹内彬に当たってはねるとゴールマウスへ。劣勢だった富山が千葉の一瞬の隙を突いて同点ゴールを奪った。
逆転勝利はできなかった富山だが、粘り強い守備で失点を1に抑えて連敗を3で止めた。前線からボールを追い、プレスをかけて、千葉の選手を楽にプレーさせない守備に貢献した攻撃陣は、次節はゴールを奪うためのプレーで貢献してチームを勝利に導きたい。
試合後、千葉のDF山口智は「後ろの選手としては相手に点を取られてしまって申し訳ない」と話した。実際のところもったいない失点ではあったが、第10終了時の千葉の総失点6はJ2リーグで2番目に少ない。問題なのは、今節で22本ものシュートを打ってセットプレーの1点のみの攻撃だ。J1昇格を逃した2シーズン、千葉の総得点数は多い方だったが、本当に欲しいところで取れないという意味では得点力不足で、それは今季もまだ改善されていない。ボールを保持してパスはつながっても、相手の予測の範囲内の攻撃の形では決定機は作れない。これまでDFの背後へ斜めに走って飛び出そうとする藤田やFW深井正樹が欲しいタイミングでパスが出ないことが多く、本当の意味での点を取る攻撃の連係ができていない。フィニッシュの場面のプレーの精度と連係の向上は急務だ。
以上
2012.04.28 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
一覧へ- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













