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【J2:第1節 福岡 vs 富山】レポート:特別な試合の結果はスコアレスドロー。それぞれのチームに勝点1が意味するもの(09.03.07)

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3月7日(土) 2009 J2リーグ戦 第1節
福岡 0 - 0 富山 (13:03/レベスタ/9,102人)
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 開幕戦はどんなチームにとっても難しいもの。そして、「勝数」ではなく「勝点」を争うリーグ戦では、何よりも負けないことが最優先。それを考えれば、スコアレスドローという結果は、福岡にとって悪くはない結果だ。しかし、この日、福岡が求めていたのは内容ではなく結果。いい準備を結果につなげられず、優位に進める試合でわずかな隙を突かれて敗れてきた過去2シーズンを振り返るとき、福岡がJ1昇格のゴールに辿り着くためには、どんな状況でも勝利を収める力が必要だったからだ。

「ダイナミックな動きが足りなかった」と篠田善之監督が振り返ったように、開幕戦特有の雰囲気の中で硬さが見える福岡のパスは足元につなぐものばかり。前後半の立ち上がり、あるいは流れの中からリズムを掴みかけた時間帯もあったが、それを自分たちのミスで富山に受け渡した。スペースへロングボールを蹴る富山の攻撃を怖がってラインはズルズルと下がり、中盤には大きなスペースを空けた。しかし、開幕戦ということを考えれば想定の範囲内。上手くいかないのは承知の上での戦いだった。

 悪かった部分ばかりではない。時間とともにジリジリと相手に主導権を握られる戦いは、昨年までの福岡なら確実に失点し、そして敗れていたゲーム。しかし、18分のPK、48分のピンチは吉田宗弘が好セーブで跳ね返し、姜鉉守に裏を取られた71分のプレーでは、山形辰徳が長い距離を戻ってスライディングでシュートをブロック。無失点に抑えたのは収穫のひとつだ。シュート数8本は満足のいくものではないが、それでも、多くの人数がボールに絡む、目指す形でのチャンスも作った。変わりつつあることは見て取れる試合だった。

 51試合を戦うリーグ戦で開幕をピークで迎える必要はない。課題と収穫が混在する中で勝点を重ねるのがセオリーでもある。その中で昨年と変わりつつある姿も見せた。だが、福岡が最も必要としている「結果を手にする力」は、まだ身に付いていない。そういうゲームだった。福岡のJ1昇格のゴールを目指す旅路は、その力を身につけるための旅路。厳しい言い方をすれば、いきなりつまずいたわけだが、J1昇格争いが例年にない激しいレースになるのは承知の上。この日の結果を正面から受け止めて次節に向かえばいい。大切なのは常に目の前の試合。アウェイの草津戦(3/15@正田スタ)で一歩進んだ姿を見せてほしい。

 翻って富山。クラブの歴史に残る記念すべきJリーグの第一歩を、彼らは胸を張って刻むことができたのではないか。失うものの怖さがなく、ただ思い切りプレーをすればいいという条件下にあったにせよ、初めての舞台で、臆することなく自分たちの力をぶつけた姿に、富山から足を運んだサポーターを十分に納得させたはずだ。「今日のゲームも心底疲れたという感じです。でも選手はすごく楽しそうだし、勝ったわけでもないが『やりきった』という姿勢が見えた」(楚輪博監督・富山)。その姿勢こそ、彼らの大きく広がる未来への土台になる。
 戦いぶりも見事だった。福岡に硬さが見られたように、前半の富山もギクシャクしたプレーが目立ち、自分たちの人もボールも動くサッカーを表現していたとは言い難い。前からアグレッシブに仕掛けることもできず、拾ったボールを前線に向けて放り込むだけのサッカーに終始。チームの攻撃の要となる朝日大輔が、右サイドで縦に仕掛けるだけの単調な攻撃しか組み立てられなかった。しかし、後半に入ると自ら流れを引き寄せた。

「後半は右から左へ、右から左へと意識付けした。同時に、中盤のボランチの間でうちの5番(長山一也)と10番(上園和明)がフリーになっていて、13番の長谷川満は相手の田中誠選手に競り勝っていたので、長谷川に預けてセカンドボールを拾って起点にすることを狙った」(楚輪監督)。
 この狙いに選手たちは応えた。中盤の動き出しで福岡を上回り、スペースへ飛び出す選手、ボールを追い越していく選手が増えていく。やがて、チーム全体の運動量でも福岡を大きく上回った。後半が富山のゲームであったことは誰もが認めるところだろう。
 決定機まで持ち込めなかったのは課題ではあるが、初めてのJリーグで彼らに必要なものは、どんな状況でも、どんな相手でも、今できることをやりきること。記念すべき試合で富山はそれを見せてくれた。

 さて、勝ちきる力がなく悔しい思いを重ねた福岡。やりきることの大切さを体感した富山。スコアレスドローという結果は、それぞれのチームに違った感情をもたらした。しかし、両チームにとって大切なことは変わらない。それは、この日感じた思いを、これから続く50試合にぶつけ続けられるかということ。その先に、それぞれのチームが目指すゴールが待っている。


以上

2009.03.07 Reported by 中倉一志
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