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【日本代表vsオマーン代表】 ジーコ監督(日本代表)記者会見コメント(04.02.18)

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 こういった非常にハードな展開になるというのは前もって予想はしていた。ここ数日、選手たちと確認しあってきたが、初戦からどの試合も自分たちのサッカーをさせてもらえないと思っていた。今日も相手のハードなマーク、中盤での激しいつぶし、それと(日本代表の)中盤のキープレイヤーに対して、殆どマンツーマンでついてくることも予想していた。

 その中で、なかなかチャンスが得点に結びつかないということで、いらいらして攻め急ぎ、最終的に相手の術中にはまってしまうということが一番怖かった。

 レギュレーションも含めて、90分間をフルに使い1−0で勝っていけば確実に最後には本大会行きが我々のものになる。だから、一瞬たりとも焦らずに自分たちのサッカーが出来るように精神状態をクリアーにしておいてほしいと思っていた。
 
 非常に厳しい展開の中で、選手たちは最後までそれを実施してくれたと思っている。相手の潰しの時に、今までだとどうしてもイライラしてゲームが作れないことが多かったが、今日は選手たちがしっかりしていたので、最後まで信じることができた。最後の最後まで試合を諦めない、絶対得点を取るんだという気持ちが現れた試合だったと思う。


Q:ハードマークは予想されていたことだと思うが、どうやって点を取るイメージだったか?後半、久保を入れた後は中村から中に放り込むボールが多くなったと思うが、監督の指示によるものか?

A:相手がハードマークしてくることは、データ上でわかっていた。それに対して我々は速いパス回しでと指示した。中盤で余計なパスを多くすれば相手は詰めてくるので、2タッチくらいで離していくようにと。前に攻められないときはサイドを変える。そうすると必ず相手は複数で潰そうと寄ってくるので、逆サイドに大きなチャンスが生まれると選手に意識させた。オマーンは若いので運動量が抱負だが、うちが速いパス回しでボールを失わなければ、必ずスペースが空いてくる。そこで1〜2人を引きつけられれば、ウラが空く。そこを利用して、とにかくボールを運ぶ。また、山田・三都主の飛び出し(山田は前半飛び出しが多くなく、三都主のほうに攻撃が偏ったけれ
ども)からも、クロスではなくパスを狙った。オマーンは守備に回ったとき、帰陣は速いが複数のDFがボールウォッチャーになる欠点を確認していた。エリア内へパスを合わせることで、必ずシュートチャンスがあると前半は意識していた。
ただし、日本のように作ってくるチームに対して、オマーンは大きなクリアで壊してきた。これをやられた時にイライラしてはダメで、つなぐサッカーを続けようと前半は指示をした。展開もそのとおり。
後半から久保を投入したのは、高さとポストプレーからのよい落としもあるし、相手の最も背の高いDFにも勝てると確信していた。また、外に逃げて相手を1〜2人引き出し、その空いたスペースに飛び込ませろと言った。飛び込む役目はは遠藤でも中田でも中村でもいい。とにかく高いクロスだけではなくて、久保が空けたスペースをうまく使うこと、と指示をした。選手は指示を忘れずに頭をクリアにしてやってくれたことで、今日の結果につながった。
これは今後、監督としての戦いになると思うことだが、実際にこのチームで練習ができたのは昨日の15分ほどだ。ただし、彼らが最高のコンディションで15日でも一緒にできたら、かなり精度の高いチームになると確信している。それが1回でも多くできるよう、これから戦っていく。今日は、彼らのその高い資質をなんとか15分でもいいから、そこに集約して元気を出してほしいと願って送り出した。いろいろなレギュレーションの解釈があると思うが、その中で1日でも多く招集して日本の国内組と一緒に練習できるようにし、連携を作り出していけば、このチームはさらに伸びる。それが自分のこれからのもう1つの戦いだと考えています。


Q:ランキングの低いオマーンに対し、ラッキーなゴールでの勝利だったと思うが、久保のおかげでよく眠れるのでは?

A:私のモットーは、その日にベストを尽くして仕事をすれば、結果は関係なく眠れるということ。また、今日できることを明日に残さず、全力を出してやるということだ。選手とともに働いていると、あれだけまじめに取り組んでいる選手に対して一時も気を抜けない。
拮抗したゲームだったかもしれないが、現代のサッカーはランキングうんぬんではない。勝つということ、勝ち点3を取るということが非常に難しい。億単位のお金を使って選手を集めたチームでさえ、引き分けや負けることがある。そのように実力の拮抗した世界の中で、1-0で勝ってくれたことは非常にありがたい。
私は、選手時代から毎日努力して、1日を満足できるように過ごして十二分に睡眠をとってきた。今日も変わらない。勝ててうれしいが、負けたとしてもゆっくりと睡眠をとれただろう。最後の最後まで、選手たちが絶対に勝つんだという気持ちを失わなかったことに非常に満足している。自分と同じ考えを持っていてくれることをうれしく思った。


Q:初戦は堅くなりがちだが、選手たちにそういう雰囲気を感じたか?

A:日本に長くいて、日本人は感情コントロールの面で弱いと思っていた。就任してから、気持ちをどんなシチュエーションでも冷静に保つように言ってきた。冷静さを保てないと、自分たちのサッカーが出来ない。練習試合でよい形ができても、実際に勝ち点3がかかった中で、特にW杯予選の初戦でホームでやる試合であり、観客もゴールが欲しい勝ってほしいと思うような中でやることは難しい。今日はバランスを崩さず、よくやってくれた。
終盤でミスがいくつかあったが、オマーンがハードなプレスをかけてくる中で、100%ボールをつなぐのは難しい。ただし、今まで見られたような強烈なミスは目立たなかった。これは感情コントロールがしっかり出来た結果。ミスが起こっても未然にほかの誰かがカバーすることができていた。
久保の1点にしても、彼の課題として余裕があっても打ち急いで外したり、GKの正面になったりすることがあるが、今日のゴールに関しては残り時間のわずかな中で1タッチ加え、GKを見て、置きにいった。これは感情コントロールができたという大きな成果だ。


Q:中田は数本ミスがあったと思うが、彼のできと今日のキャプテンシー、またPKを外してしまった中村の評価を。

A:中田は今、ボローニャでも非常にいきいきとやっている。今日はキャプテンとしてもよくやってくれた。彼ほどの選手になれば、マンツーマンでついてくるのは当然であり、やはりすべてのパスを通すことは出来ない。ミスはあったが、そういう場合でもすぐに「次に自分のできることは何か」と考えて、他の選手と連携し、高い位置でボールを奪おうとしていた。彼のような選手がそのように前へつなげようすることが、チームの士気を高めてくれる。

中村については、少し試合出場にブランクがあったが、幸い数日前に来日できた。その間、試合勘を戻そうと努力していたし、昨日はPKの練習もしてすべて決めていた。
私の経験からも言えるが、絶好調でもPKを外すことはある。そこで今日の試合を投げ出してしまうのではなく、その後も自分の役目を果たそうとしていた。試合勘が戻ればもっとよくなるだろうし、今日のプレーには満足している。彼のパスや突破力には大きな期待を持っているし、早く復帰してさらに上を目指してほしい。


Q:小笠原・鈴木の交代の意図は?

A:今さら説明することもないだろうが、小笠原の長所はクリエイティブな面、パス出し以外にシュート力のあるところだ。一昨日に中田と、今のチームでのポジションについて話した。彼は2ndボランチという役目について「いい感じでやれている」と言っていたので、そこでのスタートも考えたが、前での能力と相手へ与えるプレッシャーの大きさを考えて2トップに近い位置でスタートさせた。後半はマークも厳しくて潰されるシーンも目立ったのでフリーでボールを受けられる位置に下げようと思い、小笠原を入れた。小笠原も彼のよい面を出してくれて、枠にいったシュートもあった。最初からプランにあった交代だ。

鈴木に関しては、高原が足にきていると感じた。鈴木は高さとポストになってアーリークロスを受けるのがうまい。中盤を省略してでも、そういうボールを受けるという時間帯になってきたので、交代させた。


Q:速いパス回しとサイドチェンジはできたと言ったが、縦のパスが通りにくかったのはオマーンのプレスがきつかったから仕方ないという見解を持っているか?

A:オマーンは中盤のマークがハードで、ボールを失えば10人で引いてしまう。彼らにとって怖いのは中央突破なので、ワンツーを多く使ったりしたが、危ない場面ではとにかく大きなクリアで逃げられてしまった。彼らはボールサイドに寄る癖があるので、サイドを意識して多く使わせた。そうやっているうちに中が空くので、ミドルレンジからも打っていくようにと言った。少ない人数でゾーンで守ってくるようなチームであれば、速いパスを回すことで崩すこともできたが、今日はサイドから攻めざるを得ない。中央突破を恐れる余り、3バックが真ん中に寄って、両サイドが空く。そこに意識的に長いボールを放り込んだ。
このチームの課題でもあるが、高いテクニックがあるチームはつなぎまくってシュートを打たない。言い続けている成果があって、積極的に前が開いたらシュートを打つ姿勢が見られるようになってきた。最近は遠目からでも打つようになり、そうしていくことで精度も上がっていくだろう。久保のゴールは、よいシュートで試合を結んでくれて満足している。


Q:FKやCKからのバリエーションが少ないが、指示などはしているか?

A:1〜2日かけて、バリエーションの練習はしたので、選手たちの頭にはあると思うがうまくいかなかった。久保に合わせるだけのように印象づけたかもしれないが、残念な形になってしまった。今日はオマーンのGKの質も高かったし、選手とは確認しているがキックの精度も高まっていなかった。遠目からでも打てる形を作れるようにしたい。


以上
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