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【2006FIFAワールドカップドイツ大会 アジア地区最終予選 日本代表 vs バーレーン代表 レポート】消極的なバーレーン代表を一蹴。小笠原の値千金のゴールで日本がW杯出場権獲得へ大きく前進。(05.06.04)

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2006FIFAワールドカップドイツ大会 アジア地区最終予選
6月3日(金)25:35キックオフ(日本時間)
バーレーン代表 0-1 日本代表
得点者:小笠原満男'33
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 ジーコ監督のサッカー哲学やこれまで日本代表で作ってきたチームの方向性を考えると、まさに得点シーンはその哲学がはっきりと出た形になる。あまりにも多くの選手を経由しすぎて、ゴール直後には誰がどのように動いていたのかの確認を巡って混乱したほど。選手たちのイマジネーションによって実現した連動性と、それによって生み出されたゴールは、本当に素晴らしいものだった。
 
 さらにゴールの要因を付け加えるとすれば、それは小笠原満男のゴールに対する強い気持ちだったと言える。得点の場面では、パスを受けた瞬間に中村俊輔が右側のフリースペースに走り込み決定的な状況を作り出していた。柳沢敦も左側のスペースへ飛び出してチャンスを作っていた。つまり小笠原にはパスコースは2つ存在したが、そこで迷わず最後にして最大の選択肢。つまりシュートを選んだのである。
「みんなが連動してマークを引っ張ってくれたり、あそこではワンツーの選択肢もあったんですが、スッと出て行ったんで。その前も何度かパスしてた場面があったので、次は思い切って打ってみようと思っていました。キーパーが若干右寄りだったので、右のモーションで引っかけて左に蹴りました」(小笠原)
 冷静にGKのポジションを確認し、ワンフェイクを入れてからシュートを放つ。トップレベルのプレーヤーだからこそなしえたゴールシーンと言えるだろう。

 ただ、一つだけ不満を述べさせてもらうと、日本はこの試合で何度かの決定機を得たが、その中の少なくないチャンスにおいてシュートを打つことにためらいを見せていた。
「チームメイトが連係して形を作ったのだから、このチャンスを大事にしたい」という心情がその消極的とも受け取れる姿勢の要因の一つになっていると仮定すれば、それは全く必要のない気遣いだった。結果的にシュートで終われないことの方が、チームメイトには痛手となってしまう。
 このチームの団結力は高く、それは小笠原の「本当に大事なのはチームが一丸になること。出られない選手も声をかけてくれて『ガンバレよ』といってくれたりして、そういうの(気持ち)もすごくうれしかった。ケガした選手も、出られない選手も本当にみんなで助け合った勝利だと思います」という言葉で証明されており、それがこの結果をもたらしたとも言える。

 この試合にW杯への望みをつないでいたバーレーンは、前半16分の接触プレーによって、サルミーンがケガをしたのが最後まで響いた。まだ彼が残っていた前半は、チーム全体に戦う意識が残されており、何度かの決定機を作り出せていた。ところがケガでサルミーンを下げざるを得なかった後半に入ると、めっきりとチャンスメイクできる回数が減り明らかに出足が鈍くなった。
 中盤での日本ボールに対してもプレスがかからず、簡単に日本にボールを回させる状況が続く。もちろん中村が「中盤が多いフォーメーションだとある程度回せる」と指摘するように中盤の枚数の多さも、多彩なパス回しの理由の一つにはなっていたと思うが、それにしてもバーレーンの選手たちの足は重くなった。

 全く攻め手を作れなくなった後半になると、バーレーンサポーターも元気をなくしていく。応援のトーンが下がり、75分過ぎ頃からじわじわとスタジアムを後にする人が目立つようになる。サルミーンを失い、疲労の色を濃くにじませる自国の代表チームに対する諦めの心境がうかがえる。
 振り返ってみると、前半からバーレーンは攻撃に対して禁欲的だった。まだアウェイの日本が、無理をしない戦いを見せるのであれば理解はできるが、バーレーン代表がホームでやるべき姿には見えなかった。
 バーレーンで乗ったタクシードライバーが言っていた「シドカ監督のサッカーはつまらない。前に出て行く前監督の方が良かったよ」という言葉が思い出される。現監督に対する評価と目の前での試合ぶりを総合すると、大事なW杯最終予選における1点差の試合終盤での観戦、もしくは応援放棄の理由が推し量れる。大方のバーレーン人は敗戦を受け入れているように見えた。ただ、帰りのタクシードライバーだけはどうしても悔しいようで運転中にも脱力の様子をありありと見せていた。
 
 いずれにしても、大事なアウェイでの決戦をものにした日本代表は、予選突破に向けて大きく前進。バンコクでの北朝鮮戦では引き分け以上の結果で、日本の3大会連続となるワールドカップ出場が決まるという状況を手にしている。


以上

2005.06.04 Reported by 江藤高志
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