第84回全国高校サッカー選手権大会 準決勝:国立競技場
鹿児島実業(鹿児島) 3-0 遠野(岩手)(12:10キックオフ/17,259人)
得点者:39分 迫田亮介(鹿児島実業)、50分 迫田亮介(鹿児島実業)、67分 永岩貞亮 (鹿児島実業)
野洲(滋賀) 1-0 多々良学園(山口)(14:15キックオフ/19,082人)
得点者:45分 瀧川陽(野洲)
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連覇を狙う鹿児島実業対粘り強く戦い勝ちあがってきた遠野の第一試合。チームの要である主将の小島暢明(3年)、ボランチ・千葉竜司(3年)そしてセンターバックの佐々木勝洋(3年)と主軸の3選手を累積警告で欠いた遠野に、試合開始直後から鹿児島実業の猛攻が始まる。中盤での激しいプレッシャーからボールを奪うと両サイドに開いた永岩貞亮(3年)、豊満貴之(3年)が起点となり、前線の迫田亮介(3年)や栫大嗣(3年)が遠野ゴールを脅かした。
しかし、遠野は、5バック気味になった守備陣と、これまでもファインセーブを連発しベスト4進出の立役者になったGK高橋佳豊(2年)を中心に必死のディフェンスを見せる。「前半0−0ならプランどおりでした」と松田光弘監督。東福岡や那覇西など強豪校の猛攻に耐え、後半で勝負を決めることが多かった遠野。しかし、王者は違った。「あの瞬間だけ足が止まってしまった」と唇をかみしめた高橋佳の話すように、前半39分、右サイドの永岩のクロスに、両チームの選手がゴール正面で競り合い、こぼれたボールを赤尾公がシュート。遠野DF陣がオフサイドを取りに行ったところに、抜け出した迫田が押し込み先制点が生まれた。「前半の最後で気が抜けたのか失点し、後半のプランが崩れた」と松田監督。後半に入っても、鹿児島実業の攻撃が次々に襲い掛かる。自陣で粘りを見せた遠野も、後半10分、27分と失点し、王者の前に力尽きた。
「遠野の選手が主軸3人、累積警告で出場できなく、縦の軸がいなかった。チームのバランスがとれず、集中力がなかったという助けもありました」と鹿児島実業、松澤隆司総監督。粘りの遠野を退け、連覇へ向けて残りは1勝。栫が累積警告で出場できないのは厳しいが「栫のためにも優勝する」(迫田)とキッパリ。王者に死角なしだ。
ともに初めての国立となった野洲vs多々良学園。野洲の山本佳司監督、多々良学園、白井三津雄監督は日本体育大学の先輩・後輩の関係。そして「リフティング教えてと多々良学園の選手が話し掛けに来てくれて、選手同士も仲がいい」(山本監督)関係でもあるという。だからこそ、王者への挑戦権を手にするための一戦は、互いのよさを出しきった好ゲームとなった。立ち上がりに流れをつかんだのは野洲。細かく早いパスワークで多々良学園陣内に侵入すると、平原研(3年)、青木孝太(3年)の個人技でチャンスを作っていく。
一方、多々良学園も平間直道(3年)の正確なフィードを中心にハウバート・ダン(3年)や石田聖雄(3年)にボールを集め、野洲ゴールを脅かす。均衡が破れたのは後半5分。右サイドをドリブル突破した楠神順平(3年)がクロスを入れると、この日も途中出場した瀧川陽はヘディングで合わせてネットを揺らした。「中盤の平間くんとかサイドもスピードがあってウチに似たチーム。お互いに相手のよさを消すのではなく攻撃力を発揮し、守備が頑張るというサッカーになった。すばらしい相手に恵まれました。相手がよかったから(試合が)美しくなる」と山本監督が話したように、野洲の先制後は、互いの持ち味がピッチの中で激しく火花を散らす一進一退の攻防が続く白熱の展開となったが、野洲がこの1点を守りきりタイムアップ。王者への挑戦権を手に入れた。
「国立という舞台の違い、ベスト4で満足ではなく頂点を目指し固くなった」(白井監督)多々良学園と「夢見たいな感じで、試合に出て行くときもみんなにやけてしまった」(平原)と緊迫した試合中でも時折笑顔を覗かせた野洲。勝者と敗者の命運を分けたのは、国立という舞台も楽しめたかどうかだったのかもしれない。
以上
2006.01.07 Reported by 青柳舞子
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