日本は最後まで決して諦めないチーム 試合は1点勝負になる!
■ニコ・コバチ(クロアチア代表/ヘルタ・ベルリン・MF)
6月12日のクロアチア戦(ニュルンベルグ)は日本のドイツワールドカップ1次リーグ突破を賭けた大一番。98年フランス大会のようにクロアチアに敗れて決勝トーナメント進出の道を絶たれるか、それとも8年前の雪辱を晴らすか。まさに因縁の対決となる。
今回のクロアチア代表を率いるのが34歳のキャプテン、ニコ・コバチ(ヘルタ・ベルリン)。ボランチであり、2002年日韓共催大会を経験しているベテランはチームの攻守の要。日本にとっては侮れない存在だ。「1次リーグ突破」に燃えるこの男は日本代表をどう捉えているのか。1月下旬にドイツ・ベルリンで彼を直撃した。
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| ニコ・コバチ選手 |
「もちろん簡単なグループではないですね。確かなことはブラジルとアルゼンチンが優勝候補ということ。F組はブラジルに次ぐ2位の座を、我々クロアチアと日本、オーストラリアで争うことになるでしょう」
Q:日本代表に対する印象は?
「2002年ワールドカップでベスト16進出しましたよね。その戦いぶりを見ましたが、彼らは最後まで決して白旗を挙げないし、諦めない。神風のような戦いぶりでしたね」
Q:98年フランスワールドカップでも日本とクロアチアは戦いました。残念ながらコバチさんはケガをして出場しませんでしたが。「そうですね…。僕らは1−0で辛くも勝ちましたが、あの試合はとても難しいかった。大会期間中、気温がとても高かったですから。今回のワールドカップでも同じ状況が心配されるから、そんなに走り回ることはできないんでしょう。まあ、どっちが勝つにしても僅差のゲームになると思いますね」
Q:98年のクロアチア代表はとても華々しかったですけどね。
「確かに。本当に素晴らしいチームでした。これは僕の意見ですけど、当時のチームは個人技のチーム。多くのスター選手がいました。ボバン、シュケル、プロシネツキ・・・と、個人技で試合を決めることのできる選手が沢山いたんです。今はそんなスターはいないけど、プルショ(レンジャーズ)やロベルト・コバチ(ユベントス)みたいに多少なりとも名の知られた選手はいる。それ以上に大きいのは、今のチームはより欧州らしい強固な戦いができる。全員攻撃全員守備のモダンなサッカーをしているんです」
Q:ユーロ2004後にクラニチャル監督が就任してから、今のような組織的チームが出来上がったのですか?
「いや、今のチームはユーロ2004の時とはそんなに変わっていない。3−5−2システムが少しだけ変化しただけ。より攻撃的になったんです。バリッチ前監督の時も3−5−2だったけど、今よりも守備的に戦っていましたから。今は2人のアウトサイドがとても攻撃的なんですよ。攻撃的な戦い方の方が僕らには合っていると思いますね」
Q:98年のチームと今のチームが戦ったら、どちらが勝つんでしょうね?
「難しいですね…。きっと今のチームが勝つよ。今のチームの方が肉体的にも走力も勝っていると思うから。でも、わずか人口400万の国、クロアチアが98年フランスワールドカップで3位になったのは事実。当時は黄金のチームで強かったですから」
Q:今回はどこに目標設定していますか?
「僕らの目標はまずグループ突破ですね。2002年のワールドカップもユーロ2004も1次リーグ敗退だったんで、今回はどうしても上へ行く必要があるんです。トーナメントに入ればどんな展開もありえる。最も困難なのがグル−プ突破なんだと思います」
Q:日本で注意すべき選手は誰でしょう?
「日本は欧州から非常に遠いので、個々の選手のことまではあまり知らないんですけど。まあ、中田(英寿=ボルトン)やブンデスリーガにいる高原(直泰=ハンブルガーSV)は知っています。それと、この間テレビで見た、スコットランドでプレーする選手。中村だっけ? 彼のように欧州でプレーする選手が少しずつ増えていますよね。その現実も日本チームと選手の質の高さを示しているんでしょう」
Q:ボランチのコバチ選手は攻撃的MFの中村をマークすることになりますね。
「そうなんだ。彼は攻撃的MFの選手なんですね。ならば僕が彼を見ることになると思いますね。いずれにせよ、相手が誰であろうと、どんな試合も簡単じゃない。相手を甘く見ちゃいけないってことですよね。優勝候補のブラジルにしても、ワールドカップの本大会で日本やオーストラリアを甘く見てはいけない。今日ゲームをやって勝った相手でも、明日戦ったら負けるかもしれないんですから。僕も日本とオーストラリアを警戒してはいますけど、尊重もしています」
Q:昨年のコンフェデレーションズカップの日本戦は見たのですが?
「見ましたよ。あの時の日本はブラジルを慌てさせたましたよね。といってもブラジルのF組1位は確実でしょうから、僕ら3チームで2位を争うことになりますね」
Q:日本対ブラジル戦を見てどんな印象を持ちましたか?
「1−1でしたっけ?(実際は2−2)。すごいいいい試合で、かなりの接戦だったという記憶がありますね」
Q:コバチ選手は以前「ブラジルとは引き分けを狙い、日本とオーストラリアからそれぞれ勝ち点3ずつ取ればいい」と話されたようですが。
「(少し笑いながら)それが僕の希望ですね。選手は楽観的にならないと戦えませんから。日本とオーストラリアから勝ち点を取れないなんて、自分の立場からは絶対に言えませんし。積極的に考えて1次リーグで勝ち点7と話しただけです。2002年のワールドカップも、ユーロ2004も僕らの目標はグループ突破でしたし。勝ち点4で上へ行けるなら、それは素晴らしいことだけと思いますけど」
Q:日本戦はどんな戦いになるでしょう?
「日本は肉体的にも精神的にも強いし、90分間全力で戦うことができる。どんな苦しい状況でも恐れることなく、いつも最後まで全てを出し切るチームですね。足元のテクニックもかなりうまいし運動量もある。しかもジーコが監督になってブラジルのスタイルを取り入れています。本当に難しい試合になると思いますよ」
Q:試合のスコアは?
「予想は難しいですね…。たぶん接戦になると思う。4−0とか4−1とかじゃなくて、1点差ゲームになるんじゃないですか。日本とクロアチアのレベルは同じくらいだと思いますから、その日のコンディションで勝負がつくと思いますね」
Q:ユーロ2004のイングランド戦でコバチ選手はラパイッチ(アンコナ)からのFKをうまくゴールに流し込んでいます。日本もあなたの得点力に注意しなければいけないですね。
「確かにイングランド戦では得点しましたね。日本の選手って平均身長はどのくらいなんですか? 180cmくらいなの? だったらクロアチアの方が有利ですね。クロアチアには190cmくらいの選手が4人はいるから。FK、コーナー、センタリングなどのリスタートプレーに対して、日本はきちんと対策を講じないといけないでしょう」
Q:高さはクロアチアの大きな武器ですね。
「確かにそう。日本は絶対に注意しないといけないですね。でも逆に日本は足元のテクニックに優れている。だから繰り返しになるけど試合は接戦になると思います」
Q:分かりました。では最後に、日本のサッカーファンに一言いただけますか?
「OK。日本のファンのみなさん、こんにちは。僕らは2002年の時、日本へ行ったけど、とても気持ちよく滞在できました。十日町のみなさんは礼儀正しくて親切でしたし、今でも日本から沢山のお手紙をヘルタ・ベルリンまで頂いています。僕はとてもうれしいですよ。みなさんは今度のドイツワールドカップでは日本代表を応援するんでしょうけど、クロアチアの応援も忘れないでくださいね!」
以上
ニコ・コバチ選手プロフィール-------------------
1971年10月15日、ドイツ・ベルリン生まれ。身長176cm、体重72kg。
ヘルタ・ベルリンで育ち、レバークーゼン、ハンブルガーSV、バイエルン・ミュンヘンを渡り歩き、現在は古巣のヘルタでプレー。抜群の運動量とスピーディーでクレバーな展開がウリのボランチ。ワールドカップは2002年大会に続いて2度目となる。
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Interview by 元川悦子/取材日:2006年1月














