●U-20 ワールドカップ カナダ 2007
ラウンド16(決勝トーナメント1回戦)
7月12日(木)12:15キックオフ(日本時間)/カナダ・ビクトリア
U-20日本 2-2(PK3-4) U-20チェコ
得点者:22'槙野 智章 (U-20日本)、47'森島 康仁(U-20日本)、74'KUDELA Ondrej (U-20チェコ)、77'MARES Jakub(U-20チェコ)
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まさかの敗戦、というよりもまさかの敗れ方だった。2点を先制しながらも2本のPKで同点とされる。その後、相手は10人になるもその状況下で得点を奪いきれず、120分戦った末のPK戦で涙を飲んだ。
いくらかの不運があったことも確かだ。120分の間に決まった4点のうち3点がPKから生まれ、「帳尻あわせみたいにカードを出して」と吉田監督は珍しく試合後に、審判への怒りを口にしている。不可解さは多々あった。ただ、それが全てではない。前半を優位に進めながらも、2点先制するととたんにチームにゆるみが生じた。
「精神的にもフィジカル的にも、後手にまわることになった」という主旨の話をした吉田監督。相手が徐々に押してくる中で、もう一度チームをたてなおす力はなかった。
「調子に乗りやすいチーム」と、指揮官から小言があってもそれをポジティブに捉えることのできる選手達だった。「調子に乗ったら俺らは強い」明るすぎるくらい明るい彼らだがグループリーグ3試合の快進撃で、この2年半で一番の自信が生まれた。アジアユース決勝前にも、彼らから自信を感じたものだが、その際の単なる高揚感とは違う、戦う力もついてきたように感じていた。
だが、実際はその「調子の良さ」に自分たちから溺れていった感がある。「調子乗り」達のウラ面が出た、とでも言おうか。厳しすぎるかもしれないが、おそらくそうだろう。
あまりにもあっけない、時間が経っても信じることが難しい敗れ方。「でも、これが実力なんだよ。グループリーグは戦えるけどその上にいったら厳しい。勝ちたい気持ちも相手のほうが強かった」と内田篤人。そんな現実が見えた試合だったかもしれない。
【62対32】
前半は終始圧倒した。相手が引いて守備的に試合に入ってきたため、中盤にはスペースが出来た。グループリーグ3試合で力を発揮しきれていなかった柏木が、それを上手く使い攻撃を操る。前半22分その柏木のコーナーキックから、槙野がヘディングを叩き込んでの先制点を叩き込む。だがそのコーナーキックにつながったシーンも梅崎とその柏木が左サイドを崩し、最後は柏木がドリブルを仕掛けたところから生まれている。形としてはセットプレーからの得点だが、チェコにはほとんど形も作らせない、前半。終わってみればボールポゼッション率は62対38と圧倒している。
【天と地と…】
後半立ち上がり早々の47分には、田中が仕掛けたところを倒されPKを得る。キッカー森島が難なく沈め、2−0とする。この2点目がいけなかったか、それとも何がいけなかったのか。この後選手たちは、自分たちがここまで貫いてきた戦い方を半ば放棄した。つまり手の内に転がりかけた勝利を確実にするために、これまでと間逆に「腰の引けた戦い」を演ずることになった。時間と共にプレッシャーを強めるチェコ。怒涛の反撃のさなか、こらえきれず、PKによる2失点と言う悲劇は生まれた。取り返すことの出来ぬまま、延長を終え、そして敗れた。
堰を切ったかのような号泣した姿でスタンドへの挨拶に回る選手たち。その後ロッカールームでの「嫌なことや傷つけることも言ったかもしれないけれど。これで終わりじゃない、これが始まり」などと涙ながらに話す指揮官に選手たちは再び涙したという。「胴上げして恩返しがしたかった」ともうだいぶ泣いたので吹っ切れました、とカラ元気を見せながら、笑いながら話した槙野智章の言葉は、真剣で21人の総意だった。
「悔しいです。本当に悔しいです」一番最後、誠実に取材陣に対応しながらも、言葉に詰まった福元洋平。その一言が、この試合の全てで、この先の原動力でもある。「結果が出てからあれが原動力だったといえるようにしたい」とその福元。それが結果の世界の厳しさでもある。
吉田ジャパンの世界挑戦は終焉を迎え、チームは解散。選手たちは帰国とともに再び走りだす。だが、これは彼らの長い長いサッカー人生の始まりで、ちょっとインパクトの大きい一幕だったに過ぎない。
以上
2007.07.13 Reported by 了戒美子
J’s GOALニュース
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