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【J2:第31節 札幌 vs 鳥栖 レポート】鳥栖がパスワークを武器に首位・札幌に挑み敵地で勝ち点1を獲得。札幌はゲームプランの確立が今後のテーマか(07.07.28)

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7月28日(土) 2007 J2リーグ戦 第31節
札幌 1 - 1 鳥栖 (16:03/札幌厚別/7,496人)
得点者:'14 西谷正也(札幌)、'63 藤田祥史(鳥栖)

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1−1のスコアで迎えたゲーム終盤、接触プレーで倒れた選手はすぐに起き上がり自らのポジションに素早く戻っていく。また、ボールがラインから外へ出た際にはどちらの選手もすぐさまボールボーイにボールを要求していち早くプレーの再開をしようとする。両チームの監督、コーチらはマイボールになるたびに身振り手振りに大声を加え、押し上げを促していた。勝ち点3が欲しい、その意識が強く感じられる時間帯だった。

結局、試合は1−1のドローゲーム。互いに最後まで勝ち点3を追い求め、放ったシュートは札幌が11本で鳥栖が12本。そうした部分だけを見れば、互角な試合展開が演じられたように思うかもしれないが、その内容を振り返れば、9位の鳥栖が首位の札幌を終始上回っていた。そういう試合だった。

札幌は今週の水曜日に前節・30節の仙台戦を敵地で戦い、この試合は中2日というハードなもの。それに対して鳥栖は前節に試合が組まれておらず、ほぼ万全なコンディションで北海道に乗り込んできた。しかし、それを差し引いたとしてもこの試合でのパフォーマンスは鳥栖が札幌を上回っていたと言っていい。

鳥栖は中盤の底でプレーする高橋、高地を中心にショートパスをつないで攻撃を組み立てていった。彼らの位置で横パスをつなぎ、そうすることで札幌のMF中央の芳賀、大塚を引き出して相手のゾーンディフェンスにギャップを作り出し、そこへ長身FW金を入り込ませることで何度も攻撃の起点を作った。時にはその金をおとりにして藤田がポストプレーをこなし、清水、鐵戸という右サイドの選手へ効果的なパスを供給し、本職のサイドバックではないカウエが守る札幌の左サイドを強襲した。
14分に、リスタート時の位置取りからPKを取られて札幌に先制を許してしまったが、その後も臆することなく積極的にボールを動かし、あらゆるエリアで札幌のゾーンディフェンスを乱すことができていた。

中盤で横パスを動かして相手のMFを引き出し、そこでバイタルエリアにスペースが生まれたならばそれを利用し、もしそのバイタルエリアを埋めるべく札幌の最終ラインが押し上げてきたならばミドルパスでその裏のスペースを突く。そうした明確な狙いを持った鳥栖の攻撃は90分を通して機能していた。
惜しむらくは、横パスをベースに攻撃を組み立てることを意識し過ぎたのか、縦に一本スピードのあるパスを蹴れば完全に崩せるような局面を作り出しながらも、そこで横パスを蹴ってしまい、効果的なチャンスを幾つもフイにしてしまったことだろう。

一方、ホームの札幌はPKで先制こそしながら、なかなかチャンスらしいチャンスを作ることができなかった。ボールを奪っても縦に急いでしまうシーンが目立ち、中盤もしくは前線でボールをキープすることができないため、全体のプレーゾーンを高めることができず、そうして鳥栖に有効なスペースを与えてしまうという悪循環に陥ってしまっていた。1点をリードしているのだから落ち着いてボールを動かして時計の針を進めればよいはずなのだが、鳥栖のパスワークに押し込まれているという焦りからか、落ち着いたゲーム運びをすることができないでいた。
そして63分、鳥栖はカウンターから金を縦に走らせると、その金が巧みな体の使い方でアタッキングサードに進入し、ペナルティエリア内に差し掛かったところで札幌・曽田に倒されてPKを獲得。これを藤田が冷静に決めて1−1のタイスコアとした。

「これまでのような勝ち方がなかなか出来なくなってきた」とは試合後の札幌・大塚の弁。今季の札幌の勝利パターンといえば、セットプレーなどを含め相手の隙をついて得た1点を、持ち前の守備力で守りきるというもの。それが、ここ最近では特徴であるゾーンディフェンスが他チームに研究され、思うような逃げ切りが出来なくなってきたということだ。

そして、キャプテンの芳賀は「2点目を取れなかったことが大きかった」と先制しながらも勝てなかった要因を見る。確かに、1−0の状態から追加点を奪えていれば、その時点で試合の大勢を決めることができただろう。そして、同点に追いつかれてからも2点目を奪うことができていれば、勝ちきることはできたはず。しかし、その得点を奪うための攻撃の形が作れていなかったこともまた、事実である。前節はU20ワールドカップから復帰した藤田のチャンスメイクで流れの中から2得点を奪ったが、その藤田へのマークが強まったこの試合では、効果的なチャンスをなかなか作ることができなかった。

そうなると、また新たな課題が生まれてくる。1−0とリードしてからの時間帯に、そのリードを守りきることに力を注ぐべきなのか、それとも追加点を奪って試合を決めることを意識するのか。この試合でもそうしたゲームプランがハッキリせず、その結果、鳥栖に勢いを与えてしまった印象がある。もちろん、守備意識を若干高めながら、相手が前がかりになったところをカウンターで脅かすというのが最も理想的な試合運びなのだろうが、そうした狡猾な試合運びを無難にこなすことはJ1クラブでさえ難しい。堅守をベースにここまで躍進してきた札幌が今後、どのような試合運びを優先していくのか。これは大変興味深い部分である。

そして、好パフォーマンスを見せた鳥栖だが、この試合は間違いなく今後につながるだろう。岸野監督は「勝たなかったので『ようやった』とは言えない」と厳しさだけは忘れなかったが、次節以降への手応えは間違いなく掴んだはず。

後半戦へと差し掛かったJ2だが、まだまだ20節以上も残されている。今後どういった展開でリーグが進んでいくのかは誰にもわからない。首位をいく札幌の三浦監督も「まだまだ多くのチームに(昇格の)チャンスはある」と言い切る。果たして、最後に笑うのはどのチームなのだろうか。

以上

2007.07.28 Reported by 斉藤宏則
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