■キリンチャレンジカップ2007
8月22日(水)18:31/九石ド/37,240人
日本代表 2-0 カメルーン代表
得点者:25'田中マルクス闘莉王(日本代表)、89'山瀬功治(日本代表)
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●イビチャ・オシム監督(日本代表):
「ご覧のとおり、我々に何が出来るか、何が出来ないのかはっきりした試合でした。また、強いリーグでプレーしている選手と、そうでない日本の選手の違いもはっきりしたと思います。個人能力、身体能力などの違いはありますけれども、(集団での)コレクティブな違いはそう大きくはなかったと思う。こういう強い相手と対戦する機会は多くありませんので、選手たちがここで何かをつかんでいてくれれば良いと思います。フィジカルの違いがある戦い方、ボールをめぐっての競り合い、そういう経験をつんでもらったかもしれません。こういう対戦相手は日本には存在しておりません。彼らと比べた体格の差などを、もっと走ること、もっとコンビネーションを磨くことによって補わなくてはならない。
中盤でボールを簡単に相手を渡してしまっただけでなく、ゲームをコントロールできない時間が続いたのはご覧のとおり。そういうところで強いチームはミスをしないものです。ですから、必要のないところ、本来すべきでないところでミスをしてしまったことは反省点です。一部の選手が予想以上に興味深いプレーをしてくれたことが収穫だと思います。
昨日話をしたとおり、トレーニングは守備のための練習をしておりました。攻撃のための練習はほとんどしませんでした、しっかりした守備重ねれば強敵を相手にも勝てるという例だったかもしれません。先発の11人ががスタミナがあるうちはある程度よいサッカーができた。もちろんそれだけでカメルーンに勝てるとは思っていませんでした。今日の試合は序章と第2章と全く違う展開のサッカーに関する本を書いてしまったかのようなものでした。ただし、この本は行間を読んでもらわなくては困ると申し上げておきます」
Q:遠藤などの選手が後半疲れてしまったことや、フィジカルな戦いの中でケガをしてしまった選手がいたことは、予想していたことでしょうか?
「その問題があることは秘密ではありません。遠藤が試合の立ち上がりから終わりまで、早いリズムとテンポで動くことが出来れば理想的なプレーヤーだと思います。しかし、これまでと少し違う点もあります。まずカメルーンの選手は一人ひとりがボール扱いに優れている。ですから、彼らがリードされ、追いつきたいという時間帯ではチーム全体が攻撃にかかってくる。しかし我々はまだ攻撃的な部分と守備的な部分に分かれたままです。ですから中盤だけを取り上げてみても、サイドの2人はまずまずだったと思いますが、カメルーンがプレッシャーをかけてきた時に問題がどんどん出てきました。中盤の前と、FWの選手たちはチームで守備をすることに慣れていません。
もちろん、強力な選手を前にして、守備だけでなく、攻撃に出ることはさらに難しい。ですから例えば、カメルーンと日本の守備ラインの高さ、あるいはDFを含めどれだけミスをしないでパスをまわすことが出来るか、それを比べれば、日本がつまらないミスでカメルーンのチャンスをお膳立てしてあげてしまっていた。それは純粋にスキルやボールタッチのテクニックなどが低いためです。本当に基本的なところですが、そこを実戦の中で出せるかどうか。そういう部分では、まだまだ日本のサッカーは子どもであると言わなければなりません。プロの国際試合で起こるべきではないミスが起こっていました。
私も『危ない時にはボールが観客席に飛び込むぐらいまで大きく蹴れ、いつもエレガントである必要はない』と言う用意はできていますが、守備陣がパニックに陥り、とにかくボールをタッチラインの外に蹴りだすのは感心しません。話し始めると長くなりますが、今日の試合では選手に1年間話してきた内容の一部だったのではないかと思います。集団の、コレクティブなプレーと個人のプレーをどう結びつけるか強い相手と対戦した時は、個々のクオリティが問題になります。カメルーンの選手との1対1での競り合い、取り合い、あるいはスピードの比較など、さまざまな面で考えるべきことはあったと思います。
もちろん良かった面もあります。一つは客観的にサッカーを観察することが大事だと考える能力を選手もみなさんも身につけることができたとすれば、それは歓迎すべきことだと思います。カメルーンに勝ったからといって、世界チャンピオンになったかのように錯覚するとすれば、話は振り出しに戻ってしまいます。ですから今日の試合の評価はメディアの皆さんにお任せしようと思います。
選手同士の関係、走る量、押し上げ、自己犠牲のプレーに対する意欲はトップレベルに近いものを出すことが出来たと思います。ただしそれは十分ではないことは認めなければなりません。グローバルな、より高いレベルでのサッカーをする上では十分でないということです。
選手たちはリーグ戦が詰まっていて、疲労がある中頑張ってくれたと思います。アジアカップで出場した選手たちは、より疲労が取れていない状態だったかもしれません。休暇なしでアジアカップからJリーグ、そして今日の試合と休みなしで来ました。しかし問題はアジアカップに出場した選手は何とか走れていた、しかし出ていない人間はエネルギー切れをきたしていたというのは、皮肉なことです。いずれにせよ、今後の様子を見なければなりません。
いずれにせよ、誤解しないようにしたいものですね。1行だけの、CNNのようなニュース速報で『日本がカメルーンに勝った』というニュースを見た人は、内容を知らなければ『日本はカメルーンより強い』と思ってしまうかもしれませんね。最近のサッカーは結果が全て。どんな試合だったか、良かったことも悪かったことも、翌々日になれば結果しか残らない」
Q:今日は前半の4バックから後半3バックに変わりましたが、あれは予定していたことなんでしょうか、それとも今日の試合を勝つためにしたことでしょうか?
「予定していたことでも相手があることですので、向こうが後半頭から2トップで来た、それに対応したものですね。それについてこれから選手とも話をしたいと思いますが、選手がよく考えてやったものだと思います。そういう選手の意思は尊重するべきではないでしょうか。ただし、その際中盤で1人選手が減るわけです。その分選手が余計に走るなり工夫をしなければなりませんが、それが上手くできなかった。遠藤が守備的な位置まで引かなければいけない。もちろん遠藤は悪くないプレーをしましたが、阿部のポジションに遠藤が入って彼と同じようなディフェンスができるとは私は思っていませんでした。
阿部や鈴木啓太が遠藤のような攻撃が出来る選手だったらよかったのにと今は思っています。同時に、遠藤が先ほどの2人のような守備力を持っていればとも。しかし天は二物を与えませんでした。とくに日本では選手の役割分担がまだまだはっきりしている。モダンなサッカーに追いつくためには、攻撃も守備も両方出来る選手を増やしていかなければならないと思いました。
カメルーンに勝ってしまいました。五輪代表が試合をしているので、そちらを観ませんか?記者会見も終わりにしましょう(笑)」
Q:選手に疲労がなければ、前半のメンバーで最後まで行きたかったでしょうか?
「基本的にはそういうことです。選手には話しませんでしたが、スタッフ、コーチとの間では攻撃の3人を後半の頭から全員交代させるという計画がありました。しかし、先発の3人はかなり良いプレーをしていた。そこで後半の頭は交代をさせなかったのです。しかし、あるところで交代をさせた。代えた結果、少々残念な気持ちがしたのは事実です。結果として、3人を交代させて6人を試すことが出来ました。チャンスを与えた田中達、前田、大久保の3人がスタミナ、あるいはもっとコンディションがよく、自分たちの最初のころのプレーが出来ていたらもっと長い間プレーさせていたことでしょう。選手たち、特に攻撃陣にはハーフタイム、力をセーブしないでできるところまでやれと言いました。
もし、後半に出場した3人を先発させていたら、全く違う試合になったことは事実です。今日の先発よりも良い試合をしていたかもしれません。そして交代させた選手、つまり今日の先発の選手たちがぱっとしないプレーをしてしまう可能性もあった訳です。自分のチームがリードしている時に攻めの選手が良いプレーをするのは難しいものです。とくに、相手の守備力が高い時は。そこでカメルーンが追いつき、逆転をするという時には、どんなプレーをしても『交代が失敗だった』と言われるのは決まりきっています。その時に、我々はみなさんにどんな記事を書くか禁止することはできません」
以上
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■アジア男子サッカー2008最終予選(北京オリンピック2008最終予選)
8月22日(水)20:30/国立
U-22日本代表 vs U-22ベトナム代表
・試合速報はこちら
・テレビ中継:テレビ朝日系列にて生中継18:19〜22:30(キリンチャレンジカップ vsカメルーンと2試合連続中継) ・NHK-BSにて生中継20:10〜22:30
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