11月3日（土） 2007 ヤマザキナビスコカップ 決勝
川崎Ｆ 0 - 1 Ｇ大阪　（13:39／国立／41,569人）
得点者：55' 安田理大（Ｇ大阪）
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●西野朗監督（Ｇ大阪）：
「フロンターレに圧倒された部分があるが、ハーフタイムに全員が切り替えて、後半はうまく戦ってくれたと思う。少しスライドしてシステムを変えて、リスクを負って臨んだ後半だが、良い形で点が取れた。今年は攻撃だけでなくて、ディフェンスの面でもかなり成長を感じていたが、逃げ切るためのディフェンスに対する高い意識を持ちながら、うまく試合を運んでくれたと思う。超攻撃的と言われているガンバだが、今年は後半のああいう部分を出せていると思う。

（ナビスコカップも）ここまで楽に勝ち上がってきたわけではないが、レッズ、アントラーズという強豪チームを叩いて勝ち上がってきたという自信が、最後どこかにあったのかもしれない。予選でもかなり苦しんだし、予選・決勝トーナメントを通して、たくさんの選手が出て戦ったというチーム力を最後こういう形で表すことができ、チームの成長を感じられて非常に嬉しい」

Q：立ち上がり、フロンターレに押し込まれる時間帯があったが、前半の中でどういう風に修正したのか？また、ハーフタイムに『両サイドを基点に攻めていこう』という指示があったということだが、どういった意図だったのか？
「明らかにスタートからフロンターレに主導権を握られたゲームだと感じていた。ビルドアップから中盤の構成にかけて、非常に単調すぎたというか、バレーとマグノに頼りすぎた、らしくないパス展開だった。もっと中盤でパス交換しながら、両サイドを使ったり、スルーパスを出したり、タメを作って組み立てるように指示はしていたが、ポジション的になかなか遠藤がボールに触る回数が少なかった。

なんとか前半を0-0で持っていけたので、後半は加地を3バックの右に置いて、遠藤を落として、両サイドを高く上げた。特に安田は、前半は少し後手に回って、駆け引きの中でディフェンスに追われている部分が多かったので、積極的に森選手の裏でフィニッシュに絡んでいくように、3-5-2の両翼を上げた。それがフィニッシュにつながったのだと思う。それから、少し遅れたが遠藤がかなりボールに触れるようになり、うまくはたいていた。そのあたりがハーフタイムにうまく修正できたことで、多少リズムを変化させられたのかなと思う」
　　　　
Q：最後の最後まで選手交代が無かったが、途中で交代するという選択肢は頭に無かったのか？
「常にそういうタイミングは計っているが、拮抗した展開の中で、まずは組み立ての所を修正したいと考えたので、メンバーというよりは、システムをスライドさせた中で（選手を）交代しても遅くはないかなと思った。バレーが本調子でなく、橋本も足がつっているという状況下で、播戸と家長、寺田あたりは視野に入れていた。ただ、（相手の）高さが怖いので、バレーはなかなか替えられなかったというところはある。うまく先手を取れたことで、引っ張る時間を長く取ろうと考えた。あの流れの中では人を替えるというのは、なかなか難しかった」

Q：決勝前に非公開練習を2日設けて、かん口令を敷いていたが、後半のシステムはその中で準備していたのか？
「自分の中だけでイメージをしていたこと。極端にチョン・テセ選手とジュニーニョ選手に対する圧力が強すぎた場合には、加地の攻撃力を捨てて、彼のフィジカルを最終ラインに使いたいなと思っていた。今までも何試合か加地を最終ラインに落としてということを流れの中でやっていたので、そういう感覚も無いことは無かった。やはりシステムを変えて、選手にスタートのイメージを強く打ち出したかった。」

Q：システム変更にともなって右サイドに入った橋本選手は非常に効いていたと思うが、今日、彼に期待した攻守両面での役割は？
「彼はオフェンシブな部分を持っているし、スピードもあるうえに、非常にユーティリティで、今年は左で使ったり、かなりポジションを動かされて、非常に整理されなかった部分もあるが、彼のそういう器用さにある意味賭けた。1週間の間に、左から真ん中、そして右に行くということが出来るのは彼しかいないだろう。しっかりディフェンスをした中で、攻撃ではあまりいい部分は出なかったが、バランスを取りながら全体をコントロールしてくれたと思う。右サイドでも非常に機能するバランサーだと思う」

Q：リーグ戦も４試合残っていて、逆転優勝の可能性もあるが？
「ほとんどのマスメディアで絶望的と書かれているが、自分の中ではそうではないと思っているので、リーグにも天皇杯にもしっかりと集中していきたい。全勝が大前提だと思うが、上もアップアップの状態だろうし、フロンターレにも切り替えて次のレッズ戦を全力で頑張ってもらいたい。全て（のタイトルを）取るということを今年掲げてきたので、貪欲にチャレンジしていきたい」

Q：安田選手のMVPについての評価は？
「本人も言っていたが、どこまで調子に乗っていくんだという感じ(笑)。しっかり整理して、さらに成長して行って欲しいと思うし、彼は今年、この国立からスタートしているので、非常にゲンの良い場所なのではないか。コンスタントにもっともっと良いパフォーマンスを出していって欲しい」

Q：今日の勝利でチームとしても成長したと思うが、監督自身もステップアップにつながるような手ごたえはあったか？
「予選6試合しかり、（決勝トーナメントの）レッズ戦しかり、アントラーズ戦しかり、色々変化させたことを選手が良く理解してくれて、面白い展開がいっぱいあった。シーズン当初はある程度固定したメンバーで戦っていたが、バックアップの選手にも力があると感じたし、色々な対応を考えられる、オプションをたくさん持てると思った。そういうことによって、自分の幅も広がってきたという感じもするし、指導観というか、ゲームに対する持っていき方も自分なりの良い変化を、このシリーズでは特に感じることが出来た」

以上