9月20日(土) 2008 J1リーグ戦 第25節
川崎F 0 - 1 F東京 (19:03/等々力/20,729人)
得点者:5' 赤嶺真吾(F東京)
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グッときた。試合終了を告げる笛と同時に、城福浩監督は絶叫し、選手たちは腰を落としそのままピッチへと倒れこんだ。ベンチでもピッチでも歓喜の抱擁が繰り返される。チーム得点王が負傷退場し、さらに退場者を出して1人少ない数的不利な状況下の中、F東京は1点を守り抜いた。
先制点を挙げたのは、またもFW赤嶺真吾だった。5分、左CKからDF徳永悠平が「二アサイドのDFが被るぐらいのボール」を放り込む。二アサイドでDF佐原秀樹がつぶれると、ボールは乗っている男の足下へと転がっていった。赤嶺は迷いなく左足を振りぬき、ゴールネットを揺らした。クラブ史上、リーグ戦二桁得点は日本人初。値千金の先制点となったが、大仕事を果たしたエースにアクシデントが起こる。16分、相手DFと交錯し負傷。F東京は早々に得点源を失ってしまう。
そして、41分には攻守のキーマンであるMF今野泰幸が1発レッドでピッチを去る。「去年の得点王もいれば、現在Jリーグで2位の得点力を誇っている。攻撃に関しては強烈な個性を持っているチーム」(城福監督)を相手に残り時間を一人少ない状況で戦わなくてはいけなくなってしまう。
「1トップで4−4−1みたいな感じでブロックを作る。それは元々、僕らがやっているディフェンス。2枚で追うのか、1枚で追うのかで大きく変わるものではないですし、選手も一人少なくなったところでやるべきことはわかっていました」(城福監督)
F東京の守備戦術は、攻撃時と立ち位置を変えて4−4−2のツーラインでブロックを作る。一人少ない状況になってもやることは変わらなかった。中盤と最終ラインが近づき、スペースを消し、川崎Fの攻撃を跳ね返し続けた。「僕らのトップグループで戦い続けるという目標は終わったわけではないし、それを諦めたわけではない。それを証明する試合だった。今日は選手たちに感動させられました」(城福浩監督)。ゴール前に築いた城壁は一度も崩されることなく、スリリングなゲームを制した。
理屈以上にタフなプランだったが、選手は完遂してみせた。シュート総数は6対20。圧倒的に攻め立てられた不恰好な試合。ただ、その不恰好さこそがF東京らしさなのかもしれない。原博実前監督の熱っぽく話した言葉が思い出される。
「90分間ひたむきに走り続ける。戦い続ける。それは、このクラブがどんなに大きくなろうと、受け継がれるべき伝統なんだと俺は思う。それを変えてはいけないし、きっと変わらないことなんだろうな」
浅利悟が、佐原秀樹が、長友佑都が、茂庭照幸が試合終了後のピッチに倒れこみ、起き上がれずにいた。「やっと終わった」。浅利はピッチに座り込み、試合中に何度も攣(つ)った足を伸ばした。赤嶺のため、今野のため、そして声をからし声援を送るサポーターのために走り続けた。「ああいう状態こそ、僕は戦わなければいけない。もうやるしかないと思っていた。あれで負けたらコンちゃん(今野)が背負い込んでしまう。ハーフタイムにはシンゴ(赤嶺)やコンちゃんのために頑張ろうって声を掛け合った」。変わるF東京、そして変わらないF東京。今季は城福監督とともに、新たなサッカーへと挑戦し続けてきた。だが、この日は、メンバーや監督が変わっても色褪せないF東京の原点が勝利を呼び込んだのかもしれない。
以上
2008.09.21 Reported by 馬場康平
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