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【J2:第14節 横浜FC vs 鳥栖】レポート:チームに芯を通したホベルトのプレーと大黒のハットトリックで前半で試合を決めた横浜FCが、今後の道標となる1勝を挙げる(10.05.23)

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5月22日(土) 2010 J2リーグ戦 第14節
横浜FC 4 - 0 鳥栖 (19:03/ニッパ球/4,749人)
得点者:7' 高地系治(横浜FC)、10' 大黒将志(横浜FC)、15' 大黒将志(横浜FC)、32' 大黒将志(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch182 5/24(月)後00:00〜
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開幕3連勝の後の5連敗、そして大分戦(9節)の勝利後に4連敗。この鳥栖戦の4-0というスコアが示すように、横浜FCはチームのポテンシャルが高いことは確かだが、ここまで安定して力を出す拠り所を欠いていた。その原因の大きな部分は、チームを落ち着かせながら、他のプレーヤーの良いところを引き出す意識が不足していること。その不足を埋めるヒントを、1人の新加入選手ホベルトが身をもってチームに示した試合となった。

「前半で試合が決まってしまった」との松本育夫監督の言葉が象徴するように、試合そのものは、立ち上がりの入り方が全てだった。立ち上がりから、ホベルトはボランチでコンビを組む八角剛史に細かくポジションの指示を出しながら、自らがチームのパスを引き出す絶妙なポジショニングを取り続ける。そして、実戦としては5ヶ月あまりブランクがあったと思えない強さを見せ続ける。「ホベルトが参加した中盤のボール回しに神経をすり減らしたが、うちの中盤と前線の間でフリーでボールを受けられていた」(松本監督)というように、鳥栖はホベルトに活性化されたグループの力の前に守備のポイントを失ってしまう。

その結果が横浜FCのゴールショーにつながる。7分の高地系治のゴール、10分に大黒将志のゴールとなるPKを獲得するまでのプレーは、ホベルトの絶妙なポジショニングが、大黒、西田剛、高地、武岡優斗の流れるようなパスワークを引き出して生まれたものだった。
そして、ゲームに入りきれない鳥栖とは対照的に、横浜FCの勢いが加速する。15分、前の2点の場面と同じようにホベルトの展開から繋がった10本のパスは、一旦下地奨に奪われるが、丹羽竜平が処理を誤ると、そのボールを拾った高地がダイレクトでゴール前に送る。そのパスを最高の動き出しでスペースに飛び込んだ大黒が鮮やかに決める。
そして、前半のショーの締めくくりは、32分の大黒のハットトリックとなるCKからのディングシュート。このCKも、活性化された横浜FCのパスワークから生まれたものだった。ホベルトの加入で点が線になった横浜FCと、その勢いを受け流せずにゲームをさせてもらえなかった鳥栖のコントラストが4点差にくっきりと現れた前半となった。

「4点は関係ない。甲府戦を忘れるな!」という岸野靖之監督のハーフタイムコメントにあるように、甲府戦(10節)で3点差を逆転される悲劇を味わった横浜FCにとって、後半にプレーを落とさないことも大きな課題であった。しかし、この課題を解き始める前に、鳥栖が自滅してしまう。51分、西田が下地からボールを奪ったところを倒してしまい2枚目のイエローカードで退場。そして、69分には呂成海が八角剛史との競り合いで危険なファウルを犯し一発退場となる。2人少ない状況では、鳥栖の反撃も単発となってしまう。
一方の横浜FCも怪我の選手を交代させながら、「グラウンドを広く使い、深みを作ることで相手の狙い所を広げる」(岸野監督)よう、リスクマネージメントを考えたプレーに切り替えたことで、前半のようにゴールラッシュを見る展開とはならなかった。が、とにかく勝利が欲しかった横浜FCにとっては冷静にゲームをコントロールしながら時間を使うことに成功。ゲームを無事に無失点で終了させた。

横浜FCにとっては、まさに道標となる1勝。岸野監督が求める「チームを助ける動き」と「走る力」をホベルトが注入したことで、これからの横浜FCが何を拠り所にすべきか、その姿を共有できたことが非常に大きい。そして、そのポイントは、ホベルトだけがスーパーなプレーをしたわけではなく、ホベルトが見せたプレーで他のチームメイトが触発されたこと。「ホベルトだけが頑張ったんじゃなくて、ホベルトがやりやすいぐらいみんな頑張ったと思う」という指揮官のコメントは、今後の横浜FCの選手全員が行うべきプレーの根幹を示している。ホベルト、大黒の素晴らしさが特に目立ったゲームだったが、チームが彼らに依存する体質になっては勝ち続けられない。チーム全体でこの試合のプレーが持続できるか、「1回勝ったぐらいでは喜べない」と岸野監督が語るように、大事なのは次の試合、そしてその次の試合。この試合のプレーをより高めることが大事だ。

一方の鳥栖にとっては、90分を通して試合に入ることができず、特に前半立ち上がりの入り方、そして悪い流れを断ち切るという意味でのコントロールに課題が残る試合となった。前節まで6試合負けなしで自分の戦い方が出来ていただけに、その戦い方がハマらなかった時の対応、ゲームのコントロールなどが、より上のチームを目指す時には必要となるだろう。退場者を出して自滅してしまったことを含めて反省点を洗い出して、次節のバトル・オブ・九州の北九州戦(5/29@ベアスタ)に臨みたい。

中断期間まで、横浜FCはあと2試合、鳥栖はあと3試合を残すのみ。そこまでに、いかに良いポジションにいるかが、中断期間の準備と後半戦に大きな影響を与える。この試合で得たものや反省点を、残りの試合でぶつけたい。

以上

2010.05.23 Reported by 松尾真一郎
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