9月5日（日）第90回天皇杯2回戦 湘南 vs 山口（19:00KICK OFF/平塚）
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チケット情報 ｜天皇杯特集
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さかのぼれば優勝や準優勝を果たし、またJ2に属しながらF東京や浦和などJ1のチームを降した実績をも持つ湘南である。だが近年の天皇杯では、逆に下剋上を許してしまったゲームが少なくない。昨年は明治大学に不覚をとった。

0−1で敗れたくだんの明大戦、公式戦初先発を記録した猪狩佑貴が苦い思い出を振り返る。
「プレーが消極的だったことは間違いない。初先発でミスしてはいけないという気持ちもあったように思う。失点にも絡んでしまったし、周りが見えていませんでした」。

一方で、いい経験になったとも猪狩は捉えている。また最近はボールを受けたあとのプレーを課題として取り組み、コーチ陣の助言も受け止めながら次第に整理できてきた。練習試合などでも躍動感が伝わってくる。曰く、「オフの動きはわかっているので、ボールをもらってからどうするか。徐々にですが、攻撃の起点となるプレーができるようになってきた。やれる自信はあるし、いまリーグ戦に出ている選手とは違う特徴を試合で発揮したい気持ちは強い」。

その湘南と週末に対戦するのは、県下72の出場チームの頂点に立ったレノファ山口である。3日に行なわれた天皇杯1回戦では鳥取の米子北高校を2−0で降した。

「普段考えられないようなミスもあり、思うようなプレーができず難しいゲームになった」月岡利明監督がそう吐露したのも無理はない。レノファ山口のメンバーは試合当日の朝に地元を出発し、5時間あまりかけて平塚までやってきた。到着間もない夕方のゲームでは動きの重さが否めず、試合中に吐き気を催した選手もいたと聞く。実際、勝利の長い笛が響くやその場に座り込む姿も見られた。

ただ苦しい内容の反面、「攻撃のスイッチが入ったときに何人も湧き出していくイメージ」と指揮官が語ったとおり、FWへの縦パスを機にシフトアップするチームとしての狙いは垣間見えている。またリスタートから裏へと抜け出した背番号10中川心平の先制点と、GKとの1対1をつくった背番号8柏原渉による追加点はいずれも、相手の一瞬の隙を突く動きが呼びこんだものだった。

「湘南戦は山口を発つ前からの目標でした」月岡監督は言う。「JFLを目指している我々がどのぐらい通用するのか、胸を借りるつもりで戦いたい。選手たちのモチベーションは私が何も言わなくても自然と高まるはず。中1日の日程は正直厳しいが、0−0の時間をできるだけ長くして先に点を取りたい。自分たちのスタイルを貫き通します。楽しみですね」。左サイドバックの背番号9安田忠臣も、「湘南はJ1最多失点と聞きましたし、チャンスがまったくないわけではないと思います。しっかり走り勝って、決めるべきところで点を決めたい。楽しみです」と一戦を見据えた。

むしろ私が抑えてやらなければいけないぐらいだと、月岡監督が笑みをこぼしたレノファ山口の高いモチベーションは、湘南に難しいゲームを強いるかもしれない。来る天皇杯について、三平和司は言う。
「社会人や大学生のチームにはそれぞれの明確なスタイルがある。うちは去年、大学生に負けているし、油断せずにしっかり戦いたい。僕自身、リーグ戦にあまり絡めていないので、チャンスをもらえたら一生懸命やるのみです。いいプレーよりもアグレッシブにシュートまで行く、自分の持ち味を生かして貪欲にゴールを狙っていきたい」。

湘南の天皇杯2回戦のメンバーは測りかねるが、三平や猪狩らいまは後ろに控えている選手たちの胎動はリーグ戦を踏まえたうえでも欠かせない。チーム内の厳しい競争のうえに成り立つ全員サッカーは、湘南の原点でもある。

以上

2010.09.04 Reported by 隈元大吾