7月27日(水) 2011 ヤマザキナビスコカップ
川崎F 3 - 1 広島 (19:00/等々力/11,067人)
得点者:10' 小林悠(川崎F)、39' 佐藤寿人(広島)、54' 登里享平(川崎F)、62' 小林悠(川崎F)
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1−1の後半の立ち上がり早々。52分の、枠を捉えきれなかったシュートの場面を皮切りにきっちり1分ごとに広島の佐藤寿人が決定機に絡んでいく。左サイドの服部公太からのクロスは、その都度佐藤を捉えていた。
「一つめは確実に入ったと思っただけに、どこにボールがいったのか……」と悔しさを見せたのは、枠に飛んだ53分のヘディングシュートの場面。「ニアに入って前に入ったというイメージだったが、GKのどこに当たったのか」と戸惑うほど。54分にも、ファーサイドに流れていた佐藤がヘディングシュートを試みるが「叩き付けることができなかった自分の能力のなさ。あそこで浮かさなければ……。十分に対応できるボールだった」とGKに弾き出されたその弾道を悔やんでみせた。
アウェイの広島が狙っていた2点目を阻止し続けたのは、川崎Fの相澤貴志だった。この3本続いた佐藤のシュートが1本でも入っていれば、試合展開は全く違ったものになっていた。そうした考えに立った時、彼のプレーはまさにチームを救うこととなる。表向きは2ゴールの小林悠の試合であったにせよ、この佐藤の決定機以外にもファインセーブを連発しており、相澤が最後尾で見せたプレーはチームを救っていた。
相澤に対しての敬意だったり謝意だったりはこれくらいにして、この試合のハイライトは、若い選手たちの活躍であろう。例えば川崎Fの先制点となった小林の10分のゴールシーン。最初はクロスを想定していたと言う小林が準備の動作に入るタイミングで、田中裕介はその小林を視野に入れていたという。
複数のディフェンダーに囲まれながらキープしてボールを繋いだ田坂祐介からのパスを受けた田中のシュートは見事なものだった。しかし、GKの西川周作もこれまた見事なセービングを見せる。
「もちろんシュートが入ればいいという気持ちもありましたが、あれで決まるほど(西川)周作は楽ではない」とそのシュートを振り返る田中は、しかし弾かれた後の展開を予測していたのだという。
「ただ、ああなるのを予測していました。(小林)ユウなら詰めてくれると思っていました」とシュートした直後の心境を振り返る。決まってもおかしくはない強烈なシュートだっただけに、西川は弾くのが精一杯。そのこぼれ球に、田中の狙い通りに小林が詰めていた。
ゴール前に飛び込んだ小林のポジションは、その場面だけを切り取ればオフサイドにしか見えなかった。しかし、誰よりも早い反応とディフェンスのポジションとを見極めた絶妙なタイミングで走り込んでおり、一歩先んじて真っ先に跳ね返ったボールに詰めるのである。ゴールへの嗅覚と反応の速さは今季ここまでにも見せてきた彼の特徴であり、それが改めて見られたゴールシーンだった。
先に1失点した広島は、川崎Fにアウェイゴールを2点与えており"2得点の重さ"を背負いながら戦うこととなる(広島は1−1の引き分けでは敗退)。しかしその重さを感じさせない動きを見せた広島は、39分に佐藤が高萩洋次郎からのパスを受け、鮮やかに、そして"らしく"反転してシュートを流し込む。俄然勢い付く広島は冒頭に記した場面以外にも川崎Fゴールに迫っていた。
仮に、先に広島に2点目を奪われると、今度は川崎Fがこの試合前に広島が感じていたはずの絶対に必要な1得点の重さを感じる事となる。そしてその心理的圧迫はそれが決して非現実的な状況ではなかったという点で、この日の広島の強さを示していた。
肝を冷やし続けた後半立ち上がりの佐藤の3連発を紙一重でしのいだ川崎Fは、54分の佐藤のヘディングシュートによるCKからのカウンターでチャンスを作る。ボールを受けた登里享平は、目の前のDFをかわして持ち込み、シュートへ。これは一度はディフェンダーに弾かれてしまうのだが、そのこぼれ球をきっちりと押し込み、広島を突き放す。若い選手が結果を出すのである。
この失点に敏感に反応した広島は、58分に青山敏弘から森崎浩司へ。さらにその2分後に服部公太に代えて山岸智を投入する。しかし、これらの交代采配の2分後に川崎Fは小林が、登里から受けたパスを見事にニア上に蹴り込んで決定的とも思える3点目を手にする。
当初の予定通りだったのか、それとも2点が必要となったからなのかはわからないが、広島は64分に横竹翔に代えてミキッチを投入。結果的にわずか6分間の間に3枚の交代カードを切る。
この一連の交代采配は、広島は諦めないというサインであり、森崎浩司と中島浩司とが中盤を安定させつつボールを振り分け、これに対応するかのように左右両サイドに入った山岸とミキッチが川崎Fに対してサイドから攻撃を仕掛けていった。
激しさを増す攻防は、79分に判定を巡る異議により、ペトロヴィッチ監督(広島)が退席処分を受けるという事態をもたらしてしまうが、それだけの思いをこの試合にかけていたという事も言えるのだろう。西川は涙を飲んだ昨年の決勝戦を念頭に、どうしてもあの舞台に戻りたかったのだと口にしており、そうした思いはチーム内に充満していたと思われる。
今季の川崎Fは2点差のリードがセーフティーリードだとは言えない戦いを続けているが、そうしたこれまでの戦いがあったからこそ、最後まで集中を切らさずに広島の攻撃をしのぎ続けた。7分という長さのアディショナルタイムも無難にこなし、3−1で勝利。1勝1分の戦績で2回戦への進出を決めた。
なお、2回戦の相手は横浜FMと決定。こうした舞台での神奈川ダービーとなった事で、盛り上がるのは確実。しばらくはリーグ戦が続くが、今から9月の2回戦が楽しみである。
以上
2011.07.28 Reported by 江藤高志













