10月30日(日) 2011 J2リーグ戦 第33節
F東京 1 - 1 東京V (13:04/味スタ/35,911人)
得点者:45'+1 ルーカス(F東京)、61' オウンゴ−ル(東京V)
スカパー!再放送 Ch182 11/1(火)前08:30〜
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ラストチャンス。自陣からの直接FKでゴール前へロングボールが入ると、富澤清太郎が頭で競り、流れたボールは阿部拓馬の元へ。ダイレクトで左足を合わせF東京ゴールを襲ったが、F東京GK権田修一の伸ばした両手の中に吸いつくように収まると、東京V側のベンチ、スタッフ・関係者、ゴール裏のサポーターの誰もが両手で頭を抱え無念の表情を露わにした。直後、ホイッスルが鳴り、1−1ドローで熱戦は終了した。すぐさま東京Vサポーターから沸き起こったのは、熱闘を讃える惜しみない「東京ヴェルディ!!」の大歓声だった。
立ち上がりから充実した戦いぶりを披露していた。ダービー、しかも相手は首位、そして何より3万5千を超える大観衆という中での一戦とあり、モチベーションは十分すぎるほど満ち足りていたに違いない。試合開始とともに、集中力の高さが伝わってくる、緊迫したゲーム展開となっていった。
「球際でもファイトできていた」と菊岡拓朗が語った通り、ボールへの寄せは非常に速く激しく、前線から積極的に奪いに行けていた。また、セカンドボールへの意識も高く、運動量では相手を勝っていたと言っても過言ではなかった。
その中で、選手たちが主に手応えを感じたのは守備面においてだったという。特に、最も警戒していた羽生直剛、ルーカスのホットラインへの対応は徹底できており、ルーカスに決定的な仕事をほとんどさせることはなかった。また、東京Vの左サイドを使われ谷澤達也と徳永悠平に縦から何度か突破を許したが、クロスが入ったところできっちりと跳ね返すなど、「首位のチームが相手でも、ほとんど崩された感じはしなかった」(GK柴崎貴広)。
にもかかわらず、結果的に「リスタートの場面で一瞬気が緩んでしまった」(柴崎)ことが、痛恨の失点を招く原因だったことは、あまりにも残念だ。前半終了間際のアディショナルタイム、与えたFKをF東京・谷澤が素早くリスタートさせ、左の田邉草民へ送ると、フワリと浮かせた絶好球が中で待つルーカスへ。富澤清太郎も懸命に競ったが、先にボールにヒットしたのはブラジル人の頭だった。「ルーカスを狙ってるのもわかってたんだけど、どうしても斜め背後の視界に羽生が入っちゃって、気になっちゃったんだよね…」このダービーに全てを懸けるというほど燃えていた富澤は、失点シーンを振り返りながら何度も何度も「悔しい」と繰り返し、猛省していた。試合後、川勝良一監督も「ボールのないところでの羽生の動きは厄介だと思っていた」と、会見で語ったが、まさに言葉通りだったということだろう。
攻撃面では、前半は右サイドの菊岡を中心に打開策を模索し続けた。前節同様、巻誠一郎、阿部拓馬の2トップでスタートしたが、どちらもアグレッシブにファーストディフェンスに行き、まずは守備できっちりと貢献しながら、攻守切り替わると素早く前に走りだし、目一杯体を張り、ボールを受けてゴールに向かった。「気持ちが先に急ぎすぎていつものようにボールを動かしてというよりも、ドリブルが少し多かった」(川勝監督)こともあり、思い通りの形がなかなか作り出せなかったが、「ボールを取るところまでは前半、狙い通りだった」と指揮官も語った通り、東京Vペースでゲームは流れていた。だが、今野泰幸、徳永ら日本代表クラスがかけてくる巻や阿部へのプレッシャーも厳しく、チャンスらしいチャンスはほとんど作らせてもらえなかった。前半のシュートが1本という数字が、何よりの証拠と言えるだろう。
最も残念なのが、ハーフタイムでの菊岡の負傷交代である。前半の展開から「こういう試合は、後半は間延びするから、そこで自分がボールを持って上手くスペース使ったりして攻められるなと思ってた」と、ヴェルディの10番には後半の青図が描けていたのだという。だが、それを披露することなくピッチから退く結果となってしまった。
代わって入った河野広貴は、予定時間よりも繰り上がった形での出場となり、「あまり良い入り方ができなかった」と表情を歪めたが、結果的にオウンゴールとなったものの土屋征夫との絶好のアイコンタクトで送ったニアへのCKが、東京Vを敗戦から救った功績は大きかった。しかし、追加点を懸命に目指したが、相手がF東京という強豪だっただけに先発メンバーの消耗も著しく、フレッシュな状態で入った河野にとっては、攻め上がってもパスの選択肢がほとんどなかった。「もう一度ギアチェンジしたかった」という川勝監督の目論見は、残念ながら最後まで実現されなかった。
試合後、数名のサポーターの方に感想を尋ねると、「気持ちの伝わる良いゲームだった」との声が多かった。一方で、監督・選手の多くは「勝たなきゃいけなかった」「悔しい」と、不本意な言葉が並ぶ。“負けられない”という状況の中での内容あるゲームは、受けとり方が実に様々である。が、「一番の目標は昇格」(阿部)という以上、やはり “勝点3”を得なければならなかったのではないだろうか。
とはいえ、“負けなかったこと”、“昇格の望みがつながっていること”、“見ている人に「勝ちたい」という気持ちを伝えられたこと”は、今後への気持ちの切り替えとして十分なモチベーションになるはずである。
そして、何より大きかったのが、3万5911人という、J1でもなかなか味わうことのできない大観衆の前で、決して思い通りの、華麗なパスワークで圧倒する“ヴェルディ・サッカー”ではなかったとはいえ、球際はげしく、がむしゃらに走ってしぶとくボールを追い、テクニックを駆使して全員でゴールを目指すという、ヴェルディのベースは示せたのではないだろうか。そして、そのサッカーに、心動かされたファンは、決して少なくないはずだ。
若い選手たちにとっては、この大舞台での経験は、今後へのかけがえのない財産となるだろう。また、チームにとって、「どんな時も、最低限でもこのサッカーをすべき」という、基準にも似たものができたのではないだろうか。それらを考えれば、収穫も多かった『2011東京ダービー』と言えるのではないだろうか。
手にした勝点1を、生かすも無にするも自分たち次第だろう。残り5試合の熱闘を心の底から期待している。
以上
2011.10.31 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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