11月16日(水)第91回天皇杯 3回戦 川崎F vs 大分(19:00KICK OFF/等々力)
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★第91回天皇杯特集
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田坂祐介がサポーターに向けて口にした言葉が、今の川崎Fの状態を端的に表しているように思える。田坂は「やってる人も見ている人もスカッとする試合を見せたい」との意気込みを口にしていた。選手たちもそうであるように、勝ち切れない今季の川崎Fの戦いに関しては、見ている側の人間として、何かモヤモヤっとしたものを感じてきた。
川崎Fの試合がスカっとできない理由の一つとして、得点力の低下が挙げられる。特に主導権を握りながらゴールを決められない試合の多さは問題で、11月3日の大宮戦でも、10月22日の仙台戦でも、10月16日の新潟戦でも、作り出したチャンスの多さに比べゴールは少なかった。そうしたここ最近の試合が念頭にあるのだろう。相馬直樹監督は、この試合に向けた準備について「ボールを支配できる試合で点を取るという事を主眼に(練習を進めてきた)」と話している。
13日の練習では大分についてのスカウティングビデオを交えたミーティングが行われ、フォーメーション練習を実行。選手たちに大分戦での戦い方についての共通理解を浸透させていた。
今季はJ2の中位に位置する大分ではあるが、新任の田坂和昭監督の指揮のもとシーズンを通して大崩れする事のない戦いを見せている。現在はシステムを3−4−3に変更しており、豊富な運動量で走り勝てるサッカーの実現を目指している。直近の11月12日に行われたリーグ戦の札幌戦では0−2で敗れている一方で、引き分けを2試合挟んだ10月26日に行われたFC東京戦では、敵地ながら後半アディショナルタイムの劇的な決勝点により逆転勝ちするという勝負強さを見せている。
そんな大分の攻撃を牽引するのが、森島康仁と前田俊介の2選手であろう。高さを持つ森島は、その体の大きさには似つかわしくない足技を持っており、前線で起点になれる選手である。この森島と共に相手チームに脅威を与えるのが前田だ。広島ユース時代に共にプレーした経験を持つ田坂は「(当時は)日本では一番うまかったでしょう。ドリブルで抜くのもそう。攻撃もずば抜けていましたしね」と前田のプレーを振り返る。相手選手に体を預け、巧みにボールをキープして時間を作る一方、味方選手との連携の中で前を向きゴールを目指すドリブルをさせると誰も取れないというような巧さを見せる。相馬監督も「前に力のある選手がいる。そこを自由にさせたら面倒な事になるとは感じています」と話しており、彼らに仕事をさせない事が川崎Fにとってのポイントとなりそうだ。
川崎Fの攻撃に関しては、大分の守備陣形の特徴をいかにして突くのかがポイントとなるだろう。3バックに対して両WBが下がって補完して5バックになったり、ボランチが1枚最終ラインに降りたりして中の枚数を増やす大分の守備は堅牢だが、それによって中盤にスペースは生まれやすくなる。だからこそ「持たされる」試合展開に勘違いしてはならないだろう。
矢島卓郎はその点について「外からは行けても決定機をつくろうと思ったらリスクを負って行かないとダメだと思う。相手の外でボール回しはできるかもしれないが『とりあえずクロス』という事にならないように斜めのボールとかを入れて攻められればと思います」と話す。またそれに関連して、田坂はクロスを使った攻撃についてはそもそも論として、川崎Fには高さが足りていないのだと話す。
「もともと(川崎Fは)放り込んで強いチームではないので、下でしっかり崩すということ」そして崩すために、「一工夫を入れないと」ダメだと思うと話していた。そしてそのひとつが、局面でのリスクテイクということになるのだろう。
試合展開としては、川崎Fのポゼッションする時間が長くなるものと思われる。大分はしっかりと枚数をかけて守るべきときには固く守り、機を見てカウンターを打ってくるのだろう。今季の川崎Fはそうしたカウンターからの失点を繰り返してきており、堅実な対応が必要になる。攻撃に関して言えば、日本でも有数のレベルにある前田を使ったカウンターをどう食い止めるのか。この試合の両チームにとっての見所の一つであろう。
天皇杯は今季の川崎Fに残された唯一のタイトル奪取のチャンスである。中村憲剛をW杯予選のために欠いてはいるが、だからこそ負けられないという思いは強い。
「ケンゴさんがいなくて負けたら、すごく言われそうなので、そういう事も含めて勝たないとダメですね」と小林悠。ゴールからも遠ざかっていることもあり、得点に対する強い意欲を見せていた。
もちろん大分の田坂監督のこの試合に向けての意気込みはかなり高いはず。川崎Fの相馬監督とは同級生という事もあり、一矢報いてやろうと牙を研いでいるのは間違いない。清水時代に、当時コーチだった田坂監督から指導を受けた矢島は「サッカーに関してはすごく真面目な方で、言っている事も理解しやすい」のだと田坂監督を評しており、だからこそこの試合に向けては入念な準備をしてきているはず。そして個々の戦力差をある程度戦術で埋められるサッカーという競技の特性を、大分がピッチ上で表現する時間帯が出てくることも覚悟しなければならないだろう。ディビジョンが違うチーム同士が公式戦の場で対戦できる天皇杯ならではの面白さを見せてもらいたいと思う。
なお、この試合に向けては、ふくらはぎの肉離れにより4ヶ月ほど戦線を離脱していた横山知伸や、開幕戦の2日前の紅白戦でアキレス腱を負傷していた黒津勝の準備が整っている。彼らの出場やメンバー入りにも注目したいところだ。
以上
2011.11.15 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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