11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
川崎F 4 - 0 大分 (19:00/等々力/4,747人)
得点者:25' 小林 悠(川崎F)、55' 田坂 祐介(川崎F)、77' 楠神 順平(川崎F)、84' 矢島 卓郎(PK)(川崎F)
★第91回天皇杯特集
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動ける選手を前線に配し、大分が猛烈なプレスをしかけてきた。
「プレスに来るというのは、メンバー表を見て思っていました」と伊藤宏樹が話すとおり川崎Fにとって大分のその戦いはある程度想定の範囲内のものだったという。ただ、それにしても幸野志有人が川崎Fのボール保持者に対して見せた全力疾走は迫力を持っており、川崎Fはそのハイプレッシャーに慣れるのに少々の時間を要する事となる。ただ、それは大分に圧倒されるという類のものではなく「誰がどう来るのか最初わからなくて、見ているところはありました」と話す伊藤の言葉以上のものではなかった。川崎Fは様子見の時間帯を経て、徐々にペースをつかむこととなる。
片方のチームがハイプレスを仕掛けた場合、それが決まったときの攻撃力は高いものとなる一方、そのプレスが外された場合、気力と体力の両方を失うこととなる。大分の前半はまさにそういったものとなってしまった。大分の前への推進力は削がれて行った。
大分の出足を見極めた川崎Fは左サイドに起点を作り、そこからの攻略を試み始める。あるときはジュニーニョが単独で。またある時は小宮山尊信とともにコンビネーションで。その左サイドで対応に当たり、前半でベンチに下がることとなった大分の松原健にしてみれば、それは災難としかいいようのない攻撃だった。
ここ最近の川崎Fは攻めながらも得点が奪えない、決定力不足の試合を続けてきていた。しかしこの試合では、そんな事を感じる間もなく試合が動くこととなる。川崎Fの先制点が決まったのは25分の事。本人曰く「リスク管理をしていてあの位置に居た」と話す横山知伸が取った左サイドの高い位置からのクロスがきっかけだった。このクロスがゴール前に転がると「らしさ」を見せたのが小林悠だった。ジュニーニョと重なる中、こぼれ球への鋭い反応を見せて、先制のゴールネットを揺らすこととなった。
試合後に小手川宏基の先発の理由について問われた田坂和昭監督は前半に押し込まれる事を想定した上で「シュン(前田俊介)をあえて最初から使うよりもコテ(小手川)でしっかり守ってというプランだった」と説明していた。すなわち、大分にとって前からの激しいプレスは、攻撃的に守備するという意味のもので、できることならば前半は0−0で進めたかったはず。つまり、前半の25分にはゲームプランが壊れてしまった事になる。そして大分はその後の前半の20分間で戦いを立てなおすことができなかった。
大分に前半の20分間を浪費させたという点で、川崎Fにしてみれば上々の試合展開ではあったが、1点のリードでは油断できないのだと言う事を後半開始早々に思い知らされる事となる。
田坂監督が「後半の立ち上がりこそ幾つかチャンスを作ったりうちらしいサッカーができた」と話すとおり、例えば50分には田坂祐介からボールを奪った森島康仁から小手川にボールが渡り、シュートを放つという場面を作る。杉山力裕がキャッチして事無きを得るが、このシュートが決まっていれば試合展開がどうなっていたかわからなかった。つまり試合の流れを大きく変える可能性があったという点で試合の行方を左右したのが後半の立ち上がりの時間帯だった。
川崎Fの危うい試合展開を救ったのは、2回戦のアルテ高崎戦でもチームを救った田坂のゴールだった。55分。左サイドを突破したジュニーニョからの折り返しを冷静に頭で決めて大分の反撃の機運を削ぐ事に成功。試合の流れを一気にたぐり寄せるのである。
試合はその後、63分に山瀬功治に代わりピッチに入った楠神順平が、77分にCKからの流れで3得点目。またその楠神が84分には大分の最終ラインの裏に飛び出してPKを奪う活躍を見せる。「もう1点取れていたしいいかなと思って」(楠神)PKを蹴る素振りを見せず、矢島卓郎にキッカーの座を譲る楠神は、この試合を前に相馬直樹監督から直々に得点に絡む動きについての指示を受けていた。そういう点では、相馬監督のピンポイントの指示が奏功した形となった。
大分は、3点を追いかける82分に前田を投入。限られた時間に見せた彼のポテンシャルはやはり高いものがあり、川崎Fにとっては脅威だった。大分が守備を重視するのと同時に彼自身がケガを抱えていたという事もあり、短い時間の起用に留まったが、広島ユース時代のチームメイトである田坂が絶賛するだけの攻撃力は見せていた。もう少し長い時間見たい選手だった。
いずれにしても、川崎Fがここ最近の試合で感じさせてきたモヤモヤ感を払拭させる「スカっとした」試合を見せて快勝。湘南との神奈川ダービーとなる4回戦へと駒を進めた。
一方の大分は、入念に川崎F対策を練りながらも力及ばず。前半の早い時間帯の失点と、後半開始早々のいい流れの時間帯に得点を奪えなかったのが致命傷となった。J1とJ2とが公式戦を戦う醍醐味を表現するまでには至らなかったのが残念なところだった。
以上
2011.11.17 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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