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【2011 Jユースカップ1回戦:新潟vsTRP/浦和vs横河】プレビュー:新潟と浦和に町クラブの盟友・FCトリプレッタと横河武蔵野FCが挑む1回戦。恩師や仲間に対する想いをぶつける熱い2試合(11.11.20)

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2011 Jユースカップ決勝トーナメント1回戦
●11月20日(日)11:00 新潟vsTRP/日産フ
●11月20日(日)14:00 浦和vs横河/日産フ


◎新潟ユース対FCトリプレッタユース

今年から3試合の短期決戦となったJユースカップ予選リーグ。昨年のチャンピオン横浜FM、夏のクラブユースU-18チャンピオン東京V、上位常連のF東京が決勝トーナメントに進出できないという事態となった。その中で2位グループから勝ち残った新潟。今年はプリンスリーグを含めてここ一番の試合でなかなか勝てていなかったが、予選リーグ・グループDではここ一番の横浜FM戦を3−0で勝ったことが決勝トーナメント進出に繋がった。チームにはU-17代表の早川史哉(MF)と川口尚紀(FW)という2枚看板がいるが、川口はU-18の代表にも選ばれており不在になる時間が多く、早川がチームを牽引してきた。サイドアタッカーとして起用される早川はトップ登録もされている選手だが、試合展開によっては攻撃力を発揮できない時間帯もあり、早川がより長い時間ボールに絡めるかどうかが新潟のポイントになりそうだ。一方、2年の川口は新潟ではFWだが、U-17、U-18代表ではサイドバックで起用されるというユーティティ性が魅力の選手。FWでは前を向いて仕掛けるプレーが魅力で技術力は高い。ただ、代表で抜ける時間が多く、新潟でコンビネーションを高める時間が長くなかった点が不安点。ベンチスタートの可能性も考えられる。守備ではCBの西村竜馬がポイント。フィードでは課題があるが、ヘディングの強さと1対1の強さが魅力で、都会の「街」クラブ・FCトリプレッタのテクニック自慢の攻撃陣にどう対処するかが見所になりそうだ。

そのFCトリプレッタは東京都渋谷区が本拠地のメトロポリタンクラブな「街」クラブ。小学生からトップの社会人まで合わせると約550人の選手を擁するクラブ。米原隆幸代表(ユース監督)は「本拠地の渋谷区西原付近の男子小中学生の3人に1人は何らかの関わりがある(笑)」というほど地域に根ざしているクラブ。ただ、都心のクラブはグラウンド確保で苦労していて渋谷区近辺の約10箇所を転々とせざるを得ない。その多くを抽選で確保しなければならない上、値段も照明代の1000円で借りることができる公共のグラウンドから1回4万円もするグラウンドまでハード面の確保がクラブの生命線。今年は大震災による節電で夏前までは夜間の練習ができずにチーム作りに支障が出た。それを補うのは年間150試合も組んでいるゲーム。「夏の時期は基本的にゲームしかしないんです。毎日ゲームで、1日2〜3試合することもある。選手がゲームで失敗しても、すぐ次のゲームでリトライする機会を与えるためにゲームを繰り返す。技術がないとゲームの連続はきついから、技術を高めることの意味を感じるようにも誘導できる」と米原監督は話す。今年は震災の影響でゲーム数は減ったが、Jユースカップの新潟戦は127試合目になる予定だ。
「Jユースカップは3回目ですが、バーにシュートを3回当てただけでゴールもないし勝ったことがない。どんな試合になるか分からないが、ウチらしくボールを大切に繋いで戦いたい。クリアもロングボールも使うが、できるだけ欲張ってできる限りショートパス主体のサッカーで挑みたい」(米原監督)
そのキーマンは4−3−3のアンカーを任されているキャプテンの石巻涼。攻守に渡ってチームをまとめる核となる選手。右の中盤には藤尾翔とともにテクニックのある2人の1年生を活かしてJクラブを倒す戦いに挑む。ここ一番でなかなか勝てなかった新潟は3年連続で町クラブと対戦することになったが、先制ゴールを決めて流れを掴んで安定感を出すことが重要になる。一方、FCトリプレッタは安定感を出させないために先制ゴールを決めて一気に押し切りたい。先制点が勝負を分けそうな対戦のキックオフは11月20日・午前11時@日産フィールド小机(横浜)。Jクラブ対町クラブの対決を生で楽しんで欲しい。


◎浦和ユース対横河武蔵野FCユース

「体制が変わったのが札幌戦の3日前だったんです」
浦和ユースの堀孝史監督と天野賢一コーチがJ1残留争いをするトップの監督・コーチに就任することになり、ユース・Bチームのコーチだった渡辺隆正がユースを任されたのはJユースカップの予選リーグ初戦の3日前。それも相手はプレミアリーグ(EAST)首位の札幌戦(アウェイ)だった。この試合で浦和は2−0から2−3と逆転を許して敗れている。アディショナルタイムの2失点は渡辺新監督にとってもショックだったが、「負けたことで残りの2試合は勝つしかないということがハッキリして一体感が出た。それにアディショナルタイムで選手は守ることなくレッズのサッカーをしていたから怯んで負けたわけでもなかった」という。その後の草津戦、山形戦に勝って決勝トーナメント進出を決めた浦和の軸はキャプテンの野崎雅也。「3年間堀(前)監督とやってきてサッカーが整理されて、みんなが同じ絵を見てボールをまわしてプレーができる。相手は関係なく、自分たちのサッカーをするだけ。6年以上一緒にやってきた仲間も多いので1試合でも多くやるために優勝を目指しています」と野崎は話す。4−1−4−1で戦うことが多い浦和だがシステムに囚われることなく、攻守に渡って全員がハードワークするチーム。彼らの最大のモチベーションは、厳しい状況に置かれているトップの監督を物凄い覚悟で引き受けた堀前監督と天野賢一前コーチが喜ぶのはユースの活躍だということ。自分たちの活躍で少しでも堀と天野を勇気づけて、トップのJ1残留に繋げて欲しいという想い。これは渡辺監督も同じ。「『自分が監督になってもいいのか?』と思ったが、ユースが頑張って堀さんと天野さんを後押ししたい」。トップに昇格する野崎とトップ下の点取り屋・矢島慎也、天皇杯に出場した成長著しい2年のCB西袋裕太のプレーにも注目して欲しいが、浦和の見所は全員の想い。J1残留を託され、火中の栗を拾う決断をした恩師のためにも浦和は結果を残したい。「誰が出てもレッズのサッカーができる。先発を決めるが本当に大変」という渡辺監督が選手の想いをどうまとめ、選手がどう応えるのかに注目して欲しい。

対戦する横河武蔵野FCは2年前のJユースカップ1回戦で新潟を3−1で下している関東の名門クラブ。Jクラブに準じるクラブといってもいいだろう。増本浩平監督は「当時の3年生は個々の能力が高い選手が多かった。今年の3年生は彼らがJクラブを倒した試合を1年生のときに見ているので『同じところに行きたい』という思いは強かった」という。JCY関東代表決定戦では、「トレーニングマッチを含めて年間10試合近くやっている(増本監督)」というFCトリプレッタに敗れたが、東日本プレーオフでは塩釜FCに延長の末2−1で勝って出場を決めた。チームの核はMFの石川乾悟で余裕を持ってプレーが出来る点が魅力。FWには小学生から横河武蔵野FCで育った大場駿がいる。塩釜FC戦の決勝ゴールを決めた選手で、サイズがあって足元が柔らかい選手。昨年まではボランチだったが、今年から気持ちの強さと得点力を見込まれてFWで起用されている。基本を大切にすることは当然だが、今年は走力が高まっており浦和相手にどれだけ粘り強く戦えるかがポイントになりそう。

湘南ユース育ちの増本監督は、今年がユースの監督1年目で、昨年まではJrユースの1年生を担当していた。3年前まではJFLの鳥取で現役選手だっただけに、今でも選手と一緒にプレーすることもある。
「私が湘南ユースの頃は何度か全国大会を経験することができたので、横河の選手にも全国大会のシビアな試合を経験させてやりたいという気持ちが強かった。Jユースカップはそのチャンスなので1試合でも多くシビアな試合を経験して成長に繋げたい。『大阪に行こう』を合言葉に、どのチームが相手でも自分たちのサッカーで挑戦するだけです。負ければ卒業の3年生はどこが相手でも挑んでくれると思います」

同じ日産フィールド小机で先にキックオフを迎えるFCトリプレッタと14時キックオフの横河武蔵野ユースは交流が厚く、お互いにJユースカップに出場できたことを喜び合った町クラブの盟友。両チームの監督共に、「町クラブは紙一重の実力チームが多い。どこが出場してもおかしくない。町クラブの仲間が頑張っている姿はお互いに見ているので彼らの分も頑張りたい」と話す。いつもなら浦和とは年に1回くらいは対戦する横河だが、今年は初対戦。J1残留のために戦う恩師を想う浦和、町クラブの仲間の想いを背負って戦う横河。どんな展開になっても熱い試合を期待できる。キックオフは午後2時。第1試合に続いて注目して欲しい。

以上


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■1回戦その他の試合予定
11月20日(日)11:00 大宮vs明倫/万博
11月20日(日)14:00 神戸vs鹿児島/万博
※全試合入場無料
★2011 Jユースカップ特集



2011.11.18 Reported by 松尾潤
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