12月3日(土) 2011 J2リーグ戦 第38節
草津 4 - 0 栃木 (12:34/正田スタ/3,246人)
得点者:49' 後藤涼(草津)、55' リンコン(草津)、87' 萬代宏樹(草津)、90'+2 アレックス(草津)
スカパー!再放送 Ch183 12/4(日)後03:00〜
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※栃木側レポートはこちら
4−0というスコアを大きくデザインした記念Tシャツを特別販売してもよいくらいのメモリアルゲームとなった。2011シーズン最終戦にして北関東ダービーのラストマッチ。クラブと地域の誇りを懸けた今季の集大成というべきビッグマッチで、草津が北関東ダービー記録となる4ゴールを叩き込んで完勝した。あいにくの雨の中、スタジアムへ駆けつけた草津サポーターはゴールラッシュと心地よい草津節の響きに酔いしれた。栃木戦爆勝は、クラブ史に残るベストゲームの一つとして末代まで語り継がれることだろう。
スコアレスで終わった前半は、クローズな展開だった。草津は、事前の予想通りポゼッションを支配したものの、ゾーンを敷く栃木の守備網を破壊することができずに時間が経過していく。草津は、栃木が繰り出してくるロボ、サビア中心のカウンターをケアしつつ、ビルドアップからダム決壊を狙ったがゴールを奪うまでは至らない。「うちのリズムは悪くなかったが、逆に言えば、カウンターの罠にハメる栃木の流れでもあった」(熊林親吾)。それでも草津は、自分たちのスタイルであるパスサッカーを貫いた。
「この流れでは引き分けに終わる可能性も出てきてしまう」
そう察した熊林は、ハーフタイムに選手たちへゲキを飛ばしたという。「相手は最悪引き分けでもいいが、うちは勝利しか狙っていない。それにはさらにギアを上げていく必要があった」。熊林の喝によってさらなるエネルギーを注入されたチームは後半にゴールラッシュをみせることになる。
ゴールラッシュの皮切りは後藤涼だった。後半開始早々の49分、永田拓也のスルーを受けてペナルティエリア左へ切り込んだ後藤がGKをかわしてシュート。そのシュートは必死のカバーリングで戻ってきた栃木DFに当たってゴールへと流れ込む。「ラインのギャップが見えたので裏へ走った。ラッキーな部分もあったが、うちのスタイルからゴールが生まれたことが大きかった」(後藤)。このゴールが草津をさらに燃え上がらせた。
追加点は、草津の十八番であるサイド攻撃から導かれた。特攻野郎・古林将太が右サイドをえぐると、後藤を経由してリンコンが狙いすましたコントロールショット。「涼がDFをひきつけてくれていたので、あとは決めるだけだった」(リンコン)。リンコンの2戦連続弾で、草津の勢いは、もはやだれにも止められなくなった。2点のリードを守るのではなく、リードをどこまで増やせるか。草津は守りに入ることなくアグレッシブなスタイルを継続。ふらふらになった栃木をロープ際へと追い込んでいく。
栃木は、全体のバランスも考えず前線に人数だけを増やして捨て身の戦いを仕掛けてきたが、草津の選手たちは、それすらも楽しむかのように相手のプレスを自慢のパスワークでいなして形を作っていく。「栃木が何をやりたいかまったくわからなかったので、ボールを持たれてもまったく怖くなかった」(松下裕樹)。草津は内容、質ともに圧倒して栃木にチームビジョンの違いを教え込んだ。
試合終盤、栃木に人為的なアクシデントが起きる。大久保裕樹が負傷していたにもかかわらず3枚目の交代カードを切る。その後、大久保がプレー不可能となり、草津は何の労もなく数的優位となる。草津は、指示系統を失った栃木をサンドバッグにして容赦なくパンチを打ち込む。これがボクシングであればタオルが投げ込まれていてもおかしくなかった。そして萬代宏樹、アレックスがトドメのゴールを突き刺して、ゲームを終わらせた。
草津はアディショナルタイムに、長きにわたりチームに在籍し今季でチームを離れる佐田聡太郎、田中淳を同時起用。主将松下は、佐田がピッチに入ると涙ながらにキャプテンマークを託し、JFL時代からチームを支えたプレーヤーとの別れを惜しんだ。「佐田や田中をああいう形で送り出すことができて本当に良かった」(松下)。ゴールラッシュと惜別シーンは忘れられない1ページとしてクラブ史に刻まれる。
4−0完勝。草津は前半の北関東ダービー2連敗が響いてトータルでは結果を残すことが出来なかったが、リーグ戦では栃木、水戸を上回る堂々の9位フィニッシュ。北関東トロフィーは栃木側が寂しく持ち帰ったらしいが、北関東の真の王者が草津だということは誰がみても明らかだった。
以上
2011.12.04 Reported by 伊藤寿学
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