バルバリッチ監督が「連戦を勝利で始めることができたのは、非常に重要な意味を持つ」と語ったように、大型連休の4連戦の初戦で、勢いをもたらす勝利をつかんだのは愛媛。攻守両面で、ほとんどの時間帯で鳥取を寄せつけず、今季ここまで1分3敗と苦手にしていたアウェイでの初勝利をつかんだ。
鳥取は昨季から、先制された試合はほとんど負けており、愛媛は今季、押し気味に進めながらも、先制できないと苦戦する傾向があるため、「最初の1点」が重要になることは、プレビューで触れた通り。その1点を奪うチャンスを先に作ったのは、鳥取だった。5分、戸川健太のロングボールのこぼれ球を拾った美尾敦が、ディフェンスラインの背後に走り込んだ実信憲明に浮き球のパス。しかし、実信がトラップをミスしてGK秋元陽太にキャッチされ、シュートを打つことができなかった。しっかり止めていれば、GKと1対1になっており、結果的に鳥取にとっては前半最大の決定機。これを逃したことが、その後に大きな影響を与えることになる。
愛媛は落ち着きを取り戻した後は、小気味良くパスをつなぎ、徐々に鳥取を押し込んでいく。ただ、ラストパスが精度を欠いたり、ゴール前で体を張った守りに遭って決定機を作れず、「最初の1点」が奪えない、嫌な展開になりかけていた。しかし37分、CKのピンチをはね返すと、守備から攻撃へ素早く切り替え、電光石火のカウンター。前野貴徳がドリブルで長い距離を運び、倒れながらもパスを送ると、右サイドでフリーになっていた有田光希が蹴り込み、先制点を奪った。
これで勢いづいた愛媛は後半開始直後から、立て続けに追加点を奪う。まずは開始30秒、キックオフから攻め込み、中央に運んだボールをトミッチが狙うと、鳥取の選手に当たってコースが変わり、ネットを揺らした。さらに52分には、ゴール前での細かいパス交換で守備網を破り、前野がフリーでシュート。これは鳥取GK小針清允に防がれたものの、こぼれ球を東浩史が押し込んだ。バルバリッチ監督が試合後、「あの得点で、ほぼ試合は決定づいた」と振り返った通り、まだ時間は残っていたものの、勝利を確実にする2得点だった。
鳥取は今季、後半の入り方が極端に悪く、9節のうち4試合で、最初の10分間に失点を喫しており、またもその課題を露呈する2失点。2点目を奪われた直後から岡野雅行の投入を準備していたが、その岡野がタッチライン際でアウトオブプレーになるのを待っている間に3点目を奪われてしまった。その岡野とケニー クニンガムが入ってからは、2人のがむしゃらな走りに触発されたように、攻撃に勢いが出たものの、前がかりになったぶんピンチも増え、70分にカウンターから決定的な4点目を奪われる。終了直前、美尾のシュートが愛媛GK秋元陽太にはじかれたこぼれ球を岡野がヘッドで狙い、クロスバーに当たって真下に落ちたところを、詰めていたケニーが押し込んで1点を返したが、焼け石に水だった。
鳥取は攻守に悪いところばかりが目立ち、吉澤英生監督も試合後の会見で語ったように、選手が委縮してしまっている。先制されると、引き分けに持ち込むのも難しいことが数字に表れているだけに、状況は深刻。過密日程で立て直しにかけられる時間が限られており、厳しい状況がしばらく続きそうだ。
一方の愛媛は、ひとまずアウェイでの初勝利で、苦手意識を払拭できたことが大きい。ただ、次節は首位・湘南をホームに迎えるが、攻守の要となってきたトミッチが警告累積で出場停止となる。この日の勝利の勢いを持続し、代わりの選手を加えるチームが良いパフォーマンスを出せるかどうか。長丁場のリーグ戦で、目標とする6位以内を目指せる力があるかどうかを問われる一戦となるだろう。
以上
2012.04.28 Reported by 石倉利英













