この試合は、今年からJ2に加入したクラブ同士の「同期ダービー」である。町田と山雅のサポーターは以前から交流があり、今日の試合前にも「平成23年度JFL卒業生同窓会」として、両クラブのサポーター約300人が集った。「JFLには〜♪落ちたくないから〜♪」というチャントで声を合わせ、今後の躍進を期した。
町田のホームゲームにもかかわらず、試合前から“緑色”が目立った。アウェイ側のゴール裏には約千人の松本サポーターが詰めかけ、「どちらのホームか分からないほど」と反町康治監督が評したほどの大声援を送る。ただし試合が始まれば、町田と松本は「絶対に負けたくないライバル」だ。どちらに転ぶか分からない、白熱の好勝負だった。
最初の決定機は町田だった。3分、町田は太田康介が大きく蹴り戻したクリアが、相手CBの処理ミスを誘う。北井佑季が長い距離を走ってエリア内までボールを追うと、高く弾んだボールがちょうど足元に入った。しかし北井がフリーで狙ったシュートは、GK野澤洋輔に阻まれる。
その後は松本に試合の流れが傾く。野澤洋輔選手は「蹴ってばっかりのサッカーになっていた」と反省するが、町田側から見ると「シンプルに前へ入れてくることによって、前からのプレッシャーが生きなかった」(太田康介選手)という解釈になる。松本は1トップ塩沢勝吾選手が強さを発揮し、2シャドーの船山貴之、弦巻健人との関係も良好。松本が押し気味に試合を運ぶ中で、前半最大の好機が30分に訪れた。松本は多々良敦斗が左サイドに絶妙のフィードを送り、塩沢勝吾が抜け出す。塩沢はエリア左から丁寧に折り返し、弦巻健人がボレーを合わせた。しかしここはGK修行智仁が至近距離から身体でブロックする。
後半開始直後の48分にも、松本の決定機があった。弦巻健人のスルーパスから、塩沢勝吾がオフサイドぎりぎりで抜け出す。塩沢は30m近くドリブルで運んで、1対1の場面を迎えた。しかしこれもGK修行智仁が好セーブ。町田がぎりぎりで耐える。
町田のアルディレス監督は、思い切った采配で試合を動かした。レフティー鈴木崇文を後半開始からトップ下で起用。52分には、6試合ぶりの登場となるコリンマーシャルをボランチの位置へ送り込む。マーシャルの強いキックから、両サイドが前を向いてボールを持てるようになった。「DFラインと中盤の間で受けて、ターンが出来れば相手は嫌がる」(鈴木崇文選手)という狙いも奏功し、町田は高い位置での仕掛けが増える。変化は「セットプレーの数」から見て取れる。前半0本だった町田のコーナーキックが、後半は9本。反町監督が「キッカーが変わって混乱して、正直危なかったですよね」と振り返る状況が生まれていた。
しかし町田はCBの薗田淳が空中戦の着地で傷み、57分に加藤恒平と変わる。「松本キラー」の勝又慶典をベンチに残したまま、町田は30分以上を残して交代カードを使い切ることになった。
勝負を分けたのは「残り15分」の攻防だった。75分、松本は塩沢勝吾が前線でコリンマーシャルに激しく寄せ、ボールを奪い取る。喜山康平は後方をサポートし、1タッチの左足スルーパスを前線に送った。田代真一のスライディングはわずかに届かず、ボールを奪った瞬間からスプリントを始めていた船山貴之がエリア内へ抜け出す。GK修行智仁はたまらずに船山の足へ手を掛け、松本にPKが与えられた。船山がPKを自ら決め、松本は待望の先制点を挙げる。
試合はそのまま1−0でタイムアップ。松本が1勝1分5敗からの3連勝で、14位に浮上した。反町康治監督は「後半残り15分から、町田はガタっと落ちるんですよね。我々はその残り15分に、パワーを出して出来る力が付いてきた。そういうトレーニングをずっとしています」と両チームの“差”を語ってみせる。終盤のフィットネスが勝負を分けた、同期ダービーだった。
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