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【ヤマザキナビスコカップ 清水 vs 大宮】レポート:実り多き5連勝で清水が堂々の予選突破。敗れた大宮も新体制に向けて準備は整う(12.06.10)

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ヤマザキナビスコカップ予選リーグで無傷の5連勝を成し遂げた清水。1万人以上が応援に駆けつけたホーム、アウスタでの3試合ぶりの勝利、そして個人レベルでも多くの収穫があった中、盛大な勝ちロコで実り豊かな予選突破を祝った。

プレビュー記事でも触れたように、この対戦では、大宮のゾーンディフェンスを清水がどう攻略するか、逆に大宮が清水のワイドな攻撃をどう封じるかという部分が注目されたが、フタを開けてみると、清水のピッチを幅広く使った攻撃が優位に立つシーンが目立った。
それを象徴したのが、清水の右サイド。MF河井陽介が「前半は(吉田)豊がけっこう高い位置で仕掛けてくれて、あれがけっこう効果的だった」と振り返れば、大宮のボランチ・上田康太も「前半は、相手の右サイドでうまく高い位置をとられて(DFラインが)下がってしまった」と語り、双方の分析も期せずして一致する。
大宮のゾーンディフェンスは、FW、MF、DFで作る3ラインの間をコンパクトに保ち、横幅も絞って、中盤でゲームを作るスペースを相手に与えないことを信条とする。したがって、「逆サイドに振られたときは早く横にスライドしてスペースを与えないこと」(GK江角浩司)が重要になるが、清水の右サイドバック・吉田豊が、その横スライドが完了する前に高い位置をとって起点を作ったため、どうしても大宮の対応が後手後手になってしまう。その意味では、右ウィング・大前元紀の幅広い動きや、河井を中心に素早くシンプルにサイドに展開したこともかなり効いていた。
そこから清水がドリブルやパスで裏を狙って仕掛けたため、大宮のDFラインはズルズルと下がらざるを得なくなり、3ラインの間も開きがちになってしまう。その隙間に大前や河井らが入り込んでボールを受け、完全に右サイドの主導権を握って、クロスを上げる場面も多く作った。
こうなると大宮は、自分たちのリズムで戦うことはできない。ボールを奪う位置が低いため、カウンター攻撃も思うように仕掛けることができず、「守備をする時間がすごく長かった」(上田)という展開になった。

ただ、清水のほうも、ラストパスやそのひとつ前のパスにミスが目立ってなかなか通らず、最後の1対1では大宮の守備陣が粘り強い対応を見せたこともあって、前半のシュート数は5本。それほど多くのチャンスを作れたわけではない。
そんな流れの中での前半36分、大宮がチョ ヨンチョルの素早い右スローインから東慶悟が裏に飛び出し、折り返しから長谷川悠が決めて、劣勢の大宮が先制点を奪う。清水が集中を欠いた一瞬を突いた鋭い攻撃は、今後につながる一発だった。
しかし、「失点した後のリアクションは非常に良かった」とゴトビ監督も振り返ったように、その後の清水は慌てることなく冷静に攻めの迫力を増していく。そして、好調な右サイドの攻撃でつかんだ41分のFK。李記帝の速くて正確な左足キックからゴール前で一際高くジャンプした平岡康裕が完璧に競り勝って頭で叩き込み、清水がすぐに同点に追いつくことに成功する。

後半に入って、清水はさらに攻撃のギアを上げようとしたが、大宮も守備の修正を図って、なかなかつけいる隙を与えない。逆に後半6分には大宮のカウンターから長谷川が決定的なチャンスを迎えたが、ここはGK山本海人がファインセーブでチームを救う。
するとゴトビ監督は、後半18分に高原直泰→高木俊幸、小林大悟→杉山浩太と一気に2人を代え、前節の札幌戦と同様に大前をセンターフォワードに置く形を試みる。結果的にこの交代策が当たり、25分に杉山の正確なロングフィードで大前が裏に飛び出し、これをDF深谷友基がペナルティエリア内で倒してしまい、PKの判定。深谷はこのプレーで一発退場となった。
そして、このPKを大前が自ら決めて清水が逆転。その後は数的有利になった清水がゲームを支配し続け、10人の大宮が必死に試みる反撃にも冷静な対応を見せる。ただ、清水サポーターから見れば、数的優位を生かしてもっと多くのチャンスを作ってほしいと思うような展開でもあった。
その不満を解消させたのが、37分から交代で入ったルーキー、白崎凌兵だ。39分のチャンスでは、シュートではなくクロスを選択してサポーターのブーイングを受けたこともあって、43分に中盤で前を向けた場面では迷うことなくゴールに向かってドリブルを仕掛け、柔らかなフェイントで1人抜いて、ペナルティエリア手前から左足シュート。これがきれいに右ポストぎりぎりに突き刺さり、予選突破を決定づける3点目、白崎にとってはうれしいプロ初ゴールを決めた。

試合はこのまま3-1で終わり、清水はヤマザキナビスコカップ予選リーグでは5戦全勝。1試合を残して文句なしの予選突破を決めた。しかも、そこには多くの収穫も伴っている。
攻撃では、前述の通り右サイドがよく機能しただけでなく、左からも中央からも意欲的に仕掛けの姿勢が表われ、中断期間の取り組みが形となって表われていた。とくに河井は、ルーキーとは思えない冷静さと戦術眼を見せ、正確なパスで小気味よくゲームを作るプレーが印象的だった。平岡が得意のセットプレーで今季初ゴールを決めたのも大きなプラス要素と言える。
また、前節でプロ初ゴールを決めた石毛秀樹は「自分でもこんなに余裕あったっけ?という感じでした」と、これまでより余裕のあるボールキープや状況判断を見せ、前半45分にはロングボールから技ありのファーストタッチで相手を鮮やかにかわしてスタンドを沸かせた。白崎も、ゴールシーンでは彼らしい相手の間合いを巧みに外すドリブルと正確なシュートを見せた。これで自信を得て、今後の試合では石毛と同様に余裕が増し、より持ち味を発揮しやすくなるだろう。
若手にチャンスを与えながら結果も求めていくという意味でも、清水にとっては非常に満足度の高いヤマザキナビスコカップ予選となっていることは間違いない。

一方、来週からベルデニック新監督が指揮を執る大宮のほうも、この試合では狙い通りのサッカーができたわけではないが、「選手のモチベーションも非常に高いし、できること、できないことをはっきりさせることが少しずつできてきている」(岡本ヘッドコーチ)と、精神的には非常に前向きになっている。選手個々の能力の高さも、試合の端々で垣間見ることができた。このまま新監督の戦術と個人能力がうまくかみ合えば、良い化学反応が起こる可能性は大いにあるはずだ。
3週間後には、再びリーグ戦での対戦が控えている。それまでに両チームにどんな変化が起こっているのか、非常に楽しみになってくる。

以上

2012.06.10 Reported by 前島芳雄
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