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【ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 磐田】レポート:自信を失った川崎Fが磐田に完敗。勝利の磐田は予選リーグ首位に立ち、最終節を迎える(12.06.10)

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あまりにも悪すぎる前半だった。ボールを保持している局面では、磐田の前線からのプレスをまともに受け、ボールを前に運べない。またパスコースがなく、時間をかけざるを得ない状況を作られてロストする。

守備においては、トップ下として先発した松浦拓弥を中心とした流動的な磐田の動きについて行けず、レナトとレネ サントスとが並ぶ右サイドを崩され続けた。川崎Fにとって非常に苦しい前半が、磐田の意図通りだった可能性を示唆するのが、頻発したパスカットの場面である。

これまでにも書いてきた通り、風間八宏監督は選手たちにまずはタテパスを意識するよう指導を続けてきた。横パスは、最後の最後でいいのだと、伝えてきていた。つまり逆の見方をすると、川崎Fと対戦するチームはタテ方向を開けておけば、横方向にパスコースが残っていたとしても、川崎Fの選手がタテパスを選ぶ場面が増えるということを意味する。だからタテパスのコースを限定しさえすれば、インターセプトの機会は生まれやすい。つまり頻発したパスカットを見るにつけ、これは磐田の狙い通りの展開なのだろうと考えたのである。

そして少なくとも風間監督が、パスが繋がっていないことを問題視していたことがハーフタイムコメントから見て取れた。風間監督はロッカールムにて、選手たちに次にように語りかけている。

「ボールがしっかり見えるポジションを取るように。自信をもってパスをつないでいこう」

また、風間監督はこの言葉の真意を会見で問われ「特に前半は、ものすごく隠れ上手なサッカーをしていました。全部相手に隠れてしまって、もっともっと自信をもって貰いに来なければならない」と答えている。このコメントは、普段の練習でボールを持つ味方に対し、敵に隠れずに顔を出すよう伝えていることの対比で見るとわかりやすい。つまり磐田のプレスに気圧され、自ら隠れてしまった選手が居ることを示唆しているのである。

心理的にネガティブなスパイラルに陥った戦況を覆すのは難しい。川崎Fは前半25分に、山田大記と宮崎智彦との連携で右サイドを崩され、中央に走りこんだ山崎亮平に先制点を決められていた。つまり、心理的にも得点としてもマイナス地点からの戦いを余儀なくされたのである。そんな中、風間監督が打った打開策はハーフタイムにとった柴崎晃誠から小林悠への交代策だった。

「ミスも多く、最悪でした」と前半を振り返る西部洋平は「後半はシステムを代えたのもあるし、メンタルの部分もあって、よくなったところはあった。収穫はあったと思います」と話す。川崎Fは4−1−4−1にシステムを変更し、中盤を厚くする事でパスコースを確保させようとしたのである。そしてこの変更により多少なりとも川崎Fがペースを奪い返しかけたのは間違いない。それでも前半2本にとどまったシュートが倍増の4本になったに過ぎず、ペースアップは限定的だった。

前節の敗戦により予選リーグ敗退が決まっていた川崎Fにとってヤマザキナビスコカップはこの試合が最後となる。また雨の中、等々力に足を運んでくれた7970人のサポーター(喜びの磐田サポーターを含むが)を前に不甲斐ない戦いをしてしまったのが残念である。ただ、川崎Fにしてみると、けが人の多さが戦いに影響を及ぼしているのは確実だった。当初この試合の翌日となる6月10日にBチームを対象とした練習試合が予定されていたが、あまりのけが人の多さにキャンセルされ、2連休を取る事となったのである。そしてそんな試合中の前半39分に登里享平が腰部を打撲し、負傷退場。後刻発表された診断結果は左第四腰椎横突起骨折という深刻なものだった。全治は8週間で、試合後より1週間程度の入院が見込まれている。紅白戦で選手が足りず、コーチやGKまでもがフィールドの選手としてプレーする事を余儀なくされている川崎Fにとって、この登里の離脱は非常に痛い。苦しい状況はしばらく続きそうだが、これを機にチャンスをもらう若手の活躍に期待するしかないだろう。

ちなみにこの試合では、ケガ人だった選手の活躍が光った。そのゴールによって磐田に勝利をもたらした山崎である。山崎は、2月5日の五輪代表としてのシリア戦中に左腕の左橈骨(とうこつ)を骨折しており、そこからの復帰後初ゴールとなった。

磐田のサポーターにとって、そして五輪での活躍を狙う山崎にとってはU-23日本代表の関塚隆監督に対する大きなアピール弾となった。ただ、そんな試合後の山崎はあくまでも謙虚だった。

「点をとれたのは良かったですが、まだまだコンディションを上げて行かないとダメだと思います。まずチームが勝てたのが良かったです。もっと点を取れていたと思うし、しっかり続けていけるよう頑張りたい」

ロンドン五輪代表の発表までの時間は少ないが、その活躍で存在価値を証明し続けてほしいところである。

なお、この試合の結果、磐田が勝点を12点に伸ばしている。また、前節の5節終了時点で勝点9で並んでいたC大阪と鳥栖の両チームが共に敗戦を喫したことにより、磐田が予選Aグループの単独首位に立つこととなった。この結果、最終節には4チームが勝ち抜けをかけた戦いを繰り広げる事となった。目の離せない試合となるのは確実であり、どのような結末が待っているのか、楽しみである。

以上

2012.06.10 Reported by 江藤高志
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