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【J1:第22節 鳥栖 vs 清水】プレビュー:Jリーグの中で、どちらが最も走るチームなのか…。前線からの激しいプレスで優位な展開に持ち込みたい鳥栖と清水の一戦(12.08.17)

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夢、願望、悲願。
成し得そうで、なかなか成し得ないものである。それでも、そこに行きつくまで(成し得るまで)は、歩みを止めず、努力を怠らず、「集中」して、「最後まであきらめず」に戦わないといけない。それが、アスリートの宿命でもあり、サポーターの務めでもあり、それがサッカーなのだ。

「最低でも残留」(永井強化部長/鳥栖)で始まった今季の鳥栖。今節を含めて残り13試合となった。ここまで積み上げた勝点は34。選手やスタッフ、クラブ関係者の常日頃からの努力には頭が下がる。しかし、「よくぞやってくれた」というにはまだ早い。「最低でも…」が、まだ達成されていないからである。この、「最低でも…」を成し得るための一つの指標に、今季のJ1の中での“運動量”がある。

永井強化部長が「最低でも残留」と掲げた同じ日、同じ場所で尹晶煥監督は、「鳥栖には、経験も名前もJ1の選手はいない」という趣旨の言葉を発した。「だからこそ、90分間走らねばならない」とも付け加えた。昨季から作り上げてきた“鳥栖スタイル”で戦うという宣戦布告でもあった。その、“鳥栖スタイル”を最も出しにくく、しかし最も効果的に見せることができる相手が、今節の相手となる清水ではないだろうか。

鳥栖は、90分間を「集中」して「最後まであきらめず」によく走る。どこにも負けていない“鳥栖スタイル”である。そして、清水も決して鳥栖に負けていない。いや、攻撃スイッチが入った瞬間の清水の“連動した運動量”は、鳥栖以上かもしれない。それだけ、今季の清水もよく走るチームである。

若い元気な選手が前線に多い清水は、ボランチにボールが入ると両サイドのアタックプレーヤーであるFW大前元紀と高木俊幸がゴール前に飛び込む機会を抜け目なく狙っている。そこに、後方から両サイドDFも攻撃参加の機会を狙うしたたかさを持っている。前線で自由に動きながら、ゴールまでの岐路を探すと同時に、後方の選手たちも空いたスペースに顔を出してくるのである。この連動した攻撃は運動量の成せる業であり、今季の清水の特徴でもある。勢いをつけると、一気に相手の息の根を止める怖さと強さを持っている。鳥栖は、何としても前線の動きを封じ込め、勢いづけることを阻止したい。そして、鳥栖は清水の勢いを止めるだけの“運動量”を持っている。

今季の鳥栖は、相手のストロングポイントを消す技を身につけた。正確には、昨季から積み上げてきたといった方が理解を得やすいと思う。それは、前線からの激しいプレスである。尹監督が宣言した“鳥栖スタイル”であり、「90分間走らねばならない」(尹晶煥監督/鳥栖)選手の宿命である。相手のストロングポイントを出させないために前線からプレスをかけて自由を奪う。隙あらばボールを奪い、シンプルにシュートまで持っていくスタイルは、開幕から前節までサポーターも納得のスタイルである。
FW豊田陽平が追い込むコースを限定すると、連動してMFがパスコースを消していく。DFはできるだけ高い位置までラインをあげて相手の動きを封じこむ。ボールを奪えば、豊田にあてて一気にシュートまで持っていく。ここで、得点を奪うことができれば完全に鳥栖のペースとなる。直近の試合では、5バックで奪った得点を守り抜くスタイルも確立している。言い換えると、「後半に入ってリードできていれば、守り抜くことができる」(早坂良太/鳥栖)スタイルを確立しているのである。

一気に攻め込んで突き放したい清水に対し、先制して守り抜きたい鳥栖といえるだろう。その狙いをかなえるための手段の一つに、相手に負けない“運動量”がある。今節は、繰り返し行われる激しい前線からのプレスと試合終了後に倒れこむ幾多の選手たちの姿を見ることができる試合となるだろう。

文末になるが、もう一点だけ注目ポイントをあげておきたい。両チームの若きアタッカーのマッチアップである。清水は高木俊幸で、鳥栖は水沼宏太である。ボールを持たせても、クロスをあげさせても、シュートを打たせても、絵になる選手である。しかし、2人同時には絵にならない。なぜならば、同サイドでマッチアップするからである。どちらかが目立てば、片方は引き立て役になる。片方が攻撃モードになっていると、もう片方は守備モードなのである。若きアタッカーの対決からも目が離せない。

球技とは言え、ボールに触る時間が短いサッカー。
その短い時間を有効に使うために、ボールがないところでも相手との駆け引きが行われている。
マークを外し、スペースに飛び込み、数的優位を作りながらゴールを狙う。
一瞬たりとも気を抜けない時間が続くスポーツなのであり、走らないと参加できないスポーツなのである。
サッカーは走ることから始まるのである。

以上

2012.08.17 Reported by サカクラゲン
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