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【J1:第2節 徳島 vs C大阪】レポート:大きな変化を見せた後半45分。開幕2連敗も、徳島は今後へ繋がるキッカケを確かに掴んだ(14.03.09)

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キッカケは掴んだ。そう言っていいだろう。開幕2連敗という厳しい結果にはなってしまったが、チームはこの一戦の後ろ45分間で自分たちのすべきことを確かに認識できたはずだ。またそこで見せた戦いによって、開幕戦で砕かれた個々の自信も蘇り始めたに違いない。そのことを裏付けるように「こういうゲームを積み重ねながら不要な失点を減らしていくことが勝点奪取に繋がるのだと、少しは手応えを掴めたような気がします」と語った橋内優也をはじめ、選手たちは皆、試合後に前向きな言葉をコメントの中に含めていた。
J1ホーム開幕戦、敗れはしたものの、徳島は今後に向けて非常に大事なものを得たと言える。

ただ、そのようなゲームも前半に関して言えば反省しかなかった。30分過ぎからこそアレックスや衛藤裕が左サイドの深いところまで入り込み、40分には一度ドウグラスが惜しいヘディングシュートを放つ場面も作ったが、それまではまるで開幕戦の内容を引きずったような展開。チェックの遅れにより与えた直接FKを山口蛍に決められ開始早々10分で先制を許すと、続く13分には右サイド奥を丸橋祐介に易々と突破されて厳しいセンタリングを入れられ、千代反田充の不運なオウンゴールで追加点まで献上してしまった。さらにその後も徳島はC大阪のボール回しにほとんど圧力を掛けられない。小林伸二監督も「上手くトップにボールを入れられて杉本(健勇)がキープし、そこに合わせて二列目が入ってくる精度の違いを見せつけられたなと思います」と振り返っていたように、完全に試合を支配されていたと言えよう。

しかしながら、迎えた後半は徳島に大きな変化が表れる。
まず、小暮大器に変えて福元洋平を投入し前半何度も狙われていた右サイドの守備を固めたチームは、「サイドに限定した時にアプローチをしっかりすること」という指揮官の指示を実践してアグレッシブなボール奪取を見せ始めた。組織的に連動した追い込みと、追い込んだところへの激しい寄せによって、いいボールの奪い方が出来るようになったのである。
するとそのような守備の改善は次に攻撃の活性化へ結び付いていく。特にボランチの斉藤大介と濱田武が精力的にボールを受けて展開をリードしていくようになったことで中盤が大いに安定。徳島は徐々に高い位置で組み立てられるようになり、武器であるカウンターにも輝きが感じられるようになっていった。そしてそうなるとやはり好機の数は前半と違うものに。57分、左CKを活かしてゴール至近距離であと一歩のシーンを作り出せば、72分には早い動き出しのダイアゴナルランで後方からパスを引き出したアレックスが起点となって大崎淳矢が際どいフィニッシュ。それ以外でも鋭い出足でセカンドボールを拾っての波状攻撃、終盤投入されたクレイトン ドミンゲスが巧みなワンタッチで変化を付けた中央での仕掛けなど、徳島は前半と打って変わってC大阪ゴールへ繰り返し迫ることが出来た。

結果的に反撃の得点を挙げるまでには至らなかったが、それでもそのようにハッキリと自分たちの変化を出せたことは間違いなく次節以降へ繋がる大きなキッカケだ。小林監督が常々口にしている「怖がらずに」をプレーとして体現し、局面の厳しさや前への積極性を徹底すれば、J1の舞台でも十分戦えることを選手たちは強く感じられたに違いない。事実、松井謙弥も試合後「自分たちらしさも随所に出せたと思うので、あのようなプレーを続けていくことが勝ちに繋がっていくと思います」と話し、すぐに次への意欲を燃やしていた。
この一戦を目にしようと詰めかけた観客数(12,202人)が物語るように、かかる期待と集まる注目は非常に大きくなっている。J1初勝利を手に入れることは決して簡単なことでなく、しかも次節の相手は昨季のリーグ2位、今年の元日決勝に勝って天皇杯を制した横浜F・マリノスだが、徳島にはこのキッカケを足掛かりに課題克服も進め、何としてもそこでクラブの歴史に刻むJ1初勝利をもぎ取ってもらいたい。

一方、C大阪については、今季初の勝点3を獲得することに成功した。「今週あたまから代表選手が抜けて、体調不良の選手も出る中で、全員が揃ってトレーニング出来なかった」(ランコ ポポヴィッチ監督)ことを考えたなら、満足の結果と言えるのではないだろうか。とは言え、後半徳島に崩されたリズムをズルズル最後まで引きずってしまった部分は修正が求められる課題であろう。山口も試合後その点に触れたコメントをしていたが、ACLもある過密スケジュールの中であっても今シーズン求める成果を手中に収めるためには、それをピッチ上で改善し切れるようになる必要があると思われる。

さて、この一戦で勝負の行方とならび見所に取りあげられていた柿谷曜一朗の凱旋について最後に少し。C大阪のスタメン発表時、その名がコールされるとスタジアムには自然と大きな拍手が巻き起こり、徳島の人たちはチームの垣根を越えた最大級の愛情を彼へ示した。逆に柿谷は試合終了後、そのお礼も込めた挨拶をするためにゴール裏とメインスタンドへ足を向けた。
徳島と柿谷。その間には今も深い絆がある。そしてその絆はこれからもきっと生き続けていくことだろう。

以上

2014.03.09 Reported by 松下英樹
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