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【第94回天皇杯 3回戦 広島 vs 水戸】プレビュー:情熱よ、届け。広島と水戸、2つのプロクラブが想いを賭けて激突する(14.08.26)

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果たして、サッカーをやっていて、いいのだろうか。
この思いは、サンフレッチェ広島の選手・監督・スタッフ、全てを支配していたと言っていい。かつて東日本大震災を仙台で被災した林卓人の言葉に、耳を傾けてみた。
「たくさんの人たちが広島の大規模土砂災害で被災したわけです。自分たちの地元の人たちがこの暑い中で我慢を強いられて、避難所などで苦しい生活を余儀なくされている。そういうことを考えると、どうしても思ってしまうんです。サッカーをやっていて、本当にいいのだろうか、と」
あの大震災の時も、林は同じ想いにとらわれ、胸が苦しくなったという。そしてそれは、今回の広島での災害でも同じであり、他の選手たちも同様だった。
「僕の自宅は大丈夫だったんですが、近所は大変なことになっていた。厳しい状況です」
青山敏弘の述懐は、選手たちにとって決して遠い出来事ではない。多くの選手たちが被害状況をごく身近に感じ、スタッフのすぐ近くで亡くなられた方が出ている現実も存在する。気持ちが揺れないはずがない。それでも、23日に行われたJ1第21節・C大阪戦では2万人を超えるサポーターが被災地近くのエディオンスタジアム広島に集まり、選手たちに精一杯の声援が贈られた。C大阪のサポーターからも「広島」コールが聞こえた。
 自分たちは、ここに存在している。
 自分たちのサッカーを待っている人たちがいる。
そんな実感を得て、燃えない選手はいない。
だが燃える気持ちが大きすぎて、プレーにズレが生じ、「勝ちたい」から「負けたくない」という気持ちの幅がブレて、C大阪戦では攻撃が機能しなかった。

確かに、森保監督が打ち出した「守備意識の徹底」によって、広島の守備は整備され直近3試合で失点1。だが、指揮官の意図はあくまで「原点回帰」であり、「攻撃に出るな」「縦パスを入れるな」「勝負を仕掛けるな」などと言っているわけではない。しかし守備への意識づけが強くなったことが、選手たちのリスクを冒す心にブレーキをかけているように見える。
もちろん、それ以前の5試合で13失点という状況を考えれば、指揮官の方向性は極めて妥当。そこは選手たちもわかっているはずだが、なかなか平静さを取り戻せていないのが実情だ。守備への切り替えは早く、集中力高くブロックをつくれてはいるが、攻撃に出る時の出足が一歩遅く、後ろが重たくなっている。攻守のバランスがとれるようになるためには、もうしばらくの時間と、何よりも結果が必要だろう。

だからこそ広島にしてみれば、明日の天皇杯・水戸戦を一つのきっかけとしたい。大災害による順延で7連戦になってしまったこともあり、水戸戦は若者たちの起用が有力。だがそれは決して、主力を休ませるという意図ではない。練習では素晴らしい躍動感を見せている彼らが、水戸というレベルの高い相手との公式戦で結果を出せれば、さらなる自信につながりチームの競争を激化させる。その刺激が、迷いを吹き飛ばす起爆剤となることを期待したいのである。

広島での大災害に対し多くのJクラブが支援を表明しているが、真っ先にその声をあげたのが水戸だった。その募金活動には、社長自ら先頭に立ってサポーターに声をかけていたと聞く。水戸というクラブの温かさとサポーターの真摯な想いに、まずは深い感謝の念を表したい。
広島に対する義援金募金が行われた前節の愛媛戦で、水戸は勝利できなかった。ここ最近の試合同様、内容は悪くない。いや、はっきり「いい」と言っていい。小気味よいパスワークとロングボールを使い分けてリズムをつくり、チャンスも量産する内容が結果につながらない歯がゆさは、選手もサポーターも強く感じているはずだ。
もし広島が水戸に対して「J2で14位のチーム」「リーグ戦6試合勝利なし」というデジタルな結果だけで実力を図ろうとするならば、間違いなく苦戦する。延期となった前回・8/20の広島遠征メンバーからは本間幸司・鈴木隆行・冨田大介らのベテランが外れていたようだが、考え方は今回も変わるまい。試合に飢えた若者たちがモチベーション高く牙を剥き、連戦の厳しさをJ1連覇中の広島と対戦できる喜びによって吹き飛ばそうとするはずだ。

1993年のアメリカ・ワールドカップ アジア最終予選でともに闘い、「ドーハの悲劇」の当事者となった柱谷哲二と森保一は、当時の日本代表では常に同部屋となった間柄である。「哲さんにはたくさんのことを教えてもらった」と語る森保監督が、柱谷監督との対戦を心から楽しみにしているのも当然だろう。その柱谷監督に見い出され、プロでやれる自信を植え付けられた塩谷司もまた、水戸との対戦を心待ちにしている。
仕切り直しの一戦に対する想いの強さは、両チームともに熱い。その情熱が、大災害の被害に遭われた方々への励ましとなって届くこと。それこそ、プロフェッショナル・サッカーの存在意義なのである。

以上

2014.08.26 Reported by 中野和也
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