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中村 憲剛の視点:土壇場での同点劇を生み出した4-3-3への回帰。「自分たちのリズムでゲームを支配したことで最終盤の同点ゴールにつながった」【ACL 川崎Fvs蔚山】

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2022年4月16日(土) 12:45

中村 憲剛の視点:土壇場での同点劇を生み出した4-3-3への回帰。「自分たちのリズムでゲームを支配したことで最終盤の同点ゴールにつながった」【ACL 川崎Fvs蔚山】

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中村 憲剛の視点:土壇場での同点劇を生み出した4-3-3への回帰。「自分たちのリズムでゲームを支配したことで最終盤の同点ゴールにつながった」【ACL 川崎Fvs蔚山】
途中出場ながら相手GKのキャッチミスをついてゴールを決めた車屋 紳太郎(#7)の戦列復帰も朗報です。消耗戦となるグループリーグでは貴重な存在になるに違いありません

激闘が繰り広げられるAFCチャンピオンズリーグ。グループステージ突破を狙うJリーグ勢はアジアの難敵相手にいかなる戦いを見せたのか。DAZN解説陣が鋭い視点で試合のポイントを分析するとともに、次節の見どころを語る。

試合終了間際の起死回生の同点ゴールには痺れました!!後半、決定機は作っていましたが、相手GKの好セーブもあり、正直負けてもおかしくないゲームになりかけました。それでも川崎Fは諦めずに攻撃を続け、最後はセットプレーからでしたが、追いつくことができました。それまで好セーブを続けていた相手GKのミスからだったとはいえ、それは圧をかけ続けた結果であり(△1-1)、川崎Fとしては重要な初戦で非常に大きな勝点1を得たと言えます。

昨年に続き集中開催となったグループリーグは(川崎Fが所属するグループIはマレーシアで開催)、4チームが中2日で計6試合を戦います(各グループの1位と2位の成績上位の3チームがラウンド16へ進出)。厳しいスケジュールの中で、今後首位を争うであろう蔚山とは4月27日の第5戦で再戦しますが、この勝点1がきっと生きてくるのではないでしょうか。

21分に先制されるなど前半は改めて“チーム作りの難しさ”を再認識させられる内容でした。川崎FはACLに向かう直前のリーグ戦、柏レイソル戦は通常の4-3-3ではなく4-2-3-1で勝利を掴みました(〇1-0)。1分1敗で迎えたゲームでシステム変更をし、球際、ハードワークの面も含めてその前の2戦と比べても内容の伴った勝利でした。

その背景を踏まえて鬼木(達)監督はレイソル戦と同じメンバー、布陣で蔚山戦に臨みました。勝った流れは崩さないというのはセオリーでもあります。しかし、この試合では4-2-3-1で来る蔚山相手には上手くハマらなかった印象です。時に4-4-2になり、2列目の天野(純)とカザイシュヴィリがポジションを自在に変え、最終ラインも川崎Fを見て流動的に可変してビルドアップをしてくる蔚山の戦い方に手を焼く時間が続きました。

また、立ち上がりに天野に背後に2回際どいスルーパスを狙われたことで、最終ラインを押し下げられ、いつも通り前からプレスに行こうとする前線との感覚がいつもと違って共有されにくくなったことで全体が間延びしたのも苦戦の原因でした。コンパクトな陣形を保つ普段の川崎Fではあまり見られないような姿でした。プレスがなかなかかからずに自陣に押し込められてしまいました。

前線からのプレスも、通常の3トップでの追い方とは異なります。(CFのレアンドロ)ダミアンと、トップ下の遠野が2トップ気味にプレスするやり方だと、左サイドのマルシーニョの守備時のポジショニングもいつもとは少し異なります。前半は彼の位置取りが鍵になっていました。前にいくのか、後ろでバランスを取るのか、彼は悩んでいたのではないでしょうか。鬼木監督も頻繁に指示を送っていました。

前半の途中からマルシーニョはより高い位置に取るようになり、相手のパスミスを誘発しましたが、それを見て蔚山は、すぐさま高いポジションを取り始めたマルシーニョと左ボランチの橘田(健人)の間を狙い、パスを通し始めました。このあたりの蔚山の振る舞い方はさすがで、後半も高い対応力を示しました。韓国で首位を走る所以を感じましたね。

ただ蔚山は前半からリズムよく人とボールが動かせた分、後半はやや息切れした印象です。逆に苦しんだ前半を1失点で抑えた川崎Fは反撃の機会を窺っていました。

それは前半の終盤から相手の4-4で作られた守備ゾーンの間にボールを通せるようになり、バイタルエリアで前を向けることで、ペナルティエリアに入る回数が増えた点からも見て取れました。なので、川崎Fは後半に向けて攻撃のイメージは悪くなかったでしょうし、守備もハーフタイムで修正できると考えたはずです。

実際に後半は4-3-3に戻し、躍動感が出てきました。やはり慣れ親しんだシステムだと自然と反応できるというか、動きがスムーズでした。前半4-2-3-1の時は普段とわずかですが立ち位置が微妙に変わる分、相手の動きに合わせて考えてから動く割合が大きかったため、なかなか守備のスイッチを入れてボールを奪う回数が多くなかったのですが、後半は蔚山の運動量の低下も背景にはあったとはいえ、自分たちのリズムで前線からプレスをかけて奪う回数が増え、ボールを握り、決定機も多く作りました。自分たちのリズムでゲームを支配したことで最終盤の同点ゴールにつなげたと言えます。

さらに試合を通じていくつかの収穫もありました。まずは(ジョアン)シミッチとマルシーニョの良好なコンビネーションです。振り返ると、ふたりは実戦の場であまり一緒にプレーしていなかったはずです。シミッチの出場機会が減った昨季の後半戦にマルシーニョが加入しています。

でも蔚山戦で見せたように、お互いの得意なプレー、シミッチのフィード力とマルシーニョのスピードはすごく相性が良いと感じました。左利きで左サイドにパスを出すのが得意なシミッチにとっては、左ウイングで素早く動き出してくれるマルシーニョは適したパートナーなのでしょう。ブラジル人ふたりの連係はチームの新たな武器になりつつあります。

またACL初挑戦の佐々木 旭や、2度目の出場となる宮城 天ら若い選手たちにとってACLは貴重な場になるはずで、彼らの成長は非常に楽しみです。グループリーグを通じて逞しさを増せば、チームにとって小さくない上積みになります。

そして、途中出場ながら相手GKのキャッチミスをついてゴールを決めた車屋 紳太郎の戦列復帰も朗報です。彼はCBとしてスピードもあり最終ラインから左足でパスを配球できます。加えて左SBでもプレーできる。消耗戦となるグループリーグでは貴重な存在になるに違いありません。

蔚山戦を経て4月18日(月曜日/日本時間18時キックオフ)には第2戦の広州FC戦が待っています。ポイントは高温多湿な環境で、どれだけ体力を回復できるか。広州は若手中心のメンバー構成と聞きますが、川崎Fは総力戦で臨めるかも大切です。

キーマンを挙げるならやはりキャプテンの谷口 彰悟でしょうか。蔚山戦では相手の最終ラインからのロングボールをレオナルド(元・浦和)に持ち込まれてゴールを決められましたが、その後は崩れずに最後までやり続けました。彼がチームを締めることで川崎Fは結束を高めていると思いますし、そのリーダーシップは欠かせません。スクランブルで対応しなくてはいけない状況が増えれば、彼の働きはより重要になります。

東南アジア特有の高温多湿な気候に、深い芝など慣れない環境、そして中2日での6戦はこちらが考えている以上にかなりキツイはずです。だからこそ初戦で追いついて勝点を取ったことは精神面でもプラスに働くのではないでしょうか。蔚山も、前半と後半で内容が変わり、追いつかれて終わったことで、嫌なイメージを持ったはずです。この勝点1を先につなげるためにも大事なのは次戦です。今大会初勝利に期待したいですね。

川崎フロンターレ×蔚山現代|ハイライト】


[次節開催情報]
AFCチャンピオンズリーグ2022 東地区グループステージMD2
広州FCvs川崎Fフロンターレ
2022年4月18日(月)18時00分キックオフ(日本時間)
DAZN独占配信

 

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