11月8日(日) 2009 J2リーグ戦 第48節
札幌 1 - 1 富山 (12:33/札幌厚別/6,843人)
得点者:53' 石田英之(富山)、83' 石井謙伍(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 11/9(月)22:00〜(解説:大森健作、実況:岡崎和久、リポーター:藤井孝太郎)
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試合は立ち上がりから五分五分の状態で進んだ。どちらかのボール支配率が高いという印象もあまりなく、お互いに攻め、お互いに守ったという序盤戦だったと言っていい。そうした展開のなかで、優位性という意味ではアウェイの富山に分があった。
ホームの札幌は1トップのキリノ、もしくはトップ下の位置で先発出場したハファエルにクサビのパスを当て、そこからのスピーディなパス交換をバイタルエリア付近で見せていた。しかし、スルーを交えたり、狭いエリアながらも際どいスルーパスを狙うなど、プレーに若干“色気”を狙い過ぎていたように感じる。
それに対して富山はシンプルにパスを上下に動かし、そうして生まれたタメを生かして川崎健太郎、木本敬介という左右サイドアタッカーの攻め上がりを引き出した。そして、札幌守備陣がアウトサイドに意識を向けたと見るや、中央から思い切った突破を仕掛けるというオーソドックスながらも明確な攻撃プランをチーム全体がしっかりと共有できていた。20分過ぎには、左サイドを川崎が駆け上がったことで札幌DF陣がその動きについていく、もしくはオフサイドトラップで対応しようかというタイミングで、その裏をかくかのように中央での壁パスで完全に札幌のDFラインを突破してみせたのだ。このプレーは結果的にオフサイドとなってしまったが、石川直樹を中心として積極的にDFラインを押し上げようとする札幌守備陣を牽制するには充分なプレーとなった。
こうしたようにゲーム展開こそ五分五分に近い状態ではあったが、意図の明確な攻撃をチームとして繰り返していたという意味で富山の方が若干の優位性を感じさせていた。
しかし、最初の得点は意外な形から生まれる。後半立ち上がりの53分、DFからのバックパスを受けた札幌のGK高原寿康のキックがミスとなってそのまま相手の石田英之に渡ってしまい、その石田が難なくゴールへと蹴り込んだのだ。
やはりサッカーは得点を奪い合う競技である。展開としては拮抗していたゲームが、得点が入ったことによってパワーバランスの変化が生まれていった。
「2週間開いたので、組織ディフェンスというところに力を入れてやってきた」と楚輪博監督。先週末は各チームが天皇杯3回戦を戦ったが、富山は対戦相手が3日に行なわれたヤマザキナビスコカップ決勝に出場した川崎Fが相手であるため、日程がスライドして未消化。そうして生まれた時間を使って富山は組織としての守備トレーニングに力を入れてきたということだ。
その成果が1−0のスコアとなったこの試合で早くも成果を出したと言える。リードを得てからの富山はフィールドプレイヤーの10人でバランス良くブロックを形成し、リスクを最小限にとどめて札幌の攻撃を的確に跳ね返していた。
また、負傷離脱していたGK中川雄二の復帰も大きかった。リーグ屈指の能力を持つこの中川は前半途中にはペナルティエリア内でボールを持った相手FWと至近距離で対峙した局面で冷静にコースを消して対応していたし、後半中頃にはスピードのある難しい相手CKを難なくキャッチするなど富山の守備組織をより強固なものにしていた。
こうなると、注目すべきはその富山の守備組織をどのように札幌が崩していくのかという部分だろう。
札幌の石崎監督は72分、2枚目のカードとしてFW中山元気を投入(1枚目は藤田征也)。この交代に合わせてシステムをそれまでの4−4−1−1から3−5−2へと変更した。中山、キリノの2トップの後方にハファエルが置かれ、左サイドバックだった岩沼俊介が本職である守備的MFに移るという攻撃的なシステム変更だ。そして77分にはキリノに代えて石井謙伍を投入。スピードある突破が武器のキリノに対し、石井はラストパスに対して反応するタイプのストライカーである。
「何とか点を取って欲しい」(石崎監督)という狙いがあった石井の投入だったが、これが見事に成功する。83分、ハファエルが右足アウトで巧みに左サイドへ展開すると、試合開始時は右MFながらも後半に左へと移った上里一将が武器である左足のキックでスピードのあるボールを中央へ折り返す。これを石井がヘディングで決めて札幌がドローに持ち込んだ。
試合を総括すると、両チームのポテンシャルが表現されたと記すべきか。富山のほうは個の力こそ札幌に比べて若干劣るかもしれないが、それを補って余りある組織的なサッカーを展開した。リードしてからの時間帯もチーム全体が慌てることなく冷静にゲームをコントロールしていた。対する札幌は「自分達のサッカーをするという段階にさえ至っていなかった」と石川が自チームの低調なパフォーマンスを振り返ったが、それでもイージーミスからの1失点にとどめたし、最終的には攻撃のパワーバランスを高めてしっかりと得点を奪い取った。
これら、双方のチーム状態やパフォーマンスを考えると、1−1のスコアでのドローというのは試合展開を反映したフェアな結果と言っていいだろう。
以上
2009.11.09 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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