2004年1月1日開催
第83回天皇杯決勝:国立競技場
C大阪(13:30KICKOFF)磐田
無冠のまま2003シーズンを終えることなど、「常勝軍団」には絶対に許されない。2002年Jリーグ年間完全制覇を成し遂げたジュビロ磐田の意地とプライドを賭けた戦いが、ついにキックオフされる……。
中山雅史、名波浩、服部年宏、田中誠、鈴木秀人……。Jリーグの頂点を何度も極め、オリンピックやワールドカップなど数多くの国際舞台を経験してきたスター選手を揃えるジュビロ磐田。そんな彼らといえども、1年の幕開けの日に、東京・国立競技場で行われる天皇杯決勝を戦うのは初めてとなる。
元旦の国立には独特な雰囲気があるという。かつてヤマハの一員として大舞台を経験した柳下正明監督は「1時半からの試合は太陽がまぶしく、やりにくい」と語った。ヤマハスタジアムと違って、中立的なサポーターも多い。そんな空気に飲まれてしまうと、自分たちのサッカーができなくなる恐れもある。
だが、ジュビロの選手たちに気負いはない。「自分たちのサッカーをすればいい」とベテランの中山雅史も言う。彼らのサッカーとは、中盤で速いパスをしながら攻撃を組み立て、前線でひと工夫してゴールを決めるというもの。チームリーダー名波浩を軸に、成岡翔、西紀寛らが盛んにポジションチェンジをして、空いたスペースに入り込んでいく。一方の守備は、3バックが高いラインをキープし、ペナルティエリア内で相手に仕事をさせないというのがモットーだ。
残念ながら、今年のジュビロは理想的なサッカーがなかなかできなかった。2002年のJリーグ完全制覇のメンバーである高原直泰(ハンブルガーSV)が抜けたばかりでなく、シーズン途中に藤田俊哉(ユトレヒト)も離脱。この2人を欠いたのがその一大要因だったといえる。名波も「セカンドステージは自分にマークが集中し、戦いにくい部分があった。仕事量も増えた」と負担の大きさに苦しんでいたという。
それでも天皇杯に入ってから、彼らは本来の姿を取り戻した。田中誠を中心とした守備陣の手堅い守りと、名波を軸とした素早いパス回しのサッカーがしっかりと機能するようになったのだ。グラウと前田遼一の2トップのコンビネーションも一段とよくなり、ゴールを量産できるようになった。準決勝・清水エスパルス戦では、ペナルティエリア内での彼らの連携が特に光っていた。
天皇杯決勝におけるジュビロの最大のテーマは、そういう自分たちのサッカースタイルを遺憾なく発揮することだ。中山は「相手うんぬんじゃない。自分たちのやり方でプレーできれば、自然と結果はついてくる」と自信を見せる。そして名波も「ウチらしいシンプルなサッカーをすればいい。リアクションにならないように、つねに主導権を握って戦いたい」と語った。
対戦相手のセレッソ大阪は、ジュビロと対照的な「リアクションサッカー」を指向するチームだ。前線のバロン、大久保嘉人、森島寛晃の3人を除いて、他の選手たちは基本的に守備に重きを置いてプレーする。彼らの存在は確かに脅威だ。実際、大久保には今年のリーグ戦でゴールを奪われている。守備陣も彼には特別な警戒心を持っている。
けれども、そんな相手のスタイルに惑わされていたら、悲願の天皇杯獲得は遠くなる。ジュビロはやはりジュビロらしく、ボールポゼッションをしながらゲームを組み立て、ゴールを狙っていくべきなのだ。セレッソの戦い方は関係ないといっても過言ではない。自分たちのサッカースタイルを貫いて、天皇杯という新たなタイトルを奪ってこそ、「常勝軍団」ジュビロ磐田のプライドは保たれる。
そのためにも早い時間帯に先制点がほしい。若い成岡も「ウチのチームは先に点を取れば負けない」と太鼓判を押した。これまでの天皇杯4試合のように、前半に流れの中からゴールを取れれば、ジュビロはかなり優位な立場でゲームを運べる。そういう試合展開をみんなが狙っている。
万が一、セレッソに先制されても、このチームのベンチには中山というスーパーサブが控えている。彼は「コンディションは日に日によくなっている」という。この男がピッチに立つだけで、チームは大きな活力を得ることができる。
チーム一丸となって、柳下監督の誕生日を勝利で飾りたいところだ。
2004.1.1 Reported by 元川悦子
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