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【天皇杯決勝 C大阪vs磐田戦レポート】勝敗を分けた経験の蓄積(04.01.02)

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第83回天皇杯決勝
国立競技場(13:30KICKOFF)

C大阪 0-1 磐田
得点者: 後半26分 グラウ(磐田)

ジュビロ磐田が第83回天皇杯優勝

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 C大阪の酒本の動きが冴えていた。前半開始早々の3分にドリブルで突っかけてチャンスを作り出すと、その後もC大阪の攻撃の起点となって磐田の左サイドを切り崩した。

 立ち上がりの混乱の時間帯を終えて試合が落ち着きを見せると、磐田の両WBが次々に中に絞る動きを見せる。めまぐるしくポジションを変えてスペースを生み出しC大阪ゴールを狙う。この動きもあってか酒本が消え始めると、今度は前戦のバロンがポスト役をこなし起点となった。両チームがペースをつかもうと激しい駆け引きが繰り返された。その中でもC大阪の喜多が「いい感じでボランチとコミュニケーションが取れていた」と言うようにC大阪の守備は集中を切らさず、磐田の攻撃を食い止めた。

 酒本とバロンの働きが印象的な前半を終えると、塚田監督は意外な采配を振るった。攻撃のアクセントになっていた酒本を下げ徳重を投入したのである。

「(酒本は)個人技で崩して抜いていく部分もあったんですが、あそこのところをスピードで抜きたいという部分があったので徳重に変えてみました」

 酒本のドリブル突破は効果的ではあった。しかしドリブルでの勝負は、時間がかかるという難点がある。ゴール前での集中を切らさなかった磐田の守備陣を相手にした場合、よりスピーディーな攻撃が必要になる。ボールを受けてから崩しにかかる酒本と、ボールを受ける前の動きである程度勝負を決める徳重の特徴を考えたとき、塚田監督は後者を選んだということになる。

 酒本をもう少し見たかったという思いはあるが、交代出場の徳重はシュートに絡む動きを見せていた。共に悪くなかったということを考えると、この二人が共存する場面を見てみたかったというのが、正直な感想だった。

 一進一退の攻防が続く中、磐田には試合の流れを変えることのできる選手がいた。67分に成岡に代わって登場した中山が、磐田に勢いを与えた。

 本当にワンチャンスだった。71分。右サイドで中山が孤立した状態でボールをキープして時間を作り、フォローに入った前田へパス。これをダイレクトでゴール前のグラウにつなぐと、マーカーをもろともしないコントロールでシュート態勢に入りゴールを決めた。流れるような攻撃で、磐田が先制する。

 C大阪のこの試合のストロングポイントは、サイドからの攻撃と大久保の個人技。そしてバロンの強さだった。ロングボールの競り合いに関しては、バロンは負けていなかった。彼の頭を経由したボールがチャンスにつながる場面は多かった。1点ビハインドの状況に立たされたC大阪は、もっとシンプルにバロンを狙っても良かったはずだ。しかしどうしてもしっかりとパスをつないでいこうとする。80分に前線から厳しくプレスをしかけ、守備でも貢献していたグラウが2枚目のイエローカードを受けて退場。これによってC大阪の守備陣に正確なフィードボールを蹴るための余裕ができた。ただ、それでもC大阪はショートパスを回す時間が減らなかった。

 試合後、セレッソの塚田監督にこんな質問をしてみた。

「最後の方、もっとバロン選手にシンプルに当てた方がいいんじゃないかと思っていたんですが」

 それに対して「それは言っていたんですけどね。なかなかグラウンドレベルとベンチとでは上手くいかなくて」とその時間帯の状況について説明してくれた。ピッチとベンチで乖離した意識。つまり状況に応じたプレーの選択、という部分でC大阪は甘さがあったのだろう。そしてそれが天皇杯の行方を分ける大きな差となった。

 この大会を最後にC大阪は多くの選手やスタッフがチームを離れる。磐田を攻め立てた攻撃は見事だった。それだけに「決勝で自分達のやろうとするゲームができたことに満足しています」という塚田監督の言葉は実感が込められていた。

 勝負を分けたのが、経験の蓄積だとしたら、チームがほぼ解体されるC大阪にこの天皇杯決勝の経験がそれほど残されないのは、いかにも残念なことである。

2004.1.2 Reported by 江藤高志


以上

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