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【天皇杯決勝 C大阪vs磐田戦レポート】ジュビロ磐田の勝ち運を手繰り寄せた中山(04.01.02)

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第83回天皇杯決勝
国立競技場(13:30KICKOFF)

C大阪 0-1 磐田
得点者: 後半26分 グラウ(磐田)

ジュビロ磐田が第83回天皇杯優勝

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2004年のスタートを飾るに相応しい好ゲームとなった天皇杯決勝。「常勝軍団」ジュビロ磐田が唯一、手にしていなかったタイトルを手繰り寄せたのは、今年37歳になるベテランストライカー・中山雅史だった。
第83回天皇杯決勝・セレッソ大阪対ジュビロ磐田の一戦が2004年1月1日、13時30分から東京・国立競技場で行われ、磐田がグラウの一発を守りきって1−0で勝利。2003シーズンを優勝という形で終えた。

2006年ドイツワールドカップ1次予選、アテネ五輪と、重要なサッカーイベントが目白押しの2004年がやってきた。その幕開けとなるのが天皇杯決勝だ。伸び盛りの日本代表FW大久保嘉人率いるC大阪と、名波浩らスター選手の揃う磐田の対戦とあって、国立には5万1167人の大観衆が集結。あいにくの曇り空だったが、気温は約13度まで上がり、まずまずのサッカー観戦日和となった。

天皇杯は、ヤマハ発動機からジュビロへ移行してから全く縁のないタイトル。「常勝軍団」の名にかけて、何としてもこれを獲りたいところだ。この日は準決勝・清水エスパルス戦を欠場した服部年宏が復帰。GK佐藤洋平、DF田中誠、鈴木秀人、山西尊裕、ボランチ・河村崇大、服部、右サイド・西紀寛、左サイド・成岡翔、トップ下・名波、2トップにグラウと前田遼一と、現状での最強布陣で挑んだ。対するC大阪は準決勝・鹿島アントラーズ戦と全く同じメンバー。バロン、大久保、森島寛晃の「1トップ2シャドウ」は今日も健在だ。

序盤は様子見の展開になると思われたが、積極的な仕掛けに出たのはC大阪。服部、成岡、山西の連携ミスを突いて、いきなり森島がスペースを切り裂いて大久保へ決定的クロスを流した。大久保はこのボールにあと一歩追いつけず、得点は生まれなかったが、ジュビロにヒヤリとした空気が漂った。
この後もC大阪のバランスのいいサッカーに苦しめられた。前線から激しくプレスをかけ、中盤でボールを取り、しっかりと攻撃を組み立てる相手の戦術に、ジュビロらしい正確なパス回しと中盤のポジションチェンジは陰を潜めた。グラウ、前田の2トップも前線でなかなか仕事ができなかった。

以前のC大阪は「引いて守ってカウンター」というイメージだったが、この日の組織的サッカーはジュビロの選手たちを驚かせた。成岡も同い年のMF酒本憲幸の切れ味鋭いドリブルに何度も押し込まれた。彼の背後をカバーするつもりだった山西は「バロンと大久保を見るのに精一杯で、成岡をサポートしきれなかった」とその苦境を口にしていた。

それでもJリーグで何度も王者に輝いてきた彼らに焦りはなかった。「今、耐えれば、必ずチャンスが来る」と信じて戦ったのだ。前半は結局、5本のシュートを放ったが、決定機は、39分にグラウのシュートがクロスバーをかすめたシーンだけ。それでも相手の得点も許さず、ジュビロは苦しい時間帯を乗り切った。

後半になると、ジュビロはじわじわと主導権を握り始める。C大阪が後半キックオフ時に絶好調だった酒本を外し、さらに西澤明訓を中盤に置くという作戦に出て、逆に中盤のバランスを崩したこともあるだろう。前半は相手に拾われていたセカンドボール、ルーズボールを奪うようになったのだ。中盤を支配しはじめれば、やはりジュビロは強かった。

この試合でジュビロを去る柳下正明監督は、この時間帯に切り札・中山を投入。ベテランのアグレッシブな走りと体を張ったプレーは、完全に試合の流れを引き寄せた。そして後半26分、ついに均衡を破るのに成功する。
最終ラインからのロングボールに反応した中山は、相手DF喜多を体でうまくブロック。さらに巧みな切り返しでフリーになり、中央に走りこんだ前田にパスを出した。前田はゴール前にいたグラウへボールを流す。グラウは高い技術を駆使し、マークについていたDF柳本をかわして右足でゴールに流し込んだ。次の瞬間、磐田から20台のバスを仕立てて国立に乗り込んだ数千人のサポーターから耳をつんざくような大歓声が響き渡った。

ここからはC大阪の猛攻が続いた。残り10分を切ったところでグラウが2枚目の警告を受けて退場になり、数的不利の状況にも追い込まれた。しかし磐田の堅い守りは崩れなかった。彼らの中には、まさかの逆転負けを喫し、タイトルを献上したJ1第2ステージ最終戦、横浜F・マリノス戦のことがしっかりと焼きついていた。「あの試合があったからこそ、集中して最後まで戦えた。いい教訓にできたと思う」と河村も言い切った。

泥臭い戦い方のできるジュビロの前に、勢いあふれるC大阪は屈した。終了のホイッスルが鳴り響いた時、大久保はピッチに倒れこみ、空を仰いだ。その傍らで、王者に輝いた磐田の選手たちが柳下監督のところに駆け寄って歓喜の雄叫びを上げていた。

やはりジュビロには中山がいた。彼の気持ちの入った動きは、間違いなくチームメートを鼓舞し、大観衆をも味方にした。DF喜多靖をかわしたプレーなどはまさに「ベテランの味」だった。苦しい時にチームを救える男かいるかいないか……。それがC大阪との差だったのかもしれない。

Jリーグ発足から10年の時間がかかったが、ジュビロはリーグ戦、ナビスコカップ、天皇杯という3つの国内タイトルを制覇することに成功。「常勝軍団」をいう名に相応しい実績を残した。「これを自信にして、来シーズンは再びJリーグ年間王者を目指します」と守備の要・田中は新たなスタートを誓った。


2004.1.2 Reported by 元川悦子

以上
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