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【U-23日本代表−ロシア代表戦レポート】意地を見せた高松、松井。最終予選への手ごたえを感じさせた山本ジャパン(04.02.12)

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 3月1日から始まるアテネ五輪アジア最終予選・UAEラウンドを戦うメンバー20人(+GK1人)に残るため、最終アピールの場に挑んだ選手たち。高松大樹(大分)、松井大輔(京都)らが「意地」を見せ、ヤングジャパンは格上・ロシアA代表に引き分けた。

 国際親善試合・U−23日本代表対ロシア代表の一戦が11日19時20分から、静岡スタジアム(エコパ)で行われた。日本は前半のうちに高松の先制点でリードしたが、ロシアの190cmの大型FWブルィキンに同点ゴールを奪われ、最終的に1−1のドローに終わった。それでもロシアに善戦したことで、チームは最終予選に向け「確かな前進」を感じさせてくれた。

 キックオフ時の気温は6.5度と厳しい冷え込みに見舞われたエコパ。観衆も1万6335人とスタンドにはやや寂しさが漂った。けれども、最終予選を控えた山本昌邦監督に観客数はあまり関係ない。ロシア戦は選手を見極める重要な場。イラン戦から先発6人を入れ替えて試合にのぞんだ。

 スタメンは、GK黒河貴矢(清水)、DF田中マルクス闘莉王(浦和=中)、徳永悠平(早稲田大=右)、那須大亮(横浜=左)、ボランチ・鈴木啓太(浦和)、森崎和幸(広島)、右サイド・田中隼磨(横浜)、左サイド・根本裕一(大分)、トップ下・松井、FW高松、坂田大輔(横浜)という顔ぶれ。基本システムはいつもの通り、3−5−2だ。

 対するロシアは4−4−2。2002年ワールドカップに出場したDFオノプコ、FWシチョフに加え、ユーロ2004(ポルトガル)出場を狙う若手がズラリと並んだ。11人の平均身長は182.3cmと日本より5cmも高かった。

 高さと強さを誇るロシアに、若い選手たちは序盤から押され気味になった。開始9分にFKからオノプコのヘディングシュートがクロスバーに当たり、17分にはDFモルのミドルシュートがワクに飛ぶなど、ピンチが続いた。しかしこの日の日本は「粘り強さ」を発揮。イラン戦でスタメン落ちした松井が、前線から激しくプレスをかけるなど、かつてないほどのアグレッシブさを披露。鈴木も豊富な運動量で広いスペースを埋めた。最終ラインの3人と黒河も空中戦に強いロシアに体を張った。チーム全体が「闘志」を剥き出しにして戦っていた。

 そんな気持ちが得点を呼び込んだのだろう。日本はワンチャンスをモノにして先制する。前半33分、ロシアのミスを突いてボールを拾い、一気にドリブルでオーバーラップした闘莉王がペナルティエリアで粘って坂田にパス。マークをひきつけた坂田は、前線に走りこんだ高松にボールを送った。フリーになった高松は落ち着いてシュート。昨年9月の韓国戦(ソウル)、10月の香港(香港)に続くゴールを挙げることに成功した。1月の宮崎合宿以来、超高校級FW平山に注目が集まっていたが、その逆風をバネにして、高松は確固たる結果を出したのである。

 ところが先制の後、日本は瞬く間にリズムを失ってしまう。ロシアの猛攻をあって、防戦一方に追い込まれてしまう。そして39分、右サイドからのアーリークロスに反応したFWブルィキンがヘッドで闘莉王に競り勝ち、DF裏に走りこんだ。次の瞬間、彼はFWケルジャコフから絶妙のパスを受け、見事なゴールをゲットした。「相手が先にジャンプしたから追いつけなかった。すごく微妙なプレーだった」と闘莉王は悔やんだが、相手の試合巧者ぶりが出ると同時に、山本ジャパンの若さと経験不足が露呈されたシーンだった。

 前半は1−1で終了。山本監督は主導権の取れなかった左の根本に代え、森崎浩司(広島)を起用。もう1点を狙いに行った。

 しかしロシアは強かった。日本はゴール前で2度3度と決定機を作られるが、そのたびに立ちはだかったのが守護神・黒河。GKのポジション争いも熾烈を極めているが、黒河はナイスセーブを連発。反応の速さとポジショニングのよさを強烈にアピールした。

 その後、時差ボケと体力低下で間延びしてきたロシアのスキを突いて、日本の両サイドが攻撃参加する回数も増えた。イラン戦ではミスの目立った田中隼も鋭いクロスをたびたび挙げ、チャンスを作った。山本監督はさらに平山・田中達也(浦和)の「凸凹コンビ」を投入。この采配は当たり、後半39分には平山が惜しいシュートを放つが、残念ながら追加点はならず。結局、1―1のままゲームは終わった。

 イラン戦に続いて勝ちきれなかった山本ジャパンだが、選手たちのコンディション、競争意識は確実に上がっている。高松、松井が気持ちのこもったパフォーマンスを見せたのは、その典型例だろう。以前は「自主性の不足」が懸念された五輪代表だが、ユース組や闘莉王の合流がいい刺激となり、ようやく「個人個人が戦えるチーム」に変貌しつつある。

 その反面、最終ラインの連携、闘莉王のやや不安定な守備、先制した後の落ち着きやゲームコントロール力といった、いくつかの課題も出てきた。それでもキャプテンの鈴木啓太が「ゲームをどう戦うか、みんなが同じ絵を描けるようになってきた」と前向きに語ったように、チームは間違いなく進歩している。

 これでメンバー絞り込みは終わった。山本監督は個々の状態、連携、A代表でプレーしている大久保嘉人(C大阪)らの動向を踏まえ、最終的にUAEへ行く選手を決める。注目のメンバー発表は16日。指揮官はどんな答えを出すのだろうか……。

2004.2.12 Reported by 元川悦子

以上


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