日の丸のついたユニフォームに袖を通し、ロシアのフル代表と試合をするという名誉に預かっていたことを考慮してもなお、この日の日本代表の気迫はすさまじいものがあった。高松、坂田のフォアチェックは執拗を極め、さらにはエレガントなプレーが持ち味の松井すらもロシア人選手に対して厳しいディフェンスを仕掛けて行った。その一方でGKの黒河は激しく闘莉王と口論し、最終ラインの集中はその鋭さを増していった。プレーの端々から、このチームに充満する緊張感が伝わってきた。
それもそのはず。最終予選UAEラウンドに向けて16日に発表される代表のチケットは、わずかに20名分しか用意されていない。今回招集され合宿を重ねてきたのは24名の選手たちだが、ここに現在A代表に参加している大久保、石川、茂庭が加わって選考が行われる。そう考えると、現在のチームから最大で7名の選手が脱落する可能性がある。だからこそ出場機会を与えられた選手たちは、目の色を変えて試合に取り組んだ。
ただ、それでも相手は格上のロシアA代表だ。時に高さを生かしたセットプレーを見せたかと思うと、時にスピードを発揮してマークにつく日本選手を置き去りにした。格上の貫禄は試合の端々に出ていた。
次々と枠の中に打ち込まれる鋭い弾道のシュートを黒河が好セーブでしのぐ苦しい前半の流れを変えたのは、一人の選手の思い切ったプレーだった。
32分。闘莉王が相手選手のコントロールミスのボールを奪うと、そのまま前にドリブルで抜け出した。
「前にスペースが空いていたんで。そういう場面ではどんどん攻めていけと監督も言っていたし、最後まで自分で打つつもりだった(闘莉王)」というそのドリブルは、結果的に高松のゴールを生み出した。
しかし直後の39分には、その闘莉王と那須の間に生まれたギャップを利用され、ブルィキンに同点ゴールをねじ込まれる。闘莉王効果はさまざまなところで現れているが、その一方で、守備面での連携に不安を残す結果となった。
後半に入ると、根本に代わって左WBに投入された森崎(浩)と、右WBに入っていた田中(隼)がバランスよく攻守のリズムを作り出したこともあって、45分を通じてロシアと互角の勝負を見せるようになる。
72分には先発した高松、坂田の2トップが田中、平山へと交代。リズムを代えた日本が何度かチャンスを作り出した。拮抗した内容の後半だったが、試合終了直前の89分に勝ち越しの大きなチャンスが生まれた。この日、何度目かのオーバーラップを仕掛けた闘莉王が、青木とのワンツーを決めて決定的なミドルシュートを放った。しかし、相手GKマラフェエフが見事なセーブでボールをかき出しノーゴール。結局その後もスコアは動かずタイムアップ。試合は1対1のドローに終わっている。
試合を終えた選手たちの表情は、一様に穏やかなものだった。その表情の裏側には「だれが選ばれても、とにかく同じチームの一員としてがんばってほしい」という連帯感の現われのようにも見えた。それぞれの選手がそれぞれに取り組んできた選考までのスケジュールは終わった。泣いても笑ってもあとは16日の代表メンバーの発表を待つのみだ。
2004.2.12 Reported by 江藤高志
以上
■□■ Information ■□■
開幕直前企画 第1弾 J1クイズチャンピオンシップでプレゼントをゲットしよう!!
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













