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【キャンプレポート2004】神戸、高知キャンプレポート(04.02.20)

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チームが始動した2月1日。神戸の練習場であるいぶきの森のグラウンドで、新会社(株)クリムゾンフットボールクラブの三木谷社長は初めて選手達の前に立ち、こう話した。「活躍すれば年棒が上がる仕組みを考えている。もちろん優勝すれば大幅アップだ。」選手達は歓声や拍手でその興奮を表した。昨年末の頃からじわじわと感じてきたチーム変革の予感。それがやはり現実であると実感するのに充分な社長の言葉だった。

しかし、一方で変化するチームに置いて行かれてはいけない、という気持ちが彼らを支配する。新社長以下、フロントは本気だ。長い時間をかけて常勝チームを作ろうなどという考えは毛頭ない。早く結果を出すために、労力も資金さえも惜しまない。だが、結果を出さなければ…。否応なく高まるプロ意識。更に、イルハン選手の獲得で、今までになく注目される毎日。これからへの期待と、また新しく芽生えたチームへの誇り、また焦燥感をも抱えながら選手達は2月12日、キャンプインを迎えた。

ピッチで神戸の変革の指揮をとるのは、イワンハシェック新監督。カズ選手は、「笑顔で厳しい事を言う監督」と楽しそうに評した。「酒・油ものの食事・パチンコの禁止」。好きな選手にはかなり辛い指示も、やはり笑顔で、だがはっきりと選手達に伝えている。トレーニングがどんなに厳しくても、試合に勝てば楽しい気持ちになる、が彼の持論。

その新監督の作った高知県春野運動公園でのキャンプスケジュールはこうだ。朝7時起床。15分後にはランニング(各自設定された脈拍まで上げることが義務付けられる)開始。朝食後9時半にはホテルを出発し、午前はフィジカル中心、午後は実戦を想定したトレーニング。休む間もなくバスで移動し、45分間のプールとジムでのトレーニングメニューを消化する。まさに4部練だ。

実は、このスケジュールは監督の希望でギリギリまで選手達には伏せられていた。理由は口にしなかったが、もしかするとキャンプ前に選手が気落ちしないようにという親心からなのか?とはいえ、既に始動からキャンプインまで連日3部練をこなしてきた選手達に大きな驚きはなかった。

それどころか、選手は精力的にメニューをこなし、楽しそうでもある。どのチームもキャンプはキツい。一年間戦える体を作っているのだから当たり前だ。もっと辛いのは先が見えるキャンプ。読めてしまうメニュー、そして予想がついてしまうレギュラーメンバー。このような場合、キャンプで横一線とはいっても、どこか線引きができてしまう。新監督ということで、それがやや軽減されるとはいえ、今年のモチベーションの高さは特別だ。

「トレーニングメニューに趣向を凝らして飽きあせないし、これだけ厳しいと絶対勝ちたいと思えてくる。監督の意図が伝わるね。それに、今、監督も会社も変わってチームがひとつになっているって感じる。」と三浦選手は語る。お互いをライバルだと意識すると同時に、変革が進むチームの中に身を置くもの同士の結束力が強くなっているのだ。

フロントにも変化があった。今季チーム統括部長に就任した三浦泰年氏は「選手の意識は明らかに変化している。そしてそれが継続していることが何より嬉しい。だけどまだまだこの一年、選手に変化を求めていくし、それは選手である限り続けてもらうつもりです。」と話した。その三浦統括部長は、キャンプ地ではトレーニングウエアでグラウンドに現れ、当然のように選手と共に走っている。選手や監督の気持ちを一番感じることのできるのはやっぱりピッチの中だから、とその理由を教えてくれたが、選手や監督の方も、チーム変革の一端を担い、努力を続けるこの新統括部長の気持ちをしっかりと受け止めているだろう。

「チームが変わったと言われるけど、それは結果が出てからじゃないと口にはできない。勝つためのチーム。それが実現して初めて変わったと言えるから。」三浦統括部長は優勝争いも視野にいれてこの一年を見据えている。もちろん去年までのように、J1に残留して胸を撫で下ろすチームであり続けることは許されない。

カズ選手はキャンプを、「チームの土台作りの時」だと言った。今年のキャンプはちょっとやそっとじゃ崩れないほど、がっちりと、念入りに作りこまれている。土台が変われば全てが変わる。「神戸は変わるよ。これで変わらなきゃどうするの。いや、変えてみせるよ。」土屋選手の言葉を聞きながら改めて確信した。神戸は、変わる。


2004.2.17 Reported by 高木聖佳
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