18日のオマーン戦(埼玉)の不完全燃焼感を、思い切り吹き飛ばしてくれる爽快なゲームだった。過去2度の対戦で「個人能力の差」を見せつけられてきた宿敵・韓国を、田中達也(浦和)が鋭いドリブルで切り裂き、松井大輔(京都)、森崎浩司(広島)が値千金の得点をゲット。アジアでの最終決戦に向け、山本ジャパンは確実に「闘う集団」と化した。
「キリンチャレンジカップ2004」・U-23日本代表対U-23韓国代表の一戦が21日、15時から大阪・長居スタジアムで行われ、日本が2-0で完勝。3月1日から始まるアテネ五輪アジア最終予選・UAEラウンドに向け、大きな弾みをつけた。
キックオフ時の気温が17.3度と、4〜5月の暖かさとなったこの日の大阪。うららかな陽気に誘われて、長居には3万8601人の大観衆が集結。山本ジャパンの最終予選・壮行試合に熱い視線を送った。
前日会見で「結果より内容が大事」と話した山本監督だが、2度続けて辛酸を舐めた相手を今回こそは倒したいところ。指揮官は必勝を期して、GK林卓人(広島)、DF田中マルクス闘莉王(浦和=中)、茂庭照幸(F東京=右)、那須大亮(横浜FM=左)、ボランチ・鈴木啓太(浦和)、今野泰幸(F東京)、右サイド・徳永悠平(早稲田大)、左サイド・森崎、トップ下・山瀬功治(浦和)、FW田中達也、平山相太(国見高)をスタメン起用した。A代表から戻ったばかりの石川直宏(F東京)は、コンディションの問題からベンチスタートとなった。
対する韓国はいつも通りの3-4-3。今月14日のオマーン戦(ウルサン=A代表)でメンバー入りしたDFチョ・ビョング、FWチェ・ソングッら、A代表経験者10人を揃える豪華な顔ぶれだ。しかし彼らは2日前に集合したばかり。個々のコンディションにもバラツキがある状態だ。
開始5分間こそ中盤での攻防が続いていたが、徐々に日本がボールをキープ。徳永と田中達也のワンツーから前線に上がった闘莉王がシュートを放つなど、組織的に連動した攻撃パターンが見られた。注目の大型ストライカー・平山も強さと高さを備えた韓国DFと互角の勝負を演じ、決定的なヘディングシュート、いい動き出しからの突破をしばしば披露した。ハツラツとしていたのは攻撃陣だけではなかった。守備陣と今野ら中盤も体を張ってボールを奪いに行き、素早い切り替えで攻撃に参加した。その戦術浸透度、組織としてのまとまりは、非常に高いレベルだった。
押され気味の韓国だったが、前半30分過ぎあたりから、ようやく持ち味のサイド攻撃を繰り出しはじめる。右サイドのチェ・ウォングォンからのクロスを受けたチェ・ソングッが左サイドを強引にえぐる。最大のビッグチャンスは44分、茂庭と1対1になった場面。コンディションの上がりきらない茂庭は、やや不安定な守りを見せるが、何とかチェ・ソングッを防ぎ、前半を0-0で終えた。
攻勢のゲームだけに、何とかフィニッシュを決めたい山本監督は、山瀬と茂庭を下げ、切り札として松井と石川を投入。後半に勝負を賭けた。韓国のキム・ホゴン監督も動きの悪いエースストライカー、チョン・ジョグクに代え、昨年5月の日韓戦(A代表)でゴールを挙げているチェ・ジェジンを投入。1点を奪いに来た。
采配が的中したのは日本だった。開始早々に松井からボールを受けた鈴木啓太がフリーでシュート。この攻撃が呼び水になったのか、田中達也が10分の間に3度もワク内に強烈シュートを放ち、日本は押せ押せムードになった。迎えた11分、ついに先制ゴールを奪う。中盤でボールを受けた松井からペナルティエリア内の走っていた田中達也へ絶妙のスルーパスが渡り、田中達は小気味いいドリブルから左足シュート。これが相手GKに弾かれ、こぼれたところに松井が飛び込んだのだ。ゴールの瞬間、青く染まったスタンドが歓喜に揺れた。
いくら調整試合でも、韓国にとって日本は絶対に負けてはいけない相手。ここから彼らは怒涛の攻撃を見せる。韓国のお家芸ともいえるロングボールとサイドを使った攻撃で、日本は一気に押し込まれた。20分には、パク・ヨンホのFKを鈴木啓太がバックヘッドでクリアしようとしたが、林との連携ミスであわやオウンゴールという大ピンチもあった。が、最終予選に向け「闘う集団」に変貌した日本は失点を許さない。最後まで粘りに粘って、試合のリズムを再び引き寄せた。
そして36分には、松井がインターセプトしたボールが田中達也〜石川と渡り、いいタイミングでクロスが入った。これを受けた平山が巧みなトラップでマークをかわし、背後にいた森崎浩司にボールをつないだ。森崎は「狙い通りだった」というシュートを豪快に叩き込み、とうとう日本は2点目を奪った。
終盤、韓国はチェ・ソングッがドリブルで闘莉王をかわしてゴール前へ突進。ゴールを狙ったが、徳永のスライディングタックルに遭い、ラストチャンスはついえた。
結局、日本は2-0で完勝。このところ日本は韓国と戦うたびに苦い思いを味わい続けてきたが、これだけの爽快な勝利は久しぶり。ちょうど4年半前の99年9月、シドニー五輪代表が東京・国立競技場で宿敵・韓国を4-1で下した試合以来かもしれない。
ユース組ら新戦力が合流してわずか1ヶ月にもかかわらず、チームは大きくスケールアップした。戦術理解度、チーム完成度も確実に高まっている。さらに厳しい生存競争の結果、選手個々が「闘う姿勢」を出せるようになってきた。力を蓄えてUAEに向かう山本ジャパン。1週間後の最終予選が本当に楽しみになってきた。
2004.2.22 Reported by 元川悦子
以上
J’s GOALニュース
一覧へ【U23日本代表−U23韓国代表戦レポート】宿敵を切り裂いた田中達也、値千金の得点を奪った松井、森崎。「闘う集団」と化した山本ジャパン(04.02.22)













