8月14日（土）J1-2nd 1節 鹿島 vs 柏（18:30KICK OFF/カシマ）
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例えてみれば、夏休みが終わり2学期が始まる直前の気分か。宿題も終えた。楽しいこともたくさんあった。さあ現実にもどらなきゃ、という感じなのだろう。久々の公式戦の前に選手たちはどことなく楽しそうなのだ。

14日カシマスタジアムにて行われるのはファーストステージ5位に終わった鹿島アントラーズ対同15位の柏レイソルの一戦。それぞれチーム状況は違うが、どちらも背水の陣。某局のサッカー番組のコピーではないが2004年のセカンドステージの初戦、「絶対に負けられない戦い」なのである。

どちらもこのオフの間、チームを建て直すべく行動に出た。ホーム鹿島は、ファーストステージ通算18得点と明らかな攻撃力不足を露呈し、勝ち点24の5位に終わった。その反省から、セカンドステージに向けてフォワード陣を徹底補強。2シーズンぶりチーム復帰の鈴木隆行と、C大阪時代の活躍の記憶もいまだ色あせないバロンを甲府から補強した。また、柏レイソルは降格も目前の15位に終わり、池谷友良監督から早野宏監督へと交代。若手主体のチームにどれくらいのスピードで熱い早野イズムが定着するか、が見ものだ。

鹿島アントラーズは8月12日、小笠原のサイン会をクラブハウスにて行った。600人ものサポーターがつめかけ、朝4時半に並んでも整理券配布にぎりぎり間に合った、というほどの盛況だった。その余波もあり、大勢のギャラリーが見守る中で行われた練習試合鹿島対青山学院（3-1で鹿島勝利）。ここで鹿島イレブンには早くも変化が見られた。中田、小笠原、本山、鈴木、ら代表組を中心に主力選手で戦った前半。そして、今後期待の若手、深井、増田、岩政ら、で戦った後半。どちらにも共通して見られたのが徹底したディフェンスラインの押上げだ。トニーニョ・セレーゾ監督は「ボランチの前のあいたスペースを埋めたいし、全体をコンパクトにしたい」とその意図を話す。特に柏対策としての戦術ではなく、セカンドステージの方針の一つでもあるようだ。

代表組を多く擁し、自分達のサッカー観に自信を持ち、それぞれがはっきりと自分の意見を言える選手が多い鹿島。ファーストステージは試合後にも選手同士が口論に近いやり取りをしながらロッカーから引き上げてくるシーンもみられたものだ。しかし、この日のセカンドステージ前、最後の実戦形式となったこの日の練習試合後、選手たちはこの方針に納得の様子だった。「コンパクトに保つことで前にボールが収まる」と鹿島の砦、DF大岩剛はいう。そして、「隆行（鈴木）も入ってそこにボールも収まるし、本山のスピードも生きてくる。」とも言う。チームの要MF小笠原も「自分にとってはとてもやりやすくていい」と口にする。右サイドバック名良橋も「コンパクトに保つからこそ有効なカウンター攻撃もできる」と
ファーストステージの18得点というリーグワースト5位の得点力不足が解消される期待感を持たせる発言が相次いだ。その得点について「フィニッシュが足りないことを言いだしたららきりがない。決定機を作ることが大切」と小笠原がいえば、「得点力不足はフォワードのせいじゃなく、チーム全体の責任」とDF新井場。新加入の鈴木、バロンの力を最大限に活かせる攻撃、それこそがこの日見せたディフェンスラインの押し上げの徹底なのだ。

一方柏も、リニューアルの真っ最中だ。ファーストステージ開始前にはブラジル代表ドゥドゥ、元日本代表FW山下も獲得。明神、波戸ら元代表組に加え、飛び級で代表参加もした永田ら戦力的には不足なしかと思われたが終わってみれば15位。来年からJ１は18チームに増加。今年は16位のみがJ2の3位との入れ替え戦を行うという、異例の年ではあるが、早めにチーム状況を立て直したところ。そのチーム再建後2試合目の公式戦となる明日の試合。くしくも、早野采配1試合目と同じ、0-0で分けている鹿島とのゲームになった。

幸いなのはアジア杯3得点と好調のFW玉田の存在か。昨年12月の天皇杯、対鹿島戦で1得点以来の得点でアウェーのスタジアムをうならせたい。逆に、守護神南を出場停止で欠くことは不安要素の一つだ。5年目のGK清水の肩にかかるものは小さくない。

どちらのチームもこのオフの努力が報われるかどうか、この一戦で占われるものは大きい。長いセカンドステージ、最初の一歩を順調に踏み出すチームはどちらか？順位以上に熱い戦いなりそうだ。

以上

2004.08.13 Reported by 了戒美子