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【アテネ五輪U-23代表 日本vsパラグアイ レポート】世界大会の怖さを知った一戦。経験豊かなオーバーエイジが引っ張るも惜敗(04.08.14)

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8月12日(水)20:30(日本時間12日26:30)キックオフ/テッサロニキ カフタジョグリオ競技場
アテネ五輪 グループリーグBグループ第1戦
日本 3 - 4 パラグアイ
得点者:
5分 ヒメネス(パラグアイ)
22分 小野伸二(日本)
26分 カルドソ(パラグアイ)
37分 カルドソ(パラグアイ)
53分 小野伸二(日本)
62分 トーレス(パラグアイ)
81分 大久保嘉人(日本)
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「オーバーエイジとしてプレーでチームを引っ張っていきたい」試合前日にそう小野選手は言っていた。その言葉どうり、彼はプレーでチームを鼓舞し続けた。連続失点で浮き足立っているチームが彼のプレーで何度となく息を吹き返したが、最後まで1点差を追いかける形となり、3-4で惜しくも勝ち点を逃すこととなった。

ギリシャ第二の都市テッサロニキで行われたパラグアイ戦には、観戦ツアーバスがおよそ10台つめかけた。その他個人でギリシャ入りしたサポーターも含めると、試合前のスタジアムはここがギリシャだということを忘れてしまうくらい、日本のサポーターで盛り上がりを見せていた。

スタジアム内に響き渡る「日本コール」の下、現地時間12日午後8時30分、キックオフの笛が鳴り響いた。

スタメンはGK曽ヶ端、DF那須・闘莉王・茂庭、ボランチに阿部・今野、サイドは右に徳永・左に森崎。トップ下に小野をおき、高松と大久保の2トップ。開始早々前半2分に左サイドの森崎選手がマイナスに折り返すと、そのボールを小野選手がスルーさせ、それを阿部選手がミドルシュート。惜しくもシュートは外れたが、幸先のいいスタートであった。

しかし、その直後前半4分に、那須選手のクリアーミスからヒメネスに落ち着いてゴールを決められ、先制点を許してしまう。いつもの那須選手らしくない失点に、彼自身も頭を抱えてゴール前に立ち尽くす。

「ピッチが硬くて滑った」と大久保選手がいうように、試合中何度も足を滑らせてボールを失う場面が見られ、ゴール前の絶好のチャンスもなかなか生かすことが出来ない。反対に失点で浮き足立ったDFの連携ミスが目立つようになり、攻め込まれるようになる。

そのいやな流れを打ち切ったのが、小野伸二選手であった。ペナルティエリア内で高松選手が倒されてPKを得ると、それを落ち着いて決め、試合を振り出しに戻す。シュートが決まった瞬間、那須選手が拳で胸をトントンとたたき、小野選手にその拳を向けた。「もう大丈夫だ」といいたかったのだろうか…。チームが息を吹き返す。立ち上がりの硬さが取れ始めたのか、ボールが次第に回り始めた。

しかし、その流れもつかの間、その後、前半24分には同じようにPKを決められ1-2。そして前半36分には、スタジアムのライトが目に入ったのか、那須選手がボールを失い、そのままゴールを決められ1-3で前半を終了した。

前日鼻声だった那須選手。体調不良のせいだろうか、彼らしさを出すことなく後半松井選手と交代となった。

後半は小野選手をボランチに下げ、低い位置からゲームを組み立てる。それが功を奏したのか、ボールが回るようになり、人も動くようになる。そして後半7分。またもめぐってきたPKのチャンスを小野選手がしっかりときめ、1点差に詰め寄った。連続でPKを決めることは容易ではない。小野選手が点を決めれば、曽ヶ端選手がファインセーブでゴールを死守する。ここぞという場面で頼れる2人の存在。オーバーエイジとしての役目をしっかり果たしチームを引っ張る。

しかし射程圏内に相手を捕らえたかと思えば、後半16分に追加点を許し2-4で引き離されてしまう。決してパラグアイに押されっぱなしというわけではない、日本がリズムに乗り切れないのだ。

その後田中・平山選手が投入され、大久保選手と3トップ体制に変更。試合終盤には闘莉王選手が前線に張り、代わりに今野・阿部・茂庭選手がゴールを死守する。とにかくゴール前にボールを集めて、闘莉王・平山選手の高さで勝負し、そのこぼれ玉を大久保・田中選手が狙う。その狙いどおり、後半40分には小野選手のCKを闘莉王選手がヘッドで押し込むが、わずかにクロスバー上にはずれる。そしてロスタイムにはGKがこぼしたボールに大久保選手が飛び込みゴールか?!とスタジアムは総立ちになったが、ボールはGKの腕の中にしっかり握られていた。

ロスタイムに怒涛の攻撃を見せた日本だったが、試合終了のホイッスルが空しくスタジアムに鳴り響き、3-4でオリンピック初戦を終了した。

ドイツ入りしてから順調にコンディションを調整し、精神的・肉体的にも満足のいく形で初戦を迎えたはずのU-23日本代表だが、動きは精彩を欠いていた。「世界大会の怖さを感じた」試合後、那須選手が口にした言葉が今日の試合を物語るものであった。オリンピックという世界最大のスポーツの祭典。試合前の選手は「少し緊張はあるが、気持ちも高ぶって早く試合がやりたい」と答えるほど、リラックスした部分があったにも関わらず、本番を迎えた彼らのプレーは明らかにいつもと違い浮き足立っていた。特にキャプテンとしてチームを引っ張っていかなくてはならない那須選手はなおさらだっただろう。

しかし、「この逆境を乗り越えればまた強くなれる」と那須選手は下を向いてはいなかった。

まだまだオリンピックは始まったばかり、試合はこの後も続く。

「下を向いていてもしょうがない」(大久保選手)

以上

2004.08.13 Reported by 柴田愛子
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