8月14日(土)18:00(日本時間14日24:00)キックオフ/アテネ カライスカキ競技場
アテネ五輪 グループリーグEグループ第2戦
日本 0 - 1 ナイジェリア
■得点者:
55分 オコロ(ナイジェリア)
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8月14日土曜日、時間は午後4時半頃…キックオフまであと一時間半。ちょうど選手を乗せたバスがスタジアムに入ってくる。道路沿いに立っていると窓から数名の選手がこちらを見つけ大きく手を振って笑顔をみせた。「今日も頑張って!」という気持ちでバスを見送った。
キックオフ時間はスウェーデン戦と同じく午後6時。大きく違ったのはその日差しの強さ。何もしていなくても汗が体中から吹き出て流れ落ち、手を振るとしぶきをあげるほど。アテネの日中の暑さ…これを体感して少し驚いた。前回スウェーデンとの試合が行われたヴォロス、男子のパラグアイ戦が行われたテッサロニキでは、いずれもここまでの暑はなかった。前日に行われた日中の練習のときよりその暑さは厳しいものだった。「アテネの暑さって…。このことか」と実感する。
アテネの中心部から南西の海岸沿いにあるカライスカキスタジアム、近くにはバレーボールとビーチバレー、テコンドーの会場もあり、これまで日本チームが試合を行ってきた場所とは少し雰囲気が異なり、よりオリンピックムードが漂っている。その試合会場には早くからこの日も続々とレプリカユニフォームを着た日本サポーターが駆けつける。その中には高校時代、上田監督とツートップを組んでいたという先輩の余田亮一さんも駆けつけ大きな声援を送る。余田さんを見つけた上田監督も駆け寄り笑顔で会話を交わし、試合前、厳しい表情の監督の顔もこのときばかりは一瞬ほころんだ。
試合開始の午後6時。これまでなら涼しくなっていた時間帯のはず…にもかかわらず、日ざしは容赦なく選手たちの立つピッチを照らしている。暑い…いや、暑すぎる。
試合は立ち上がりからナイジェリアが日本ゴールに向かって果敢に攻め込み、そのスピードと身体能力の高さを随所に見せ付ける。「そのスピードに慣れるまで時間がかかった。ペースがつかめずにいた」と磯崎選手は振り返る。特に日本が警戒をしていた10番のアキデ選手の高さとその体の大きさは群を抜いている。そして日本の得意な攻撃パターン、右サイドバックの川上選手が上がって攻撃参加というシーンがなかなか見られない。それだけ最終ラインで守備をする時間が続いていた。
そして日本が少しペースを握り始めた時間帯の前半18分ごろ、この試合を大きく左右する出来事が起こった。攻守の要、宮本選手がピッチに倒れこんだ。相手のスパイクがあたり、右のひざ上からももの周辺が切れてしまい、プレー続行不可能となり担架で運ばれてしまう(実際には切れてえぐれていた。8針縫い麻酔と痛み止めをうち、松葉杖で歩く)。急遽、柳田選手がその位置に入ることとなる。
0-0で折り返した後半、立ち上がりからは日本が幾度も攻撃を仕掛け、ペースを握り始める。しかし、反撃に出るときのナイジェリアのスピードは何度も日本のゴール前をおびやかす。そして後半10分…先制点はナイジェリアのオコロ選手によって奪われた。なでしこジャパンは先制されても冷静に、集中を切らすことなく戦い続ける。しかし無常にも試合終了のホイッスルがなってしまう。喜びでピッチに顔をうずめるナイジェリアの選手たち、一方がっくりとピッチに座り込むなでしこジャパン。
「身体能力の高さはすごかった」「何をしてくるかわからなかった」と選手たちは、実際に想像していた以上のアフリカのチームの持つ力を「体感」した。しかし、昨年のワールドカップで体感した対戦相手の大きさ、強さなど、その「体感」からすべてが始まって今の彼女たちの強さがある。大きな「勝ち点3」を逃しはしたが、今後に向けては大きな収穫としたいところ。
試合後「喝を入れられたと思って…」と澤選手が話した。この人のゴールが決勝トーナメント、「ここぞ」という時に見られることを信じている。そして「これがオリンピックかもしれない」と荒川選手。ほとんどの選手が初めてオリンピックを経験しているなでしこジャパン。これから彼女たちはどんなアテネオリンピックの道を歩んでいくのだろう。最後になでしこの胸にメダルが輝くのか!期待していたい。
2004年8月14日、グループリーグ突破、決勝トーナメント進出を決めた「なでしこジャパン」日本女子サッカー史にまた新たな歴史が刻まれた。
以上
2004.08.15 Reported by 日々野真理
<情報>
これで日本がグループリーグを通過、ベスト8進出が決まった。あとはグループリーグ何位になるか、17日に行われるスウェーデンvsナイジェリアの結果を待つことになった。日本が1位になれる唯一のパターンは、「1:スウェーデンvsナイジェリアで1-0でスウェーデンが勝ち、2:なおかつスウェーデンの選手にイエローカードが出ること」だ。スウェーデンがナイジェリアに1-0で勝利すると、3チームが勝ち点3でならび、得失点差も同じとなる。その場合、決めるのはイエローカードの数。一枚も警告を受けていない日本にはフェアプレーポイントというものが加算されることになりグループリーグ1位となる。
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