【ボロス(ギリシャ)16日時事】16日、アテネ五輪のサッカー男子で日本があえなく散った。欧州王者イタリアにいきなり前半3分と8分にゴールを割られた。必死の反撃もかなわず、2−3で、試合終了を告げる笛を聞いた。前回シドニー五輪では達成した8強への道は閉ざされ、小野伸二選手(24)=オランダ・フェイエノールト=がずっと抱いてきた特別な思いもはかなく消えた。
シドニー五輪は負傷で棒に振った。コーチを務めていた山本昌邦現監督から電話で補欠参加を要請されたが、当時の所属チーム浦和レッズで再起を目指すため断った。電話を切ってから声を上げて泣いた。
そして4年後。1チーム3人まで認められるオーバーエージ(24歳以上)枠での参加。アジア予選を戦った後輩たちの枠を削ることに、優しい一面を持つ小野選手には迷いもあった。しかし、与えられたチャンスを生かして、期待に応えようと決断。試合のビデオをすべてチェックし、年下の選手たちに溶け込む努力を重ねた。
だが結果は、世界との差を痛感させられるものとなった。試合中は、やり場のない怒りの矛先を審判にぶつける場面もあった。「そんな時間があったら、もっと仕事をすれば良かった。この結果は悔しいし、申し訳ない。最後は勝って終わりたい」。1次リーグ最終戦のガーナ戦に向けて、前向きに振る舞う配慮が痛々しかった。(了)
[時事通信社]













