パラグアイ戦の悪夢がよみがえる開始直後の失点。だが、ミスが絡んだ初戦とはものが違った。クロスの速さ。点と点で合わせる精度。ペナルティーエリア内の動きと決定力。素直に受け入れるしかない、世界との差が、そこにはあった。
十分なほど警戒していた。イタリアのサイド攻撃に対処するため、開始から4バックの布陣。それを簡単に突き破られた。1対1に強いとされる茂庭が、セリエA昨季23得点のジラルディノに軽くかわされて2点目を許したように、個人の力量差も明確だった。山本監督は、「1、2戦を通じ、相手が有効に動けた時間帯の部分、そしてエリア内でのプレーの質に差があった」と振り返る。
ただ、疑問に思える点もある。4−3−3の布陣は、5月末のトルコ選抜戦の試合途中で試し、バランスよく機能していたものではあるが、以降の試合はもちろん、練習でも一切採用されることはなかった。負けが許されない追い詰められた状況で、果たしてどれだけ即効性があったのか。
前回のシドニーは8強進出。結果の上では後退となる。もちろん、無抵抗だったわけではない。シュート数では相手を上回ったし、後半ロスタイムの得点に象徴されるように、最後まで戦う姿勢を見せ続けた。「ここに来なければ経験できなかったものがある。それをこれからの成長につなげてくれれば」と指揮官は期待する。
かつて「谷間の世代」と呼ばれた若き日本のメダルを目指した挑戦は終わった。だが、本当の戦いは、これから始まる。「2年後のW杯のピッチに選手が立ってくれることを楽しみにしている。そしてその先も」(同監督)。ガーナとの最終戦で、新たな挑戦が幕を開ける。(ボロス時事)
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