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○J1参入決定戦1回戦
1998年11月19日(木)@博多球
アビスパ福岡 3-2(延長) 川崎フロンターレ
得点者【福】久藤、山下、フェルナンド【川】伊藤、トゥット
ダイジェスト映像
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浦上壮史(川崎F:GK)インタビュー:
■一番インパクトのある試合
98年の参入戦は、俺の中で一番インパクトのある試合だったから鮮明に覚えている。ただ、当日の試合以外の部分はあまり覚えてないですね。試合のインパクトが強いですから、その時どう過ごしたのか、とかはあまり覚えてないです。
あのときはなんていうんだろう。グラウンドに行くまでにも苦しかったし「あー、超アウェイだ、なんだこれ」というような感じですね。俺達の時は一発勝負だったというのもあったし、俺は代表には入ったことはないけど、代表の選手とかはこんな緊張感の中でやってるんだろうな、と思いながらやりましたね。
JFLを戦ってきて、何試合か前に2位以内を確定していた。参入戦(当時は参入決定戦という名称だった)はある程度前に決まっていたので「よっしゃ、これでJ1の切符が近づいたぞ」という感じにはなりましたね。自分たち、そのシーズンそれなりにいい戦いができていてチームもまとまっていた。福岡とやっても絶対勝てるって思っていた。実際に勢いもあったし、最後の方までリードしていた。だけど、だけど、なんか足りないものがあってね…。
■参入決定戦での異様な雰囲気
試合の雰囲気はもう、異様ですね。やっぱり…、でもね…、異様。本当に独特の雰囲気でした。優勝をかけた試合の雰囲気とはまた違って、うちら(川崎F)が昇格を決めた時とかとは全然違ってて、負けられないという雰囲気がすごかった。だから普段取りに来ないようなところからボールを取りに来るし、本当に異様な雰囲気が選手にプレッシャーをかけていました。お前そんなところからボール取りに来ないだろう、というところからでもGKにもぶつかってくるしね。
俺の中でインパクトがある試合はセレッソが優勝をかけてた(2000年の1stステージ最終節の)4万人入った試合と、山形が勝てば昇格というアウェイの(2001年のJ2最終節)試合くらいなんだけど、それよりも参入決定戦の福岡とやった時のインパクトは全く違っていた。参入戦は9分9厘勝っていた試合で、自分たちのミスで負けちゃった。同点にされて一気にやられた。みんな頭の中では「まだ延長が残っているから」と思っていたんだけど、放心状態でサッカーをやっているのがわかった。自分もとりあえずゴール割らせないようにって頭では思ってても、半分パニックに陥っているし、みんなは目がうつろになりながらやっていたのがすごい印象に残っています。
■ロスタイム、痛恨の失点
あの瞬間の事(後半ロスタイムの同点ゴール)は覚えてますね。今思えば別になんて事のないプレーだったんですよね。時間を考えれば(中西)哲生がクリアしてれば問題ないし、俺が後ろから「来てるぞ!」って声をかければクリアしてたかもしれない。例えば俺が「OK!OK!」って声をかけて間合いを詰めていれば問題なかった。とにかく何でもできる状況だった。普通の状況だったらなんて事はない場面なんですよ、練習とか普通のリーグ戦とかだとね。だけどあのロスタイムの中で緊迫した中ではお互いに声も聞こえないし、俺も中途半端に出て行って、というのもあったし。哲は哲で胸で返そうというのがあったんだろうし。丁寧に、丁寧に、ミスしちゃいけないと意識してしまって、普段何気なくできていることができなくなっちゃう。普段どうりの事ができない状況になった。
時間を考えれば大きくクリアしてればよかった。そうすればあと1プレー、2プレーで終わる場面だった。でもそういうのを判断できない状況だった。時間が長く感じると思ったから絶対に後ろの時計(川崎Fは後ろに電光掲示板を背負う形で後半を戦っていた)を見なかったし、だからロスタイムが何分かわからなかった。そういう状況の中で失点してしまった。
失点の瞬間は「神様はなんでこんな運命のイタズラをするんだろうか? えっ、なんで?」というのがありましたね。「おい、俺なんか悪い事したかよ?なんでこんな目にあわなければならないんだよ?」って。哲とは2年くらいずっとやってて、連携的なものは普通にやってきたのになんでここでこんな風にお互いになっちゃうんだろうか、という、、で頭を抱えたのは覚えてます。
勝てるチャンスはあった。点を取っていればというのはあったし、俺なんかも1失点目はパンチングで逃げておけば、という場面もあった。まあ、後から見れば、そう思うって事なんだけど。だからサッカーはおもしろいんですよ。ああいうドラマみたいな、予想できないことが起きる。だからおもしろい。
■ギリギリの緊張感と強い気持ち
終わって「あー」ってなったけど、ああいう雰囲気の中でもう一回やってみたいな、という気持ちになった。福岡の選手に聞いたら「二度とやりたくないよ!」って言っていましたが(笑)。「あんなのやだよ。二度とやりたくない」と言ってたんだけど、俺はあのギリギリの緊張感というか、取るか取られるか、という緊張感はなかなか味わえないから、やれるんだったらもう一回やりたいな、と思いました。
ああいった試合があったから、その後のセレッソが優勝をかけた試合とか、山形が昇格を決めようかという試合とか別にプレッシャーをあまり感じてなくて、楽しめた。「よっしゃ!よっしゃ!(やってやる)」というのがあった。あの経験が俺にとってはすごくいい経験でしたね。
だからこの前のセレッソとレイソルの最終節の試合を見てても、すごい気持ちが伝わってきたし、落ちたくないという気持ちがわかった。そういうのは見ていておもしろいし、そういう必死さが伝わる。福岡にしてみれば上がりたいという気持ちで来ますよね。リーグ戦でも福岡は山形を3−1で下しているし、ああいうのを見ていても「こいつらすごい気持ち入っているな」と思った。だからそういう部分では絶対におもしろくなると思う。
気持ちの強い方が勝つと思うけど、最後まで本当に自分たちの力を信じてやる、サッカーは何が起きるかわからないから、自分達がやってきたことを信じて最後までやるって事と、普段通りにできるように、ということですね。
■2004 J1・J2入れ替え戦について
今回の入れ替え戦も、たぶんすごい緊張感の中でやることになると思うから。ああいう緊張感ってのはなかなか味わえないですからね。俺はあの緊張感を楽しめる、くらいの気持ちでやれたらいいんじゃないかなと思いますね。
なんとも言えないですが、福岡は8連勝で調子上がってきてる。レイソルはほぼ残留をつかんでいたのにだめだった。だからそういう部分では福岡の方が勢いがあるのかなと思いますけどね。1戦目が博多の森なんで、これを勝ったら勢いで行っちゃうかなと思いますけど、ただ、やり直しがきく、負けても次があるという意味では余裕が持てますよね。2戦目はすごいことになると思いますね。
失うものが大きい試合はやっぱりおもしろい。サントリーチャンピオンシップは負けても準優勝。入れ替え戦は負けた方がJ2に落ちる。だから本当にチーム一丸になっていると思う。
どんな結果になってもこの試合を経験する事で成長するんじゃないですか。長い目で見れば、チームにとってはすごい大きな経験になると思います。サッカーの怖さもわかると思う。まあ、前半で3−0とか4−0とかになったらわからないけど、たぶんそんなにはならないと思うんだよね。柏が格上だから、という事で攻めまくることはないと思う。J1のプライドとか、そういうのはないと思う。言ってられないから。ある意味サントリーチャンピオンシップよりも強い緊張感でやってくると思う。今度の入れ替え戦は、チャンピオンシップよりは、個人的には注目しているし、楽しみにしてます。当事者の選手には申し訳ないんですが、J1とJ2とでは全然違う。選手自身も年俸にしても変わってくるし、言い方は大げさかもしれないですが、天国と地獄みたいな感じですよね。
1998年の参入決定戦での福岡との試合後、多くの回りの人達が「あの試合はおもしろかった」って言ってくれた。(木村)和司さんとかシゲ(松永成立)さんとか、ケンタさん(長谷川健太)とかも。「おもしろかったじゃないですよ、俺たちかなり凹んでたんですから」って言いましたけど(笑)。でも「あれはサッカーの醍醐味を見せてくれたよ。味合わせてくれたよ」って言ってもらえた。和司さんなんかはずっとサッカーを見てきてて、そういう人から言われたのはうれしかった。
入れ替え戦は行けるんだったら生で見た方がいいですね。あの雰囲気は味わって損はないと思う。もちろん、自分が応援するチームが優勝する場面を見たいんだろうけど、違った意味でチームに対して愛着を感じられると思いますよ。
以上
2004.12.2 聞き手:江藤高志
2004J1・J2入れ替え戦-Jリーグ公式戦初!NET LIVE中継特設コーナー-
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一覧へ【2004J1・J2入れ替え戦】98年のJ1参入決定戦を振り返る。〜浦上壮史(川崎F)インタビュー〜(04.12.02)















