大本命と言われた広島ユースが破れ、鹿島ユースの6年ぶり2回目の優勝でJユースカップは幕を閉じた。大会前、「油断さえしなければ勝てると思います」そう漏らした広島の選手もいた。3冠3冠と騒ぎ立てる周囲がプレッシャーになったのか、それとも小さな気のゆるみなのか?「慢心です。」広島のスタッフは言った。しかし、「3年間がおわっちゃったなって感じです」。スタジアムをあとにする直前、ぽつりとつぶやいた高柳のひとことに、3年生は3年間の全てをかけてこの大会に臨んでいたのだと改めて気付かされる。高校生に高校選手権があるように、クラブユースの選手にはJユースカップがある。今後この大会の知名度が上がることを望まずにはいられない。
今回は決勝戦で大活躍の鹿島GK杉原一貴と、広島前田俊介を紹介したい。堅守の光った鹿島を後ろから支え続けた守護神とそんな鹿島ディフェンスに阻まれ思ったような活躍はままならなかった点取り屋。この試合の結果は明暗分かれてしまったが、春からは共に新しい道を歩き出す。その道には明るい光がさしているはずだ。
【鹿島アントラーズユース:杉原一貴 GK1986年6月30日生まれ18歳】
決勝戦でなんと3本のPKを止めたヒーローもわずか2週間前の決勝トーナメント1回戦ではベンチをあたためていた。予選リーグ6試合も、アウェイの大宮戦1試合出場に止まる辛酸をなめていた。その間1年生GK菅谷が先発を続け、悔しい思いをした。「一度レギュラーを奪われて、もうミスは出来ないと思って自分で自分にプレッシャーをかけてしまった」という、2回戦柏戦、準決勝浦和戦では堅くなった。「今日はハラを決めていました」。彼なくしてはこの優勝はあり得なかった。後藤、野本のセンターバックと共に広島の前田、木原、平繁を封じ込めた。「どんどんくるって分かっていたので、いつも通り、ひとりがボールを持っている選手に行き、一人があまるということを徹底しました」といつもの戦いであったことを強調する。
鹿島ユースに入ることはサッカー少年の憧れである高校選手権への未練をたちきることだった。「キーパーとして高いレベルで出来るのはどちらか考えました」。鹿島に入り、「曽ヶ端さん、小沢さんという人たちを練習中に間近で見れた」。大きな大きな収穫だ。決勝戦、止めた3本のPKは「ぜーんぶしてやったりです。自分で言うのもなんだけど」と、はにかみながら振り返る。的確な分析は今時らしく、「シュート態勢に入ってからの蹴ってくるまでの間合い、助走の歩数、目の動きを見ました」。緊張はするタチだが、今日は冷静だった。「3本目は、これ止めたらヒーローだって考えました(笑)。味方が全員決めてたっていう余裕があったからですけどね」。周りに感謝することも忘れない、頼もしきヒーローだ。卒業後は大学へ進学。しかしながら、「進学だけど、彼の動きはチームで追っていきます」と、チーム関係者も明かす。4年後、赤いユニフォームに身を包む彼に再び会えるかもしれない。
【サンフレッチェ広島FCユース:前田俊介 FW1986年6月9日生まれ18歳】
U-19日本代表が参戦したアジアユースの直前合宿に呼ばれながら、落選。アジアユースと同時期に『裏』で行われた高円宮杯で9ゴールを挙げ得点王となり、一躍注目を集めるようになった。この間の成長は著しく「中を固めても突破してくるし、固めなきゃ固めないで来るし」と対戦したディフェンダーを嘆かせる。89分何もしなくても残り1分、必ず何かしてくれそうな風格さえただよわせる。それだけ今大会彼へのマークもきつく予選リーグ、決勝トーナメント14試合で3得点にとどまった。「点を入れられず、フォワードとして悔しい」試合後まず、発した言葉だ。「マークのきつさは分かってた。それでも決められるようにならないと」。と、出せなかった結果にただただ反省の言葉が続く。PK突入が決まっても動じなかった。「行けると思ってたし、練習ではみんな入ってたんですけどね」。「広島は環境がよかったから」と、それまで過ごした奈良を離れ広島で高校3年間を過ごした。「ユースの練習は激しかった」ので自然に成長することができた。
「ライバルはみんなです。決めるべき時に決められ、味方が点を取ってほしい時にとれるフォワードになりたい」。天性のフォワードを思わせる強気な発言や態度は決してひとりよがりではない。「今日は、みんなに申し訳ない。チームのみんなや、(試合に)出ていないみんな、応援にもたくさん来てもらっていたし」と悔しさをにじませた。卒業後はトップ昇格が決まっている。年明けそうそうにはU-19日本代表としてカタール遠征が待っている。「トップチームの参加の前にはテストとかあるので。出席が、、、」。稀代のフォワードもまだ高校3年生。ひとまずは無事に卒業することが課題になる。
以上
2004.12.27 Reported by 了戒美子
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