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【第83回全国高校サッカー選手権大会 3回戦 星稜 vs 那覇西 他レポート】「2人のエース」(05.01.03)

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第83回全国高校サッカー選手権大会 3回戦
2005年1月3日
星稜 1 - 0 那覇西
得点者:7分大畑(星陵)
国見 0(5 PK 4)0 藤枝東
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 各会場で注目ベスト8をかけた3回戦。優勝候補の星稜(石川)、国見(長崎)、藤枝東(静岡)が登場する駒場スタジアムは8,000人以上の観衆が詰めかけ、勝負の行方を見守った。
 
 今大会屈指の司令塔、星稜本田圭祐(3年)と、隠れたエース、抜群のテクニックを持つ那覇西(沖縄)、比嘉啓太(3年)。ともに10番を背負い、左腕にはキャプテンの印が巻かれている。第一試合は、絶対的なエースがいる星稜と那覇西の対戦。
 
 序盤は、前評判どおり星稜がやや押し気味に試合を進めた。トップ下の本田を中心にFW綿谷諒(2年)やMF出村健次(2年)が前線をかきまわし、那覇西陣内を脅かしていく。その勢いのまま、前半7分、左サイドでのFK。河崎護督が「ゴール前で混戦になってよく分からなかった」という間に、こぼれ球をMF田宮裕之(3年)がドリブルから柔らかいクロスをあげ、飛び込んできたMF大畑将徹(2年)がヘディングシュート。「見事なゴールじゃないです。泥臭い1点だけど、1点は1点なのでうれしい」と笑顔で振り返った。
 
 星稜ペースで動き出した試合だったが、その後は那覇西の2トップ比嘉啓太と宮城昭浩(2年)とMF比嘉雄作(2年)の3人がトライアングルを形成し、それぞれが高いテクニックを見せながら星稜守備陣に穴を開けていく。星稜はこの3人を警戒していたが「攻撃陣がよくてDFがついていけなかった」(河崎監督)とその攻撃力を認めつつも、きっちりと対応策を練っていた。「(比嘉啓太、比嘉雄作、宮城の)3人を前に向かせないようにコンパクトにした」と河崎監督。シュート数こそ那覇西の7本の倍近い13本を放つも、中盤から先へはなかなか侵入できずに、後半戦へ。
 
 後半も流れは変わらず、まさに息を呑むほどの一進一退の攻防戦が繰り広げられた。星稜は「なかなか思うように行かなかった」(河崎監督)と那覇西の浅いフラットなDFラインに手こずり突破口を見出せずにいたが、後半開始に投入されたFW三木卓哉がターゲットとして前線で体を張り、1年生ながらも左サイドを「よく切り崩した」(河崎監督)塩原拓真がチャンスを作る。その2人に隠れながらも「本田がよく利いてたね」と河崎監督。
 
 一方の那覇西は、徐々に自分たちのペースを取り戻し途中からトップ下に入った比嘉雄作と宮城が星稜ディフェンスを翻弄しながらゴールを脅かし始めた。星稜に本田がいるなら、那覇西には比嘉啓太がいるといわんばかりに彼が起点となり、細かく速いパスワークで何度もスタジアムを沸かせた。しかし1点が遠く時間ばかりが過ぎていく。

 ロスタイムの掲示がされた頃、最大のビッグチャンスが那覇西に訪れた。「パスが来ると信じていた」(比嘉啓太)右サイドからスピードに乗ったドリブルで比嘉啓太がペナルティエリア内に進入すると、DFを振りきり切れこみながら中央へ。フリーとなった比嘉啓太はGKを1度見て、思い切りシュートを放つ。「細かくパスをつないで、本当にうまかった。決してうちが圧勝できるチームじゃない」と河崎監督は、試合後に胸を下ろした。

 自らが強引なほどに突破しかけ、果敢にゴールを狙った比嘉啓太。「自分が自分がでは手詰まりになる、チームのためを意識した」という本田。

 2人のエース対決の決着は・・・・・・。後半ロスタイム、比嘉啓太の渾身のシュートは無情にもポストに阻まれ、その直後試合終了のホイッスルが鳴った。
 
 続いて行われた第2試合は、3回戦屈指の好カード国見−藤枝東。
 
 「正直、止められるかなと思ったけど、お前ならやれるって」国見のゴールマウスを守った原田和明は、ゆっくりと口を開きながら、その心境を話した。

 0-0。スコアレスドローとなった強豪チーム同士の対戦は、無得点のままPK戦へもつれ込んでいた。それまで国見の決定的なチャンスを跳ね返していた藤枝東のGK碓井健平(2年)に分があるだろうと思っていた。5人が蹴って、互いに一人ずつを止めた原田と碓井。ゴールライン付近で線を描く藤枝東の列が崩れ、ゆっくりと6人目のキッカー井上翔太(3年)がペナルティスポットへ向けて歩き出した。
 
 国見が勝つか、藤枝東が勝つか。

 試合は、静かに始まった。これまで3バックを使用していた藤枝東は守備の安定を図り4バックを採用した。「相手が4バックでくるのは分かっていた」(小嶺忠敏総監督)と国見は、昨日ハットトリックをしたFW城後寿を中盤の高い位置に下げ、速さのある本吉伸(3年)と渡邉千真の2トップで挑んだ。

 ともに互いを警戒し分析をした上での真っ向勝負は、中盤での激しい攻防でなかなかゴールまでたどり着かない緊迫したゲーム。
 
 最初のチャンスは藤枝東。前半16分、赤星貴文がドリブルで中央突破。スペースに開いた柴田公章へスルーパスを送る。DFを振り切り絶好のチャンスを迎えたが、一瞬のスキにDFが戻り、ペナルティエリアの中で柴田が倒されたが、笛はなし。その後24分にも、ペナルティエリア右サイド付近で赤星、閨谷太希(3年)らが細かくパスをつないで、左サイドフリーで待つ鈴木崇記(3年)へ。鈴木は右足を振りぬいたが、シュートは惜しくもポストを直撃。得点には至らない。
 
 この直後の25分、国見の素早いカウンターからクロスが上がり、中央で走りこんでいた渡邉千に合わたが、左サイドへ反れていく。しかし、そこにつめていた城後が右足を振りぬきネットが揺れた。が、オフサイドの判定となり、試合は振り出しに戻った。

 後半に入ると藤枝が優勢に試合を進めていく。「相手がパスを回してきて、簡単にいかず苦しかった」と渡邉千。「(国見は)やっぱ強かったですけど、1点が取れなかったので・・・・・・。ディフェンスの人たちは頑張ってくれたし、対等に戦えていたと思います」と閨谷。王者に対しても、堂々と自分たちのサッカーを展開し、圧倒し始めた藤枝東。それでも、国見は粘り強く辛抱強く耐え、ゴールを割らせてはくれなかった。

 そして、80分が過ぎ試合はPK戦へ。
 
「負けられないプレッシャーはある」(原田)。国見にとっては、敵は藤枝東だけではなく、王者という立場も重くのしかかる。専攻の藤枝東は、1番手に赤星が出てきた。「蹴る順番は決めていた。練習もしていました」(服部康雄監督)。少し左に回りこむ形で赤星が助走を始めた。ゴール前で原田はその動きを冷静に見て、中央に構えたまま動かなかった。赤星が蹴ったのは、原田の待つ中央。原田が藤枝東の勢いを1本目で断ち切った。国見の1番手、「千真が一番はずすんだけど」と笑っていた小嶺総監督だったが、渡邉千はGKの動きを見てきっちりと右スミへ。勝負をかけた一人目で、もしかしたら勝敗はついていたのかもしれない。

 その後、4人が成功した藤枝東に対し、国見は3人目の藤田優人が止められ、またも振り出しに戻った。そして6人目。藤枝東の井上がゆっくりとペナルティスポットにボールを置く。原田はその動きをじっと見つめる。静まりかえったスタジアムで、2人が交わす駆け引き。井上は赤星と同じように真ん中へ蹴った。原田は、やはりそこに居た。

「(PK戦前の円陣で)お前ならやれるって。(PKを止めて)うれしかった」優しい笑顔で原田は、勝利を引き寄せたその瞬間を振り返った。苦しんで手にしたベスト8。連覇へ向けて王者はまた一回り大きくなった。
 
 また、駒沢陸上競技場で行われた前橋商業対仙台育英は、運動量に勝る前橋商業が3点を奪い快勝。優勝候補の鹿児島実業は北海を相手に後半1点をあげ、ベスト8へ名乗りを挙げた。

以上

2005.1.3 Reported by 青柳舞子

[ 第83回全国高校サッカー選手権大会 3回戦 試合結果]
駒場、駒沢開催分試合結果
三ツ沢、市原開催分試合結果
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