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【第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝プレビュー(2)】星稜−前橋商、多々良学園−鹿児島実業。ベスト4をかけ、激突!(05.01.05)

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第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝
2005年1月5日(水)
駒沢開催分試合スケジュール
三ツ沢開催分試合スケジュール
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 13年ぶりのベスト8進出を果たした星稜は、地区予選4試合で27得点を叩き出した攻撃型のチーム。本大会2回戦では滝川第二との点の取り合いを4-3で制し、その攻撃力は全国の舞台でも通用することを示した。注目の選手はU-20日本代表MFで名古屋への入団が決まっている本田(3年)。決定力、パス能力に才能を発揮するレフティで、今大会2回戦では2得点1アシスト、3回戦でも決勝ゴールを演出する等、その実力を余すことなく発揮している。

 3回戦では自慢の攻撃力は不発に終わったが、MF大畑(2年)の公式戦初ゴールで先制。相手のシュートがポストに当たる幸運にも恵まれて準々決勝に進んできた。一発勝負のトーナメント戦を勝ち抜くためには、実力に加えて勢いや運も不可欠。苦しみながらものにした3回戦はチームに勢いを与えることになるだろう。「どこが来ても戦う気持ちがあれば勝てる」とは本田。目標のベスト4、そして全国の頂点に向けてもとモチベーションは高い。

 対する前橋商業は15年ぶりのベスト8。突出したスタープレーヤーはいないが、全員守備・全員攻撃を身上に1回戦からひとつずつ勝ち星を重ねてきた。その中で一躍注目を集めることになったのが糠谷(3年)だ。DFでありながらセットプレーから2試合連続の4得点を挙げて得点王争いのトップに立っている。セットプレーの時に相手の位置を確認してパターンを決めるという基本動作を欠かさないことがゴールという結果に結びついている。

 糠谷のゴールに象徴されるように、今大会の前橋商業はセットプレーが光る。ここまで6得点のうち実に5得点がセットプレーからの得点。ここまで1失点の堅固な守備をベースにしてチャンスを確実にモノにしてきた。全員で戦う前橋商業らしいサッカーと言える。地区予選でインターハイ・ベスト4の前橋育英を退けての出場は、全国でも十分に戦える力を持っており、贄田監督も「星稜はやりがいのある相手」と準々決勝に意欲を見せる。

 前橋商業にとっては星稜の攻撃をどう防ぐか。星稜にすれば前橋商業の堅固な守備をどのように崩すかということがポイントになりそうだ。得意のセットプレーから前橋商業が先制点を奪えば面白い展開になりそうだが、星稜も簡単には許してはくれないだろう。いずれにしても先制点が大きな意味を持つ試合になりそうだ。国立の舞台への最後の関門となる試合は目が離せない試合になることだけは間違いない。

 さて、駒沢陸上競技場で行われるもうひとつの準々決勝では多々良学園と鹿児島実業か顔を合わせる。12年連続17度目の出場を果たし、すっかり西日本の顔となった多々良学園だが昨年はまさかの初戦敗退。今大会では、その雪辱を胸に9年ぶりに準々決勝まで進んできた。そんな気持ちが爆発したのは3回戦の羽黒戦。前半19分で2失点と崖っぷちまで追い込まれたが、ここから猛反撃。2-2の同点から西嶋(3年)が放った約40メートルのFKが直接ゴールを捉えてベスト8進出を果たした。

 山口東以来の55大会ぶりの県勢ベスト4を狙う多々良学園の基本システムは4-4-2。素早い守から攻への切り替えで、相手の守備陣形が整う前に攻めあがるのがチームのスタイルだ。奪ったボールをサイドに展開し、そこからオープン攻撃を仕掛けるオーソドックスなスタイルで鹿児島実業に挑む。谷本(3年)、ダン(2年)らの攻撃の中心メンバーもゴールを奪ってチームの状態は上向きなのも好材料だ。

 一方、今大会の目標を、ずばり「優勝」においているのが鹿児島実業だ。前回大会ではベスト4。今年は県内3冠に加えてプリンスリーグ九州も制覇。さらには今年の高円宮杯でもベスト4まで進んだ実績を見れば、それも十分にうなずける。守備を統率するDF岩下(3年)、チャンスメイクもできるFW山下(3年)らをはじめ、各ポジションに個性的な選手を揃えており、9年ぶりの全国の頂点、そして初の発の単独優勝を狙えるだけの力は十分にある。

 そんな鹿児島実業も3回戦では大苦戦。前半30分には累積警告のために10人で戦うことを強いられた。しかし、優勝しか見ていないチームには、それをも跳ね返すだけの精神力を蓄えていた。「9人だろうが、10人だろうが負ける気はしなかった。こんなところで負けるんじゃ、それだけのチーム」とはキャプテンを務める岩下。伝統校の底力に加え、強い精神力を併せ持ったチームは最高の状態に仕上がったと言っていい。

 今年の実績から言えば鹿児島実業の優位は動かない。しかし、何があるのか分からないのがサッカー。まして、高校年代では実力の伸びしろが大きく、過去の実績だけが全てではないことも事実だ。多々良学園にとっては自分たちのサッカーを貫き通すことがポイントになるだろう。対する鹿児島実業は、これまで同様、受けることなく相手にぶつかっていくことが鍵。高い実力はもちろん、目標に向けての強い意志を武器に頂点を目指す。

以上

2005.1.4 Reported by 中倉一志
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