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【第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝レポート(1)】星稜が前橋商業に粘り勝ち。我慢比べの試合を制して県勢初のベスト4へ。(05.01.05)

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第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝
2005年1月5日
第一試合:星稜 1 - 0 前橋商
得点者:31分田宮(星稜)
第二試合:多々良学園 1 - 2 鹿児島実業
得点者:6分楢崎(多々良)、41分山下(鹿実)、75分赤尾(鹿実)
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「嬉しい。地元にいいエネルギーを与えられた。少年サッカーの選手たちにも希望を与えられたとしたら嬉しい。私たちだけではなく、石川県サッカー協会の喜び」。河崎監督(星稜)は試合を振り返った。試合は1点を争う緊迫した試合。残り10分となってからは、前橋商業の激しい反撃も受けた。そんな試合を凌ぎきって勝ち取った県勢初のベスト4。試合後、ロッカールームからは喜びを爆発させる声が響いた。

 互いにダブルボランチを置く4-4-2のシステムを起用する両チームの対戦は、風上に立つ前橋商業が押し気味に試合を進めていく。前橋商業は中盤で手数をかけずにロングボールを前線へ。そして、こぼれ球に中盤が押し上げて攻撃を組み立てる。さらにセットプレーは今大会4得点の糠谷(3年)をターゲットにして、全てゴール前へクロスボールを放り込んだ。しかし、前半に放ったシュートは2本だけ。押してはいたが、チャンスを作り出すまでには至らなかった。

 対する星稜はロングボールを多用する前橋商業のペースに飲み込まれて中盤が思うように形成できない。こぼれ球を拾われ、また大会屈指の司令塔と評される本田(3年)にボールが渡らず、閉塞感ばかりが強まる展開が続いていく。前橋商業のゴール前へのロングボールには両CBを中心にきちんと跳ね返してはいたが、こちらも攻撃に関しては活路を見出せない。両チームともに得点の予感を感じさせないままに時間が経過していく。

 そんな展開の中、星稜の先制点がCKから生まれる。時間は31分、本田が放ったCKに田宮(3年)が頭で合わせると、左ポストを叩いたボールが、そのままゴールマウスの中に転がり込んだ。その後も互いにロングボールを蹴り合う試合は膠着状態を抜け出せず。ようやく終了10分前から前橋商業が猛攻を繰り出したが、粘り強いDFを見せる星稜はゴールを許さなかった。そして試合終了を告げるホイッスルが駒沢陸上競技場に鳴り響いた。

 初めてベスト8入りしてから13年目。星稜は挑み続けた厚い壁を遂に打ち破った。しかし、ここで満足する気はない。「気持ちは燃えても頭をクールにしてしっかり戦いたい。国立で満足する気はない。まだまだ一歩ずつだと思って戦う。目の前に相手がいる以上逃げるわけにはいかない。選手たちは戦ってくれるはず」。全国の頂点を目指して星稜の挑戦は続く。

 さて、引き続き行われたのは、今シーズンは練習試合も含めて1勝1敗2分と全くの五分の対戦成績を残す多々良学園と鹿児島実業の試合。互いに手の内を知り尽くした者同士の対戦は、最後まで押しつ押されつの白熱したゲームを展開した。結局、75分に赤尾(2年)が決めたヘディングシュートが決勝ゴールとなり鹿児島実業が2年連続で国立の舞台に駒を進めることになった。

 先制したのは多々良学園。6分、右サイドのスペースでボールを受けた楢崎(2年)がドリブルで突進。GKとの1対1から落ちついてゴール中央へ流し込んだ。そして、多々良学園は、ここから徹底して守りを固める。両ワイドのMFが最終ラインまで戻り、2トップに対してはDF4人で対応。そしてトップ下の坪内(3年)に対してはダブルボランチが2人がかりでマークに付く。その徹底した守備固めの前に、鹿児島実業は攻め手を見つけることなく前半を終えた。

 しかし、後半開始直後の42分、鹿児島実業はワンプレーで流れを引き戻す。スペースへ抜け出した山下(3年)が、前に飛び出してきたGK柳井(2年)の動きを確認して難しい体制からシュート。きれいな弧を描いたボールがゴールマウスを捉えた。ここからは鹿児島実業のペース。トップ下から坪内が裏へ飛び出して多々良学園の最終ラインを崩し、出来たスペースに渡邉(3年)、上村(3年)の両WBが飛び出していく。

 前がかりになる鹿児島実業の攻撃は迫力満点。9分、10分、13分、16分、決まってもおかしくないシュートが多々良学園を襲う。だが多々良学園は身体を張ってゴールを死守。攻め疲れからか、鹿児島実業の猛攻がひと段落したところで、両MFを高い位置に上げて再び前に出る。勝負を決めるのは次の1点。ともに攻撃への思いを強くした膠着状態が続く。どちらかといえば、縦に放り込む鹿児島実業よりも、高い位置に起点を作ってボールを回す多々良学園に分があるようにも思われた。

 だが、勝利を手にしたのは鹿児島実業。75分、右サイドを突破した渡邉が絶妙なクロスボールをゴール前へ。そこへドンピシャリのタイミングで飛び込んだ赤尾が頭で合わせた。「赤尾のファインプレー」(松沢総監督・鹿児島実業)。これが決勝ゴールになって鹿児島実業は2年連続で準決勝へと駒を進めた。準決勝の相手は国見。松沢総監督は「目一杯戦うだけ」と決意を口にする。目指すは9年ぶりの全国の頂点、そして初の単独優勝だ。

以上

2005.01.05 Reported by 中倉一志

[ 第83回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 試合結果]
駒沢開催分試合結果
三ツ沢開催分試合結果
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