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【第83回全国高校サッカー選手権大会 準決勝:国見 vs 鹿児島実業 レポート】国見連覇の夢途絶える。鹿児島実業が2-0で快勝(05.01.08)

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第83回全国高校サッカー選手権大会 準決勝
2005年1月8日(土)国立霞ヶ丘競技場
12:10 Kick Off
第一試合:国見(長崎) 0 - 2 鹿児島実業(鹿児島)
得点者:15分西岡(鹿実)、72分赤尾(鹿実)
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 1月8日、快晴の国立競技場。決勝への2枚の切符を掴む熱戦を見ようと、16,000人を超える観衆が集まった。

 真っ青な空に包まれたグリーンのピッチにゆっくりと選手たちが姿を表した。聖地を囲む黄色と白のフラッグが大きくたなびく中、バックスタンドから届く大きな声援は、これから始まる80分という濃厚な時間への期待と不安、様々な願いと祈りが込められている。

 国見(長崎)と鹿児島実業(鹿児島)。高校サッカーでは名の知れた九州の雄が、ひとつの切符をめぐり繰り広げられる熱戦は、互いにディフェンスラインを押し上げ、中盤をコンパクトにした攻守が入れ替わるスピーディーな展開で幕を開けた。

 「(自分たちが)風下というのもあって、もっと来るかと思った」大会屈指のセンターバック、鹿児島実業の岩下敬輔(3年)は、予想に反して国見が攻撃に転じてこないことに手応えを感じていた。「しっかり集中していけば、いける」と。

 中盤での激しいボディコンコンタクト、出足の早さで国見を圧倒すると前半15分、国見ゴール前での混戦からディフェンスが大きくクリアしたボールを西岡謙太(2年)がそのままゴール方向へ山なりのボールを蹴った。「GKがファンブルしてそこを詰めてくれたらと思って」左サイド約40m付近から放たれた白い線は、美しい弧を描きながら、風に乗り国見ゴールへ吸い込まれた。「2タッチで(ディフェンスの)裏に蹴ったら入った。まぐれです」と客席からの大歓声を受けた西岡は驚いた表情を見せた。西岡のもとに駆け寄り、スパイクを磨くパフォーマンスを披露した岩下は「たまたま(ゴールが)入って、流れがきた」と感じたという。
 
 偶然が生んだ大きな得点。何が起こるかわからない国立での決戦で、運さえ味方につけた鹿児島実業は、この後も王者を苦しめていく。

 試合のカギを握っていたセカンドボールやこぼれ球の支配も8割は鹿児島実業。国見のお株を奪うような豊富な運動量と、前線からの早いプレス。岩下が巧にラインコントロールする3バックは崩れることなく、厳しいチェックで国見のエース渡邊千真(3年)や城後寿(3年)に決定的な仕事さえさせなかった。国見が放った15本のシュートも、ほとんどペナルティエリアの外から。全員がバランスよくポジションをとり、試合の主導権を握っていた。しかし、トップに入った栫大嗣(2年)と左サイドの高い位置にいた坪内佑太郎(3年)が決定機を作るも、なかなか追加点が奪えず、残り時間が20分をきった時、試合が動いた。
 
 後半22分、山下真太郎(3年)が蹴った右CKをディフェンスがクリア。このこぼれ球を「ずっと狙っていた」と赤尾公(2年)が右足を落ち着いて振りぬくと、試合を決定付ける、国見にとって絶望ともいえる1点が、鹿児島実業にとって待望の追加点が、ゴールネットを揺らしていた。「時間帯が良かった。2点入って(勝利を)確信した」と岩下は振り返る。国見との国立決戦は2戦2敗。過去の呪縛から逃れた大きな得点は、5年ぶりのファイナリストへ導くゴールとなった。
 
 そして、決勝進出を決めた松澤隆史総監督が試合後、真っ先に口にしたのは、国見に対する大きな敬意だった。「サッカーでは小嶺先生が先輩ですし、九州をリードしてきた。小嶺先生を目標にして、見本にしてやってきました。小嶺先生は、島原商業を引き受けたときに九州のチャンピオンだった。小嶺先生の努力している姿、ついてきた結果というのが参考になりました」と目を細める。

 勝者となっても、相手を思う気持ち。もしかしたら、それが鹿児島実業を支えている一番の強みかもしれない。これまで戦って破って来たチームの分まで負けるわけにはいかない。多くのチームの『思い』を胸に、鹿児島実業は9年ぶりの頂点へ挑む。

以上

2005.1.8 Reported by 青柳舞子
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